バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】   作:カミト6622

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第63話:『控室の密告と、底知れぬ旧友の輪郭』

 

「ぷはぁー! いやぁ、金粉風呂と高級肉のレバレッジ、マジで最大級に利いたなぁ! 体がめちゃくちゃ軽いぜ!」

 

本戦での圧倒的な大勝利を収め、ステージ裏の控室へと戻ってきた麻倉葉は、春雨を壁に立てかけながら、へらへらとしたいつもの緩い笑顔で伸びをした。

その背後では、道蓮がフンと鼻を鳴らしながらも、昨日死にかけたとは思えないほどの超高密度な霊圧を体に馴染ませており、ホロホロとチョコラブは「次のルームサービスは何頼むよ!?」とすでに今夜のご飯の心配を始めている。

 

そんなQOL(生活の質)を限界突破させて上機嫌な彼らの元へ、顔面を蒼白に染めた小山田まん太が、ガタガタと短い手足を震わせながら飛び込んできた。

 

「は、葉くん! 蓮くん! みんな、のんきにルームサービスの話なんてしてる場合じゃないよぉぉ!!」

 

「んー? どうしたんだよ、まん太。そんなに慌ててさ。パッチの里のハンバーガーのパティでも喉に詰まらせたか?」

葉が相変わらずのユルさで首を傾げるが、まん太の顔は本気の恐怖に引き攣っていた。

 

「違うよ!! 僕、さっき本戦会場の裏手にある薄暗い岩陰で、ま、間違いなく見てしまったんだ……! 御門くんの、本当の『バグ物件(悪のカリスマ)』としての姿をさ……っ!!」

 

まん太の尋常ではない怯え方に、ホロホロたちが「あ? 御門がどうしたんだよ」とようやく視線を向ける。

 

「御門くんのやつ、ハオ陣営に加わりたいって懇願してきたモブ連中にさ、ハオの『シンボル(星の紋章)』を実際に放り投げて貸し付けてたんだよ! それだけじゃない、もし無様に負けたら、持霊も巫力も命のすべてを違約金として強引に回収(取り立て)するって、とんでもない闇金みたいな規律を突き立ててたんだ!!」

 

「なんだと……っ!?」

蓮の鋭い瞳がカッと見開かれる。

 

「しかも、そのモブ連中が本当に試合で負けたら、ハオ陣営の手下たちが粛正しようとしたのを御門くんが手で制してさ……『債権の処理の主導権は僕にある』なんて言って、さらに恐ろしい裏取引のセカンドチャンス(再融資)を突きつけて、モブたちを完全に自分の狂信的な捨て駒に変えちゃったんだよ!! 後ろからハオが出てきて、御門くんのことを『僕の愛しい旅人』って全肯定して笑ってたし、もうあそこだけ完全に本物の悪の組織のトップ対談だったんだからぁぁ!!」

 

一気にまくし立てられたまん太の密告。

その内容に、さっきまで高級ホテル暮らしに燥いでいたホロホロとチョコラブの顔から、一瞬にして血の気が引いていった。

 

「おいおいマジかよ……。あいつ、俺たちの前では『隣のクラスのちょっと変でめちゃくちゃ強い御門』のフリをして高級ホテルをポンと奢ってくれてんのに、裏ではそんなヤバいレバレッジ動かしてんのかよ……」

ホロホロがガチガチと歯を鳴らす。

 

その隣で、チョコラブは浅い呼吸を繰り返しながら、トレードマークのサングラスの奥の瞳を激しく見開いていた。

かつてニューヨークの暗黒街(ストリート)でギャングのリーダーとして血を流し、数々の無慈悲な『支配』を見てきた男。そんなチョコラブの脳裏に、かつて自分が手を染めた暴力の記憶ではなく、それを遥かに超越した御門の冷徹なシステム(仕組み)が過る。

 

「……笑えない。笑えないギャグだぜ、そいつは……」

 

チョコラブの額から、大粒の冷汗が伝い落ちる。

 

「銃や力で脅すストリートのゴロツキなら、まだマシだ……。あいつのやってることは、人間の『負け犬になりたくない』ってプライドと魂を担保にして、一生逃げられねえ泥沼の融資(ローン)にハメ殺すやり方だ。ハオの看板をチラつかせて絶望のセカンドチャンスを売るなんて……本物の悪党でも思いつかねえ、底なしの闇だぞ……っ」

 

かつて血みどろの抗争に身を置いていたチョコラブが、本気で怯え、声を震わせている。その事実が、控室の緊迫感を一気に跳ね上げた。

 

蓮もまた、自身の胸の傷をさすりながら、重苦しい声を絞り出した。

 

「御門蓮夜……。奴は俺をハオの秘術『泰山府君祭』で強引に蘇生させた時、『2度目の人生大事にしろよ』と言い放った。だが、それは単なる慈悲などではない。奴にとって、この世界の生も死も、ハオの因縁も、すべては己の我が儘(数字)で買い叩き、最前列の特等席で楽しむための玩具に過ぎないということか……!」

 

ハオの弟子でありながら、ハオの看板を担保にして人間の魂を融資の泥沼へと引きずり落とす不遜なカリスマ。

彼らが完璧に英気を養い、原作以上のポテンシャルを引き出されたことすらも、御門蓮夜という存在しないはずのバグ物件が、この壊れた世界を「より面白い喜劇(ドラマ)」にするために仕掛けた投資(レバレッジ)の一環だったのではないか。

 

その底知れない不気味さに、控室の空気が凍りつく。

 

しかし――そんな中、麻倉葉だけは、相変わらず頭の後ろで両手を組んだまま、へらへらとした緩い笑みを崩さなかった。

 

「あはは、相変わらず何考えてるか分かんねえ男だなぁ、御門は」

 

「葉くん!? なんでそんなに平然としていられるのさ! あいつはハオの隣で世界をバグらせてる怪物なんだよ!?」

まん太が信じられないと絶叫するが、葉はキャップのつばをくいっと上げて、最上段のあの特等席がある方向を見つめた。

 

「だってさ、御門がどれだけ裏でヤバいことしてようが、俺たちを助けて高級ホテルに泊めてくれてんのは事実だろ? アンナに公式ATM扱いされても文句言わずにさ。……あいつがどれだけ不条理な質量を持って世界を壊してようが、俺はあいつを『隣のクラスの御門』として、正面からぶつかって追いついてみせるだけだわ」

 

葉のその底抜けの陽気さと、旧友の不気味さすらも丸ごと呑み込む器の大きさに、蓮たちはハッと息を呑み、まん太は呆れたようにガックリと肩を落とした。

 

本来の歴史を完全に崩壊させ、自分の我が儘のままに全力で買い叩くと決めた世界。

葉たちが自らの異質さに警戒を強め、それでも正面から牙を剥こうとしているそのドラマすらも、神の隣という最高のリザーブシートに座る御門蓮夜にとっては、最高にゾクゾクするほど面白い極上のエンターテインメントの一部でしかなかった。

 

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