バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
ドゴォォォォン!!
凄まじい爆発音の残滓(ざんし)が、夜のパッチの里の裏山を揺らし、やがて静かに夜の闇へと溶けていく。
岩場に広がっていたのは、X-LAWSの別働隊が誇る一糸乱れぬはずの純白の陣形が、文字通り無残にバラバラに噛み砕かれた凄惨な光景だった。
「な、何なんだ……あいつらは……! なんでそこまでして、僕たちを……っ!」
瓦礫(がれき)の上に膝をつき、肩を激しく上下させながら血の混じった息を吐き出しているのは、リゼルグ・ダイゼルだった。
彼の傍らでは、隊長のマルコが眼鏡を片方叩き割られ、軍服を泥と火薬で真っ黒に汚しながら、未だに信じられないものを見たというように虚空を睨みつけている。
X-LAWSの別働隊を襲撃したのは、ハオの手先の中でも高名なペヨーテたちでも、あの凶悪なハナ組の魔女たちでもない。
本来の歴史(正史)であれば、本戦の足元にも及ばず名もなき敗者として消え去るはずだった、あの岩陰のモブ連中――『御門蓮夜の債務者たち』だった。
「ひ、ヒィィィ……! 旦那の……御門の旦那の取り立て(違約金)に比べたら、こんなもん……!!」
そう叫びながら、自らの魂の許容量を遥かに超えた限界突破の巫力を強制的に絞り出し、肉体が自壊するのも構わずに特攻を仕掛けてきた有象無象。
実力や術の格式では、X-LAWSの方が遥かに上だったはずだ。だが、あのモブたちが背負っていた「御門蓮夜に全てを毟(むし)り取られる恐怖」と、そこから狂信へと反転した歪な執念の質量は、マルコたちの掲げる中世のような「絶対正義」のレバレッジを根底から完全にへし折っていた。
満身創痍のモブどもは、X-LAWSの別働隊の裏工作(奇襲計画)を完全に潰し終えると、ボロボロになりながらも「これで……これで還付される……!」と不気味な笑みを浮かべ、闇の中へと消えていった。
後に残されたのは、圧倒的な敗北感と、底知れない焦燥感だけだ。
「ハオだけでなく……あの『御門蓮夜』という男の息がかかった有象無象まで、これほど狂っているというのか……!」
マルコが拳を地面に叩きつけ、悔しげに歯噛みする。
アイアン・メイデンの檻の奥からも、ジャンヌの放つ神聖な霊圧が、まるで世界の理そのものが別の不条理に書き換えられてしまったかのように、激しく動揺して揺らいでいた。
リゼルグは、自身のダウジングのペンデュラムが、恐怖でカタカタと狂ったように震えているのを見つめるしかなかった。
昼間、渡り廊下で蓮夜から「歪んだ正義ごっこ」「完全な私刑」「国際指名手配犯」と冷酷な現代的正論で心を徹底的にバラバラに壊された、あの時の言葉が再び脳裏に蘇る。
『ハオ様に出会ったのは、不運にも酷い災害に遭ったとでも思って忘れろ。……自分の人生をドブに捨てるのは無駄以外の何物でもないよ』
(違う……違うんだ……! 僕たちの正義が、あんなバグみたいな理不尽に負けるはずがない……! なのに、なんで届かないんだ……っ!)
ハオという絶対的な絶望に加え、突如として現れた『御門蓮夜』という存在しないはずのバグ物件。
奴がただそこにいて、気まぐれに金(FX資金)を動かし、気まぐれにハオのシンボルをモブに貸し付けるだけで、自分たちが命を賭して築き上げてきた正義の盤面は、何の手応えもなくただの砂上の楼閣のように崩壊していく。
「あいつは……あの男は、僕たちの運命を、僕たちの人生のすべてを、ただの『数字の融資(ローン)』みたいなお遊びで弄んでいるんだ……っ!」
リゼルグの瞳の奥で、純粋だった少年の光が完全に圧殺され、狂気的なまでの『力への渇望』がどろりと濁った炎となって燃え上がる。
ハオへの復讐心と、蓮夜に全てを蹂躙された屈辱。それらが限界突破して混ざり合い、彼の精神を本格的な絶望の深淵へと叩き落としていた。
本来であれば、仲間との絆や正義のあり方に泥臭く悩むはずだったリゼルグ・ダイゼル。
だが、存在しないはずの傍観者が放った『捨て駒』たちの狂気によって、彼の運命の歯車は完全にへし折られ、原作のどのページにも記載されていない、暗く歪んだ暴走のシナリオへと、その身を完全に投じ始めていた。