バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
「さて、と……」
幹久との無駄な小突き合いを終え、パッチの里の買い出し任務という名の雑用を済ませた俺――御門蓮夜は、ハオ様の陣営へと続く寂れた帰路を歩いていた。
川のせせらぎが聞こえる開けた川辺に差し掛かった、その時だった。
「……ん?」
鼻腔を突いたのは、山特有の澄んだ空気にはおよそ不釣り合いな、どろりとした生臭い臭気。
前世を含めて、修羅場を幾度となく渡り歩いてきた俺のバグ魂が、それが「新鮮な血の匂い」であることを瞬時に察知する。
歩みを緩め、視線を川べりの岩陰へと向けた瞬間、俺の足が自然と止まった。
「……マジかよ。本当にこのタイミングだったか」
そこに転がっていたのは、見覚えのある紫の髪と、鋭利な一本尖りの髪型。
道家の御曹司――道蓮だった。
彼の胸には、容赦なく肉体を貫いた凄惨な傷が穿たれており、衣服はべっとりと赤黒く染まっている。
ピクリとも動かない。霊圧は完全に霧散し、その魂の灯火は完全に消えていた。
原作の知識として知ってはいた。ハオ様の手下であるペヨーテたちの襲撃によって、道蓮が一度命を落とすイベントだ。
脳内で、持霊のサクヤが《……完全に事切れていますね。魂の器が壊れ、霊体も離散しかけています。蓮夜、どうします?》と、静かに問いかけてくる。
俺の左手の白銀の指輪に眠るマタムネは、じっと沈黙を守ったままだ。
(どうする、か……)
いつもの事なかれ主義、傍観者スタンスを貫くなら、ここで「うわ、死んでるわー」とだけ思って、死体をスルーしてハオ様の元へ戻るのが大正解だ。
どうせこの後、駆けつけた葉たちが絶望し、蓮を蘇生させるためにX-LAWSのアイアン・メイデン・ジャンヌへ頭を下げることになる。そしてその蘇生の対価として、葉は『シャーマンファイトの棄権』という重すぎる条件を突きつけられるのだ。
俺がここで余計なレバレッジをかけて介入する必要はどこにもない。ここで歴史を歪めれば、ハオ様がこの後に仕掛けるであろう美味い計画の味も変わってしまう。
「……とはいえ、ハオ様の手下どもがやったとなると、新参の弟子としては少々複雑な絵面だな」
死体のすぐ側には、主を失って呆然と立ち尽くす馬孫の霊体が、今にも消え入りそうなほど激しく揺れている。
俺は自嘲気味に息を吐くと、オーバーソウルを解いたままの指輪を軽く弄り、川辺の少年に視線を落とした。
「ま、僕は僕の特等席を守るだけだ。ここは大道具の配置を確認する野次馬ってことで、しばらく様子を窺わせてもらいますか」
ペヨーテたちの気配はすでにない。
俺はあえて死体の側に近寄り、懐に手を突っ込んだまま、静かに次の『役者』たちがここに駆け込んでくるのを待つことにした。