バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
第39話:『海鳴りの告白と、隣のクラスの陰陽師』
ハオの放ったスピリット・オブ・ファイアが、X-LAWS機動部隊の魂すらも「喰らう」悍ましい光景によって、シャーマンファイト本戦は一時中断を余儀なくされた。
あまりの不条理と絶望にスタジアムが騒然とする中、御門蓮夜は一足先にその場を離脱し、パッチの里の端にある寂れた海辺の崖へと足を運んでいた。
潮風が吹き抜ける崖の上。そこには、先客である麻倉葉たち『ふんばり温泉チーム』とその仲間たちが集まっていた。
重苦しい沈黙の中、海を見つめていた葉が、ぽつりと口を開く。
「……ハオはさ。俺の、双子の兄貴なんだ」
「……は!?」
ホロホロが素っ頓狂な声を上げ、竜のリーゼントが物理的に跳ね上がる。驚愕に染まる一同の裏で、低木に隠れて「特等席の傍観者」を決め込もうとしていた蓮夜は、足元の砂利を小さく鳴らしてしまった。
「だれだっ!?」
ホロホロが瞬時に媒介を構える。しかし、低木から現れた蓮夜の顔を見た瞬間、一同の表情が「警戒」から「複雑な困惑」へと変わった。
「なんだ、蓮夜か……」
「驚かせんなよ、隣のクラスの事なかれ主義者が……」
彼らは全員、蓮夜がふんばりヶ丘の学校の同級生(隣のクラスのシャーマン)であることを最初から知っている。そして同時に――先日の本戦1回戦(ソロ出場)で、蓮夜がハオの「五行の理」そのものである超高等な陰陽術を使い、対戦相手を一方的に蹂躙したバグ級の戦いも目撃していた。
ハオに弟子入りし、泰山府君の教えを請うているのが明確なクラスメイト。
「……盗み聞きするつもりじゃなかったんだ。ただの野次馬だから、気にせず続けてよ」
苦笑いする蓮夜に対し、木刀の竜が複雑そうな表情で木刀を下げた。
「なあ、蓮夜。お前、ハオの弟子をやってるんだろ。……アイツが葉の兄貴だってことも、やっぱり知ってたのか?」
「……まあ、原作知識というか、麻倉家の因縁としてね」
蓮夜は濁したが、葉はいつものユルい笑みを浮かべながら蓮夜を見つめた。
「蓮夜はさ、クラスにいる時からずっとそうだった。何でも知ってるみたいに一歩引いて見てる。1回戦であのハオと同じ陰陽術を使った時はビビったけど、お前がハオの仲間になって人間を滅ぼしたいなんて思ってねえのは、俺にはわかるよ」
「買い被りだよ、葉くん。僕はただ、あの人から最強の力と最高の経験を貪り尽くして、自分の魂のバグを解き明かしたいだけの事なかれ主義だ」
蓮夜は指輪のチャームを弄りながら、ハオから授かった「泰山府君の教え」の巫力を魂の奥底で静かに回転させた。
ハオが双子の兄であるという絶望的な事実。それに立ち向かおうとする葉たちの絆。
原作通りのルートを歩み始めたクラスメイトたちの輝きを特等席で見物しながら、ハオの「新参の弟子」である蓮夜は、この世界の物語が向かう先を傍観者として見つめ続けるのだった。