バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
俺から放たれた50万オーバーの白銀の巫力。その圧倒的な質量によって、渡り廊下の空間は物理的な重圧を伴ってきしみ、歪んでいた。
マルコをはじめとするX-LAWSの面々は、そのご来光のような理不尽を前に完全に気圧され、額から冷や汗を流しながら辛うじて構えを維持している。
俺の辛辣な現代的レバレッジ(煽り)によって、最も触れられたくなかった復讐の脆弱さを突かれたリゼルグは、涙を滲ませたままガチガチと奥歯を鳴らして俺を睨みつけることしかできない。
一触即発。いや、こちらがその気になれば、この質量だけで彼らの「絶対正義」ごと廊下を真っ二つに押し潰せるだけの絶対的なアドバンテージが、今の俺にはあった。
だが――。
「……はぁ。やっぱり、やめだやめだ」
俺は、一瞬にして全身の力を抜くと、周囲を圧壊させんばかりに膨れ上がらせていた白銀の巫力を、霧が消えるようにスッと霧散させた。
「なっ……!?」
突然の霊圧の消失に、今度はマルコが拍子抜けしたようなマヌケな声を上げる。
「ぶっちゃけ、君たちみたいな自分の理想に酔ってる堅物とこれ以上問答を続けるの、完全に『時間の無駄』だわ。僕、事なかれ主義の傍観者(野次馬)だからさ」
俺はジャージのポケットに再び両手を突っ込むと、何事もなかったかのように、X-LAWSの隊列へ向かって歩き出した。
「待て……! まだ話は終わっていない! 聖・少年の御前でそのような不敬を……!」
マルコが銃口を向け直そうとするが、俺はその横を、目線すら合わせずに通り抜ける。
「触らぬ神に祟りなし、ってね。君たちの歪んだ私刑ごっこに付き合って、パッチの里の美味いご飯の時間を無駄にするほど、僕は優しくないんだ。リゼルグくんも、せいぜいその国際指名手配犯(予定)の白い服が血で汚れないように気をつけることだね」
すれ違いざまにそう言い残すと、俺は一度も振り返ることなく、そのまま特等席(ハオ様たちの元)へと続く階段へと足を向けた。
背後から、マルコの「貴様……っ!」という怒声や、リゼルグの悔しげな息遣いが聞こえてきたが、聞こえないフリだ。彼らからすれば、散々心を抉るだけの正論を突きつけられ、圧倒的な力を見せつけられた挙句、最後は「時間の無駄」の一言で完全にゴミを見るように一蹴されたのだ。これ以上の屈辱はないだろう。
階段を上り、本戦会場の最上段へと戻ると、そこではハオ様がククッ、と喉を鳴らしながら、これ以上ないほど愛おしげな笑みを浮かべて俺を出迎えてくれた。
「おかえり、蓮夜。いやあ、傑作だったよ。まさかあの頑固な正義の味方(堅物)たちを、力ではなく『言葉のレバレッジ』だけであそこまで徹底的にバラバラに壊してしまうなんてね。君のその容赦のないバグっぷり、本当に僕の心を惹きつけてやまないよ」
「勘弁してくださいよ、ハオ様。ただの時間の無駄だと思って切り上げただけです。ほら、マチルダ、僕の焼き菓子は?」
「ちゃんと残してあるわよ! でもレンヤ、あんた今の最高に性格悪くて格好良かったわ!」
マチルダがゲラゲラと笑いながら焼き菓子の箱を差し出し、マリオンも「……正義の味方、泣いてた……ウケる……」と静かに満足そうだ。カンナに至っては、煙管を燻らせながら「あんた、本当に人を煙に巻くのが上手いわね」と呆れたように微笑んでいる。
「はは、上等ですよ。存在しないバグ物件らしく、これからはこの壊れた世界を、僕の我が儘のままに全力で楽しませてもらいますから」
俺はハオ様の隣の特等席へと腰掛け、焼き菓子を口に放り込んだ。
眼下のステージでは、次の本戦の準備が着々と進んでいる。
X-LAWSという歪んだ正義の歯車すらも完全にレバレッジをかけてへし折り、俺は再び、神の隣という最高のリザーブシートで、この世界の狂騒を誰よりも楽しむための傍観者へと戻るのだった。