バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
「あーあ、ペヨーテのやつ、やっぱり負けちゃったっすね」
ハオ組専用特等席の高級ソファーで、ハン・ザンチンが冷えたビール缶を片手に、つまらなそうに頭を掻いた。
メサの特設リングでは、ペヨーテ率いる『土組』が、道蓮たちの『チーム・THE・蓮』の圧倒的な猛攻の前に完全なる敗北を喫したところだった。チョコラブとかいう新顔の笑えないギャグをかますシャーマンの乱入もあり、土組は終始ペースを握られっぱなしだった。
ハオ組の男性陣が「あいつら、ハオ様の前で不甲斐ない試合をしやがって」とブツブツ文句を言っている中、当のハオ様はといえば、手元に残ったポテトチップスの最後のひとかけらをサクッと口に放り込み、実につまらなそうに目を細めていた。
「ちっぽけだね。……まぁ、いいさ。それより蓮夜、さっき君が言っていた『リゼルグが脳を焼かれるトラウマ試合』というのは、どういう意味だい?」
ハオ様が、コーラの缶を弄びながら、何気ない口調で俺に問いかけてきた。
(……あ、やべ。口が滑ってたわ)
前世の原作知識をベースに、つい独り言で呟いてしまったフレーズ。それを、聞き逃すはずのない絶対強者(ストーカー)にバッチリ拾われていたらしい。
ハオ様の底知れない瞳が、じっと俺の顔を覗き込んでくる。周囲のカンナたちも「なになに? 蓮夜、また何か面白いこと知ってるの?」と興味津々で身を乗り出してきた。
「いや、なんでもありませんよハオ様。ただの事なかれ主義の男の、根拠のない邪推です。ほら、あのX-LAWSの主力チーム『X-I』の戦い方を見たでしょう?」
俺は話を逸らすように、まだナイルズの残骸が転がっている特設リングのモニターを指差した。
「あいつらの正義は、敵を一切生かさない冷酷な処刑だ。そんな過激な組織に、元々お坊ちゃんで心が優しくて、ハオ様への復讐心だけで動いているリゼルグが馴染めるわけがない。あのあまりにも一方的な虐殺を間近で見せつけられたら、彼の繊細なメンタルは完全に『正義の在り方』に脳を焼かれて狂っちまうだろうな、と思っただけですよ」
「ふうん……。なるほどね。確かに一理ある。君の観察眼は、時々本当に僕の予測を超えてくるから面白い」
ハオ様はフッと満足そうに微笑み、それ以上は深く追及してこなかった。冷や汗モノだったが、なんとか「転生者の未来予知」ではなく「ただの鋭いプロ考察」として誤魔化せたらしい。
《主、危ないところでございましたな。ハオ様を相手に原作の知識を漏らすなど、薄氷を踏むようなもの。もう少し口元に鍵をおかけなさいませ》
指輪の奥から、サクヤが呆れたような、しかしどこか楽しげな念話を響かせる。
(分かってるよサクヤ。これからはもっと慎重に、美味しい飯と快適な隠居ライフにだけ集中するさ)
「よし、ペヨーテたちの負け戦の反省会なんて陰気なものは終わりだ。パッチ族のブラック企業に一銭も落とさないのが俺の美学だからな。今日の夜ご飯は、道中で仕込んでおいた最高級の鴨肉を使った『鴨南蛮そば』にしてやる。大人しくホテルに帰るぞ」
俺がリクライニングチェアから立ち上がると、さっきまでナイルズの処刑劇にドン引きしていた魔女三人娘の目が、一瞬でルビーのように輝いた。
「鴨肉!? 蓮夜、本当!? すぐ帰る、今すぐホテルに帰るわ!!」
「お腹空いたーっ! 蓮夜の男飯、世界で一番大好き!!」
ハオ組の最凶シャーマンたちが、もはや完全に俺の「胃袋の奴隷」として極上の笑顔を咲かせている。ハオ様も「おや、僕の分の蕎麦もあるんだろう? 蓮夜」と、当然のように俺の後に続いて歩き出した。
土組の敗北によるピリついた空気など、俺の放つ『美食の質量』の前には完全に無力。
麻倉葉たちが外のキャンプ地で「今日の晩ご飯どうする……?」とひもじい思いをしているまさにその裏側で、俺たちのラグジュアリーな本戦リゾートライフは、さらに不敵に、そして美味しく突き進んでいくのだった。