バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】   作:カミト6622

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閑話:『日陰の貸付と、不遜なカリスマ』

 

これは、俺――御門蓮夜が、ふんばり温泉チームの世知辛い金欠事情を聞きつけてパッチの里の最高級ホテルへ招待し、金粉入り混浴露天風呂でまん太にアメリカの飲酒年齢についてツッコまれる、少しだけ前の出来事である。

 

本戦会場の裏手にある、鬱蒼とした木々が陽光を遮る薄暗い岩陰。

俺はジャージのポケットに両手を突っ込んだまま、目の前に群がる数人のシャーマンたちをのんびりと見下ろしていた。原作のどのページをめくっても名前すら出てこないような、ハオ様の圧倒的な125万という数字(巫力)に目を眩ませ、その強者の傘に入ろうと躍起になっている典型的な有象無象――モブ連中だ。

 

彼らは、ハオ様から「独自の極みに達したバグ物件」として直々に修行を受け、50万の質量を持つ新参の弟子(俺)の噂を聞きつけ、こうして裏から傘下を直訴しにやってきたわけだ。

 

「頼む、御門の旦那……! 俺たちをハオ様の陣営に加えてくれ! あの方の思想に共鳴したんだ!」

「俺たちの巫力だって捨てたもんじゃない! 本戦で必ずハオ様の力になれるはずだ!」

 

必死に頭を下げるモブどもの見え透いたおべっかと歪な欲望を前に、俺の前世である36歳男性独身童貞のバグ魂は、底知れない退屈さと、それ以上の『開き直り』を感じていた。

 

事なかれ主義の傍観者として、以前の俺なら「いや僕ただの雑用係なんでハオ様に直接言ってください」と笑顔ではぐらかし、フェードアウトしていただろう。だが、今の俺は完全に開き直っている。この壊れた世界を全力で楽しむと決めているのだ。

何より、前世で漫画やゲームをこよなく愛し、あらゆるエンタメ知識を内包した俺の脳内が、このシチュエーションに最適な、最高に面白い『不遜なムーブ』を弾き出していた。

 

「――フフフ、アハハハハハ!」

 

俺は首を大きく後ろに傾け、天を仰ぐようにして不敵な笑い声を響かせた。

ジャージ姿だというのに、その場に漂う50万オーバーの白銀の巫力(りょく)が、圧倒的な覇気となってモブどもの頭上に伸しかかり、彼らをその場に平伏させる。

 

「ハオ様の力になりたい、ねぇ……。いいよ、お前たちのその安っぽい欲望(レバレッジ)、嫌いじゃない。ハオ様の125万も、僕の50万も、ただそこにあるだけの数字……。だったら、その数字の威光を、少しだけお前たちに『貸し付けて』やろうか」

 

俺はポケットから手を抜くと、不敵な仕草をしてみせた。そして、懐からハオ様陣営の『シンボル(星の紋章)』をいくつか取り出すと、怯えるモブたちの足元へ無造作に放り投げ、実際に手渡した。

 

「ハオ様の陣営のシンボルは貸してやる」

 

「お、おお……! ありがとうございます、御門の旦那……っ!」

モブどもが一斉に泥にまみれた星の紋章を拾い上げ、目を輝かせる。

 

だが、俺は口元を歪な笑みの形に引き裂いたまま、冷酷な現代の規律(金融システム)をその場に突き立てた。

 

「ただし――タダじゃない。これは融資(ローン)だ。お前たちが本戦のステージに立って、ハオ様のシンボルを背負って戦うからには、相応の利益(リターン)を僕に見せてもらう。……もし、無様に『負けたら』、その時はどうなるか分かっているね?」

 

「え……?」

 

「負けたら返せ。お前たちの持霊も、巫力も、その矮小な命のすべてを、レバレッジ最大級の違約金として僕が冥府の門から強引に回収(取り立て)させてもらう。……元からこの世界に存在しない僕の席(バグ)を汚した対価は、お前たちの薄汚い魂じゃ、到底払い切れないかとねぇ」

 

フフフ、と喉を鳴らしながら、ハオ様直伝の泰山府君祭の禍々しい霊圧を手のひらに灯してみせる。

死の理を書き換えるその白銀の不条理を間近で突きつけられ、モブ連中は紋章を握りしめたまま顔面を蒼白に染め、ガチガチと歯を鳴らして恐怖に震え上がった。単なるハオ様の狂信者ではなく、世界そのものを資本主義の数字で買い叩こうとしている俺というバグ物件の真の恐ろしさを、彼らは魂のレベルで理解したのだ。

 

「嫌なら今すぐそれを返して失せな。僕はただの気まぐれな批評家だからね。お前たちが命を賭けて踊るドロドロとした喜劇(ドラマ)なら、最前列の特等席でいくらでも楽しんであげるさ」

 

「ひ、ひえぇぇ……!」

モブどもは蜘蛛の子を散らすように、恐怖の悲鳴を上げながら林道の奥へと逃げ惑っていった。

 

「――っひ、ひええええええええええええっ!?」

 

モブたちの悲鳴に重なるようにして、岩陰のすぐ近くの草むらから、限界突破した別の絶叫が響き渡った。

ガサガサと音を立てて転がり出てきたのは、お馴染みの常識人――小山田まん太だった。

 

「み、御門くん……!? 君、今完全に悪の組織の最高幹部みたいな不遜なムーブかましてたよね!? 資本主義の闇金業者みたいな規律でハオのシンボルをモブに貸し付けて、命の取り立て宣告してたよね!?」

 

まん太は小さな身体を激しく震わせ、今しがた目撃してしまった暗黒の金融取引に顔を真っ青にしている。

 

「やだなあ、まん太。ただの先行投資だよ。元本保証のないシャーマンファイト本戦において、有象無象にレバレッジをかけてやる僕は、むしろ救世主(セーフティネット)と言っても過言じゃないよ」

 

「過言だよ!! どこからどう見ても真っ黒な闇融資だよ!! 葉くんたちの前では隣のクラスの御門くんなのに、日陰に入った途端に取り返しのつかないバグ物件(悪のカリスマ)になってるよぉぉ!!」

 

頭を抱えて絶叫するまん太。そんな一般人の常識的なツッコミが入る中、岩陰の闇の中から、音もなく白いマントをなびかせたハオ様が姿を現した。

 

「――ククッ、ハハハ! 傑作だね、蓮夜。君は本当に、僕の陣営の看板を使って面白い悪戯をする」

 

「ハ、ハオまで出てきたぁぁぁ!! レバレッジの過剰摂取で僕の胃が爆発しそうだよぉ!!」

まん太がさらに白目を剥いて卒倒しかけているのを完全にスルーしながら、ハオ様は狂おしいほどの愉悦と執着が滾る双眸で、俺の左手の白銀の指輪を指さしてなぞった。

 

「素晴らしいよ、蓮夜。君のその傲慢でバグだらけの魂が、僕の手下どもすらも君のシステムに巻き込んで壊していく。世界なんて、君の我が儘のままに、もっと派手に支配しておしまい、僕の愛しい旅人」

 

原作知識なんて、もうどこにも残っていない。

実際にシンボルを貸し付けて世界をバグらせる俺と、それを誰よりも全肯定して愉しむ千年の超越者、そして限界突破してツッコミを入れるまん太。

この日陰の密談の直後、俺は「あー、喉が渇いたな」とジュースを求めて木陰へと向かい、そこで偶然通りかかった麻倉葉たちと出会って「今の生活どうしてる?」と世間話を始めることになるのだが――それはまた、別のお話(第56話)である。

 

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