バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】   作:カミト6622

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第64話:『不穏な歯車と、債務者たちの暗躍』

 

パッチの里のきらびやかな本戦会場から遠く離れた、山の斜面に広がる切り立った岩場。

夕闇が周囲の景色をどろりと黒く塗りつぶしていく中、そこには数人のシャーマンたちの姿があった。先日、俺――御門蓮夜から「シンボル」を貸し付けられながらも無様に敗北し、命一髪のところで『セカンドチャンス(再融資)』という名の終わりのない泥沼へと引きずり落とされたモブ連中だ。

 

彼らの胸元には、本来であればハオ様の直系しか身につけることを許されない、あの星の紋章(シンボル)が不気味に鈍い光を放っている。

 

「……おい、本当にやるんだな? 失敗したら、今度こそ俺たちの魂は御門の旦那に根こそぎ取り立てられるんだぞ」

モブの一人が、恐怖に歯をガチガチと鳴らしながら、手にした媒介を強く握りしめた。

 

「やるしかねえんだよ! あの白銀の不条理(50万の質量)を前に、ノーと言えるわけねえだろ! 旦那の言う通り、ここで死に物狂いで働いて利益(リターン)を還元しなきゃ、俺たちの命は冥府の門の向こう側だ!」

リーダー格の男が、血走った目で仲間を怒鳴りつける。

 

彼らの瞳に宿っているのは、ハオ様への純粋な狂信ではない。

御門蓮夜という、この世界の理(原作)すらも資本主義の数字と圧倒的な巫力で強引に買い叩くバグ物件への、骨の髄まで叩き込まれた「絶対的な恐怖」と、そこから狂信へと反転した歪な忠誠心だった。

 

彼らがこの日陰の岩場で待ち伏せているのは、パッチの里の裏で進行している『ある不穏な動き』――すなわち、ハオ陣営の最高危険度バグとして俺をマークし、超法規的な武力行使(私刑)でハオ陣営の戦力を削ろうと暗躍している、X-LAWS(エックス・ロウズ)の別働隊の動向だった。

 

本来の歴史であれば、この時間帯のX-LAWSは、葉の棄権を受けて着々と自分たちの正義の盤面を進めているはずだった。だが、俺がその原作を『泰山府君祭』で木っ端微塵に崩壊させたことで、彼らは完全に焦っていた。だからこそ、本戦の裏で汚い奇襲を仕掛けようと、この岩場を移動ルートに選んだのだ。

 

「――来たぞ。純白の軍服だ。……旦那のツケを払うぞ、野郎どもぉ!!」

 

岩陰から姿を現した数人のX-LAWS隊員たちに向けて、モブ連中が一斉に飛び出した。

 

「なっ……ハオの手先か!? いや、この凄まじい執念は一体……っ!?」

不意を突かれたX-LAWSの隊員が、懐の拳銃を構えるよりも早く、モブたちの放ったなりふり構わないオーバーソウルが空間を裂いた。

 

「おおおおおっ! 負けたら返せって言われてんだよぉぉ! 旦那の取り立て(違約金)に比べたら、お前たちの絶対正義なんて、ただの生ぬるい微風だわ――っ!!」

 

ドゴォォォォン!!

 

凄まじい爆発音が、夜のパッチの里の裏山に木霊する。

モブたちの実力は、本来ならX-LAWSの精鋭相手に通用するはずもない。だが、今の彼らは「御門蓮夜に全てを毟り取られる恐怖」によって、自らの魂の許容量を遥かに超えた、限界突破の巫力を強制的に絞り出していた。

捨て駒としての自覚と、死に物狂いの狂気が、本来のパワーバランスを完全にレバレッジ最大級にバグらせていく。

 

正義を騙るテロ組織と、闇金の債務者と化した狂信者どもの、原作のどのページにも存在しない泥泥とした私闘。

 

「……ククッ、ハハハ! 実に愉快な喜劇(ドラマ)だね、蓮夜。君の融資(ローン)を受けた人間たちが、僕の用意した舞台の裏側で、正義の歯車を文字通りガタガタに噛み砕いているよ」

 

その様子を、本戦会場の最上段、最高級の冷酒をお猪口でクイッと煽りながら、俺とハオ様は通信用の霊術を介して、最前列の特等席からじっくりと傍観していた。

 

「ええ、ハオ様。投資した駒(モブ)が、あそこまで死に物狂いで利益(リターン)を回収してくるとはね。おかげでX-LAWSの裏工作も完全にレバレッジが相殺されて大赤字ですよ。これだから原作崩壊の世界の批評(野次馬)は、最高に割に合う投資(エンターテインメント)なんですから」

 

俺はジャージのポケットの中で、左手の白銀の指輪を親指でそっとなぞり、不敵な、そして底知れない笑みを口元に深く刻んだ。

 

ハオ様は俺の背後に回ると、その細い両手で俺の首元を愛おしげに抱き寄せ、耳元で狂おしいほどの執着を滾らせて囁いた。

 

「世界なんて、君の我が儘のままに、もっと派手にバグらせておしまい、僕の愛しい旅人。君が壊した世界のその先にある『生命の答え』を、僕は誰よりも君のすぐ隣で見届けるよ」

 

壊れた歴史のその先で、存在しないはずの傍観者は、神の隣という最高のリザーブシートに座りながら、自ら放った不穏な歯車が世界をさらに歪めていく様を、最高にゾクゾクするほどの愉悦と共に手懐けていくのだった。

 

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