バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
第42話:『山伏の試練と、理を凌駕する白銀の光弦』
「……見極めさせてもらうよ、御門蓮夜」
麻倉幹久がそう呟いた瞬間、林道の空気が物理的な重圧となって蓮夜の肩にのしかかった。
幹久の背後に浮かぶ山霊の持霊――キツネの『イズナ』とタヌキの『イマチ』が、山伏の修験道に基づいた苛烈な霊圧を伴って突撃してくる。
「ハオの弟子という狂気か、それともただの傍観者か……君の『質量』の正体、その肌で示してもらう!」
超高速で肉薄する二匹の霊神。並のシャーマンならそのプレッシャーだけでオーバーソウルを解除されるレベルの、一撃必殺の奇襲だ。
「あーあ、やっぱりこうなる。事なかれ主義を通すのも楽じゃないなぁ」
蓮夜は深くため息をつきながらも、その身のこなしには一切の焦りがない。
ハオに弟子入りし、泰山府君の教えを我が物としたことで、彼のバグ魂はすでに「世界の不条理」そのものを咀嚼し終えている。
蓮夜が弓の指輪の媒介に意識を向けた瞬間、彼の全身から50万オーバーの規格外な巫力が、眩い白銀の輝きとなって爆発的に立ち上った。
その圧倒的な霊圧の質量だけで、突撃してきたイズナとイマチの動きが空間ごとピキリと凝固する。
五行の相生の理を独自に組み込み、光の属性を極限まで高めた蓮夜のオーバーソウル。
指輪から紡がれた白銀の輝きが巨大な光弦を形成し、蓮夜の引き絞る動作に合わせて放たれた一矢が、幹久のすぐ傍らの空間を音速で駆け抜けた。
ドゴォォォン!!
背後の巨大な岩山が、触れもしない一矢の風圧だけで真っ二つに叩き割られ、激しい土煙が林道を包み込む。
幹久の法衣が激しく翻り、その仮面の奥の目が驚愕に見開かれた。
「……バカな。ただの巫力のぶつかり合いではない。五行の理を完璧に手懐け……いや、術の理そのものを自身の『質量』で強引に書き換えている……!?」
幹久は冷や汗を流しながら、イマチとイズナを自身の身の前に引き戻した。
軽い小競り合いのつもりだった。だが、目の前の少年が放ったのは、麻倉家が千年の歴史をかけて用意したどの秘術よりも重く、理不尽な「純粋なるバグの暴力」だった。
「言ったでしょう、僕はどちらの味方もしないって」
蓮夜は何事もなかったかのようにオーバーソウルを解き、指輪を弄る。
「ハオ様の125万も、僕の50万も、ただそこにあるだけの数字です。これ以上戦うなら、僕も事なかれ主義の防衛本能として、レバレッジ最大級でやり返さなきゃならなくなりますけど……どうします?」
幹久は静かに数珠を握り直し、やがてゆっくりと構えを解いた。
「……いや、十分だ。君がハオの狂信者でないことだけは分かった。だが、その力がハオの側に置かれていること自体が、最大級の爆弾であることに変わりはないがね」
「それはハオ様に言ってください。じゃ、僕は新参の弟子の任務に戻りますので」
手を振りながら、飄々と林道の奥へと消えていく蓮夜。
その背中を見送りながら、麻倉幹久は千年の因縁に突如として現れた「不確かなバグ」の存在に、これまでにない底知れぬ危うさを感じるのだった。