バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
【ガンダーラ視点:因果の崩壊と、無慈悲なる救済の罠】
パッチの里のさらに深い静寂の中、神々しい後光を背負った第三の勢力『ガンダーラ』の拠点。
リーダーのサティが静かに蓮華の座に身を置く元へ、ハオ陣営の動向をスカウト(偵察)するために潜入していたコブシが、ただならぬ焦燥感を全身から漂わせながら戻ってきた。
「サティ様、大変なものを目撃してしまいました。先ほど無様に敗北した、ハオのシンボルを掲げるモブどもの件です」
大コブシを握りしめたコブシは、自身の額に浮かぶ冷や汗を拭うことも忘れて、本戦会場の裏手にある「薄暗い岩陰」で起きた一部始終をまくしたてた。
「ハオの手下であるペヨーテや花組の魔女たちが、負け犬どもの粛正を始めようとしたその時です。麻倉葉の友人としてパッチの高級ホテルに居座っている例のバグ物件――御門蓮夜が、その粛正を平然と手で制したのです」
「……ハオの絶対的な規律を、その少年が止めたというのですか?」
サティが、すべてを慈しむような深い両の目を見開き、静かに問いかける。
「ええ! それだけではありません。御門は地面に這いつくばって震える敗者たちに、一見すれば慈悲深い『セカンドチャンス(再融資)』を差し伸べました。……ですが、あれは救いなどではない。人間の『負け犬になりたくない』というプライドと魂を担保にして、一生逃げられねえ泥沼の融資(ローン)へ引きずり落とす、ただ殺すよりも過酷な終わりのない支配のシステム(仕組み)です。ハオの看板をチラつかせて絶望を売る、えげつない罠……。傍で見聞きしていたペヨーテは下卑た笑みでニヤニヤし、カンナという魔女すら『えげつない』と本気でドン引きしていました。さらにその現場へハオ本人が現れ、奴を『愛しい旅人』と全肯定して笑いかけていたのです!」
コブシが吐き出したあまりにもおぞましい裏取引の現実に、その場に集まっていたガンダーラの面々は一瞬にして言葉を失い、静まり返った。
「な、なんてえげつない男だ……。ハオのように圧倒的な力でねじ伏せるならまだ分かりやすいが、人間の弱みに付け込んでシステムで一生縛り上げるなど……。ただの子供がやっていいことじゃねえぞ」
ヤブマが顔を引き攣らせてドン引きし、トレードマークの表情を険しく歪める。
「ええ……。力による洗脳でも、恐怖による支配でもない。絶望している敗者に甘い蜘蛛の糸を垂らすフリをして、その実、死ぬまで終わらない底なしの泥沼にハメ殺すなんて。ハオ陣営の悪党どもすら引かせるその感性、完全に別の意味でバグっているわ……」
他のメンバーたちも肌に粟を生じさせ、気味の悪いものを見るかのように本気で眉をひそめていた。
そんな仲間たちの戦慄と、かつてないほど引き気味な空気が漂う中、サティはふう、と小さく息を漏らした。
「……不思議な子ですね。あの御門蓮夜という少年には、この世界の『過去の因果(歴史)』も、生まれ変わりの輪廻の足跡すらも見当たりません。そんな存在しないはずの彼が、ハオ陣営の規律すらも自分のシステムへ巻き込んで、世界をより面白い喜劇(ドラマ)にするために投資(レバレッジ)を仕掛けている」
サティは静かに合掌し、神の隣という最高のリザーブシートに座る少年の底知れぬ輪郭を、心眼で見つめるように目を閉じた。
「ハオを倒し、グレートスピリッツの正しき理を守るのが私たちの役目ですが……あの少年は、ハオの125万の霊圧のすぐ隣で、己の50万の質量(我が儘)のままに世界を全力で買い叩こうとしています。あの投資家の存在こそが、このシャーマンファイトの因果を誰も予測できない未来へと変えてしまうかもしれませんね」
サティが静かに告げたその不気味な予言に、ガンダーラの面々は、ハオとはまたベクトルの違う「経済的・精神的な最悪のカリスマ」の出現を肌で感じ、一様に冷たい戦慄をその身に刻み込むのだった。