バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】   作:カミト6622

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第60話:『債務不履行の戦舞台と、傍観者のセカンドチャンス』】

 

ピーィィィィン――!!

 

十祭司の吹き鳴らす角笛の音が響き渡り、本戦の新たな試合が始まった。

特等席の最上段から俺――御門蓮夜とハオ様が見下ろす先、ステージに立っていたのは、俺が事前にハオ様の「シンボル(星の紋章)」を実際に貸し付けたあのモブ連中だった。

 

「ひ、ヒィィィ! 殺せ! 殺さなきゃ俺たちが取り立てられるんだよぉぉ!!」

 

モブたちの戦い方は、一言で言えば「狂気」そのものだった。

俺が突きつけた『負けたら命も持霊もすべて違約金として強引に回収(取り立て)する』という不条理な規律(ローン)。それにビビり散らかした彼らは、対戦相手である『チーム・〇〇』の強固な氷結防御を前に、なりふり構わずステージを血と破壊で染め上げていく。

その凄まじい執念と暴走っぷりに、観客席のシャーマンたちがドン引きするのが伝わってくる。

 

だが――安っぽい欲望(レバレッジ)だけで膨らませた偽物の強さは、本戦の冷酷な壁の前には長くは持たなかった。

 

「が、はっ……!? 馬鹿な、俺たちの、ハオ様の威光が……っ!」

 

焦燥から連携を乱し、勝負を焦ったモブのリーダー格が、アイスメンの痛烈な氷結カウンターを食らって派手に吹き飛ぶ。

媒介を砕かれ、持霊の形を維持できなくなったその瞬間、無情にも十祭司の勝敗の宣告が会場に響き渡った。

 

「――そこまで! 勝者、チーム・〇〇!!」

 

「……あ。終わった」

俺はジャージのポケットに手を突っ込んだまま、パックのジュースを啜ってポツリと呟いた。

 

「フフ、債務不履行(デフォルト)だね、蓮夜。僕のシンボルを泥で汚した上に、無様に負けるなんて。……名を汚した罰だ。ペヨーテ、カンナ、行きなさい。あの不浄な塊、綺麗にお掃除(粛正)しておしまい」

 

隣に座るハオ様が、すべてを見透かすような冷徹な笑みのまま、静かに手下たちへ命を下した。

ハオ陣営の規律は絶対だ。負けた無能、それも勝手にシンボルを掲げて泥を塗ったモブどもなど、生かしておく価値すらない。

 

ステージ裏の薄暗い岩陰。本戦会場の喧騒が遠くへ引いていくその場所へ、ほうほうの体で戻ってきたモブたちの前に、ペヨーテや花組の魔女たちが殺気を剥き出しにして音もなく立ち塞がる。

(……そのさらに数メートル後ろ、物陰に小さな人影が隠れてガタガタと震えている。――しまらない。まん太のやつ、完全にホラー映画を観る目をしてやがるな)

 

「ヒッ……! ペ、ペヨーテの旦那! カンナさん! 違うんだ、これは……!」

「オゥ、アミーゴ。ハオ様のシンボルを汚した罪は重いぜ? 悪く思うなよ」

 

ペヨーテがギターのネック(媒介)を鳴らし、マリオンの人形(シャーマシュ)が禍々しい黒い霊圧を膨らませる。完全に『粛正』の秒読みが始まった。恐怖でガチガチと歯を鳴らし、命乞いすらできずに涙を流すモブども。

 

その絶望の劇場の真ん中へ、俺はジャージのジッパーを揺らしながら、のんびりと歩み出た。

 

「そこまでにしときなよ、みんな。ハオ様のお墨付きをもらって貸し付けたのは僕だからね。債権の処理の主導権は、僕にある」

 

「……チッ、レンヤ。だがよ、こいつらは負けたんだぜ? ハオ様の顔に泥を塗りやがったんだ」

ペヨーテが忌々しげに睨んでくるが、俺はそれを50万の質量(白銀の霊圧)で軽く押し返した。

 

俺は地面に這いつくばって震えるモブどもの前にしゃがみ込み、左手の白銀の指輪を弄びながら、フッ、と不敵な笑みを口元に深く刻んだ。

 

「ハオ様の125万も、僕の50万も、ただそこにあるだけの数字……。お前たちが無様に負けて、僕の投資(レバレッジ)が大赤字になったのは事実だ。本来なら、今すぐ泰山府君祭でお前たちの魂と巫力を根こそぎ取り立てるところだけどね」

 

俺は、わざとらしく人差し指を一本、彼らの目の前に立てて見せた。

 

「――最後のチャンス(セカンドチャンス)をあげるよ」

 

「はぁ? セカンドチャンスだぁ?」

ペヨーテが怪訝そうに眉をひそめ、ギターを抱えたまま俺の意図を測りかねるように首を傾げる。

カンナもまた、タバコを指に挟んだまま、けだるげな瞳に冷ややかな疑問を浮かべて俺を睨んだ。

「レンヤ、ハオ様の規律を舐めてるの? 負け犬に次の機会なんて、私たちの付き合いには存在しないわよ」

 

そんなハオ陣営の生え抜きたちの不信感を意に介さず、俺は言葉を続ける。

 

「このパッチの里の裏で行われている『ある裏取引(次の仕掛け)』。お前たちのその汚い命、そこで死に物狂いで僕の『駒(捨て駒)』として働きなよ。もしそこで僕に相応の利益(リターン)を還元できたら、債務の猶予と、そのシンボルの正式な所有権を認めてやってもいい」

 

冷酷な規律の裏にある、甘い救済の罠。

一度完全に心を折られたモブどもは、俺から差し伸べられたその不条理なクモの糸を、今度は狂信的なまでの忠誠を宿した目で「や、やります! 命に代えてもやらせてください、御門の旦那ァァ!!」と拝み倒してきた。

 

その様子を特等席の角度から眺めていたハオ陣営の二人の空気が、一瞬で変わる。

 

「……ハハッ、なるほどな。ただ殺して肉塊にするより、よっぽど使い道があるってわけか。アミーゴ、お前さんも大概いい性格してるぜ」

ペヨーテはすべてを察し、その浅黒い顔にニヤニヤとした下卑た笑みを浮かべてギターの手を引いた。完全にこの「効率的な奴隷化」を楽しんでいる。

 

一方で、カンナは深くタバコの煙を吐き出しながら、心底呆れたように、しかし確かな戦慄をその声に滲ませてボソリと零した。

「……えげつないわね。一想いに殺してあげた方が、こいつらにとってはまだ慈悲深かったんじゃないかしら」

 

「ククッ、本当に君は容赦がないね、蓮夜。ただ殺すよりも酷い、終わりのない不遜な融資の泥沼(ローン)へ彼らを引きずり落とすなんて」

 

日陰の奥から、ハオ様が白いマントをなびかせながら、狂おしいほどの愉悦と愛おしさをその双眸に滾らせて歩み寄ってきた。

 

「世界なんて、君の我が儘のままに、もっと派手に支配(バグらせ)しておしまい。君が壊した世界のその先を、僕は君のすぐ隣で、誰よりも最前列で見届けさせてもらうよ、僕の愛しい旅人」

 

ハオ様の全肯定の霊圧が、俺のバグ魂を熱く包み込む。

原作の知識を完全に崩壊させたこの世界の中心で、存在しないはずの傍観者(俺)は、神の隣の特等席で最高級の冷酒を煽りながら、自らの手の中に転がり込んできた『新しい駒』をどう動かして楽しんでやろうかと、不敵な笑みをさらに深く刻むのだった。

 

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