バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
ふんばりチーム、チーム・蓮の鮮やかな初陣が終わり、本戦会場のボルテージが最高潮に達する中。
俺は相変わらず、パッチ族からカネ(FXの軍資金)で強奪した特等席の最高級ソファーに深く腰掛け、冷えたコーラを喉に流し込んでいた。
隣には、長い髪をツヤツヤに揺らしたハオ様が優雅に足を組み、後ろには俺のスタミナ料理で完全に胃袋を掴まれたカンナたちハオ組の魔女三人が、お土産のポテトチップスをパリパリと貪りながら並んでいる。
『さあ、本戦トーナメント決勝リーグ! 続いての試合は、絶対正義を掲げる謎の白装束集団――「X-LAWS」のトップチーム「X-I」の登場だァ!!!』
パッチ族の司会の絶叫と共に、リングの上に現れたのは――マルコ、おねしょの謎に戦慄していた隊員たち、そして、巨大な鉄の拷問具『アイアン・メイデン』を台座に乗せた、謎に包まれた少女ジャンヌだった。
(始まったな。X-LAWSの初陣。対戦相手はエジプトのシャーマンチーム「ナイル」……。原作通りなら、ここであの拷問具が開くわけだ)
「フン……正義を気取る偽善者どもの処刑劇かい。反吐が出るほどにつまらないね」
ハオ様が俺の淹れた最高級の中国茶を啜りながら、虫ケラでも見るような冷徹な目をリングへ向ける。
後ろのカンナたちも「あの白装束のメガネ(マルコ)、昨日蓮夜におねしょで脅されて顔を真っ赤にしてた癖に、随分と偉そうね」と、すっかり緊張感のない野次を飛ばしていた。
だが、リングの上の空気は、一瞬で本物の「処刑場」へと変貌した。
対戦相手のナイルが呪術のオーバーソウルを展開して襲いかかったその瞬間、マルコたちの指示によって、アイアン・メイデンの巨大な鉄の扉がギチギチと音を立てて開き始める。
中から現れたのは、無数の鋭い棘に全身を貫かれ、鮮血に染まった痛々しい少女――アイアン・メイデン・ジャンヌ。
彼女が放つ、怒りと悲しみ、そして狂信的な正義に裏打ちされた巫力の質量は、優に【50万】を超えていた。今の俺と同じ神クラスの領域。
ジャンヌが召喚した巨大な拷問具の持霊『シャマシュ』の圧倒的な霊圧が、リング全体の空間を圧殺する。
「罪深き者たちよ。正義の名の元に、神の裁きを受けなさい」
ジャンヌの冷徹な宣告と共に、シャマシュの放った無慈悲な断頭台の術理が、ナイルの3人が展開していたオーバーソウルをご神体ごと一瞬で粉砕し、彼らの命を文字通りその場で『処刑(殺害)』してみせた。
『し、試合終了――っ! 勝者、X-I(エックスワン)チーム……っ!!』
パッチの司会がそのあまりの凄惨さに声を震わせる。会場全体が、X-LAWSの掲げる「正義という名の絶対的な虐殺」の前に、言葉を失ってガタガタと戦慄していた。
だが、特等ソファー席に座る俺は、ポテトチップスを咀嚼しながら、元36歳現代人の極めて冷めたツッコミを心の中で炸裂させていた。
(……いや、エグい術理なのは認めるけどさ。あのジャンヌって女の子、試合のたびにわざわざあんな針だらけの鉄の箱に入って、全身血だらけになって出てくるんだろ? 衛生観念的にどうなんだよ。破傷風とか感染症の対策はバッチリなのか? パッチの里の医療体制、ブラック企業だから怪しいぞ)
現代日本の徹底された医療と衛生を知る元サラリーマンからすれば、彼女の「毎回血だらけになる演出」は、カッコよさよりも先に感染症のリスク(生活の危機)の心配が勝ってしまった。
《ふふ、主。あのお隣の白装束の方々……正義を気取って命を奪う術理はなかなかに苛烈ですが、主のその『衛生兵(元大人)』としてのあまりに生々しいツッコミの前には、どんな神の裁きも形無しにございますな》
左手の指輪から、神格化したサクヤがクスクスと呆れたような念話を響かせる。
「うん、あの女の子の50万の質量は少しだけ面白いね。……でも、やっぱり僕の可愛い『弟子(蓮夜)』のあの不条理でお漏らし(おねしょ)な質量の方が、僕にとっては遥かに愛おしいけれど」
ハオ様はいつものように怪談の八尺様よろしく、至近距離からじっと俺の顔を覗き込み、その切れ長の瞳に昏い、極上の執着を灯して微笑んだ。
「ハハ、そいつはどうも。……さて、正義の味方の悪趣味な処刑劇も見届けたことだし、さっさと高級ホテルに帰って、今日の夜飯の仕込みでも始めるか」
俺は高級ソファーから立ち上がり、カバンの軍資金を抱え直した。
シャーマンとしての実力は50万、財布の質量は無限大、そしてどんなシリアスも冷徹にハッキングする元大人のスタンス。
X-LAWSが「正義の勝利」を確信し、会場全体が恐怖に震えているまさにその裏側で。
事なかれ主義の男によるラグジュアリーな本戦ライフは、世界の行く末を完璧に先読みしながら、さらに不敵に、次のステップへと歩みを進めるのだった。