バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
【X-LAWSサイドストーリー】:『正義の詰問と、不敬なる一言』
X-LAWSの凄惨な処刑劇を見届け、お土産のポテトチップスの袋を片手に高級ホテルへ帰ろうと、俺は会場の裏手の静かな通路を歩いていた。
当然、俺の隣には長い髪をツヤツヤに揺らしたハオ様が並び、後ろにはカンナやマリ、マッチの魔女三人娘をはじめ、元X-LAWSのラキスト、さらにはペヨーテやハン・ザンチン、ボリスにコタロウ、ダム、ブロッケン……と、ハオ組の面々がゾロゾロと付き従っている。
周囲にいる有象無象の一般シャーマンたちは、この「最凶のハオ軍団」の進軍を見るだけで顔を青ざめさせ、悲鳴を上げんばかりに蜘蛛の子を散らすように道をあけていく。そんな最悪のトップ集団の中心で、片手にポテトチップスの袋を抱えて気の抜けた黒パーカー姿で歩いている俺は、周りの連中からすれば「ハオに匹敵する50万の霊圧を隠し持つ、一番正体の分からない謎の巨頭」として、本気で恐れおののかれていた。
そんな俺たちの前に、ザッ、ザッ、と白装束の集団が、悲壮な決意を乗せた殺気を孕んだ足音を響かせて現れた。
「――待て、悪魔の申し子よ。……そして、ハオ」
トレードマークのメガネの奥の目を血走らせ、怒りで肩を震わせている男――マルコだった。その背後には、昨日俺の「おねしょ発言」に脳内をバグらせていたX-LAWSの隊員たち(リセアラをはじめとする女性隊員たちも含む)が、いつでも持霊を召喚できるよう銃を構えて身構えている。さらにその中心には、先ほどリングの上で圧倒的な処刑劇を見せた聖女――アイアン・メイデン・ジャンヌ本人の姿もあった。
マルコたちはハオ組の放つ圧倒的な威圧感に喉を鳴らし、ガタガタと手を震わせながらも、正義のプライドを維持せんと必死に俺を指差した。
「昨日のおねしょの暴言に続き……お前は今日、あろうことか悪魔の軍勢を引き連れて特等席に陣取り、ポテトチップスを貪りながら我々の聖なる処刑(ジャッジ)を眺めていたそうだな! 何という不敬……何という悪魔の所業か……っ!」
マルコは額に青筋を浮かべ、正義の名の元に俺を糾弾せんと激しいプレッシャーを放ってきた。だが、その様子をすぐ隣で見つめるハオ様は、実におかしそうにクスクスと爆笑している。
俺はポテトチップスを最後の一枚までサクッと口に放り込むと、元36歳サラリーマンとしての図太さをフル活用し、マルコに向かって極めて冷めた、不遜な視線を向けた。
「――うるせぇ、拷問好きの変態野郎が」
俺は一歩前に踏み出し、前世の泥臭い社畜時代に培った、相手の理不尽な精神論を一瞬で叩き潰すような冷徹な大人の口調で、マルコに向かって吐き捨てるように言い放った。
「正義だの聖女だの大層な名前で飾っちゃいるが、あのメイデンの正体なんて、わざわざ針だらけの箱に入って自分を痛めつけて悦んでる、ただの生粋の変態じゃねえか」
「な……ななな、何という……何という不敬をーーーっ!!!」
顔を真っ赤にして絶叫するマルコ。
だが次の瞬間、俺は突如として、まるで脳内の何かのネジが外れたかのように目から大粒の涙をポロポロと流し、自分の頭を抱えて激しく嗚咽し始めた。
「う、うおおぉぉん……っ! だけどな、チビマルコォ……! 俺はあの聖女(ジャンヌ)が可哀想で、可哀想で仕方がねえんだよぉぉぉ……っ!!」
「は、はい……っ!? チ、チビマルコ……? いきなり泣き出した上に誰がチビだァァァッ!!」
あまりの情緒不安定っぷりと、名前をいきなりモジられた不条理さに、殺気立っていたマルコたちだけでなく、リセアラをはじめとするX-LAWSの女性隊員たちまでが完璧にドン引きの表情に変わる。ハオの隣で50万の霊圧を持つ怪物が泣き喚くというカオスな光景に、周囲の一般シャーマンたちは恐怖のあまりパニックを起こして逃げ出していた。
俺は涙と鼻水をグスグスと啜りながら、理不尽極まりない哀れみをマルコたちに叩きつけた。
「あの若さで、ひとえにこんなっ……こんな周りを見渡せば白装束を着た変態どもにばかり囲まれて育っちまったからぁ! あんな自傷行為まがいの拷問が大好きな変態幼女になっちまったんだよおぉぉぉっ!! 環境が、環境があの子を狂わせたんだ畜生ォォォーーーっ!!」
「だ、誰が変態どもだァァァーーーーッ!!! 我々の清廉潔白な教育を環境型の悪魔の呪いみたいに言うなァァァーーーーッ!!」
「おいおい、そんなに怒るなよメンチカツ(マルコ)。それともコショウ(マルコ)か? 泣きすぎてお前の名前が何だか分からなくなってきちまったよォォォ、マルコポーロォォォ!!」
「――ぶっはははははは!!! メンチカツにコショウって!! おい蓮夜、そいつはいくら何でも名前の原型すら残ってねえぞ!!」
俺の後ろから真っ先に爆笑を弾けさせたのはペヨーテだった。
それを皮切りに、耐えかねたハオ組の全員が一斉にドッと大爆笑の渦に包まれた。
「フハハハハ! おい見ろよザンチン、マルコポーロだとさ! 旅にでも出かける気かあのメガネは!」
ハン・ザンチンが巨体を揺らして笑い転げ、ボリスやコタロウ、ダムたちも「泣きながらあそこまで人を的確に誂う奴があるか」と涙を流して腹を抱えている。ブロッケンはレゴブロックをカタカタと激しく鳴らして爆笑を表現していた。
さらには後方に佇んでいた元X-LAWSのラキストまでもが、「クスクス……マルコ、お前は相変わらず冗談の通じない男だな。メンチカツとは言い得て妙じゃないか」と、かつての同胞のあまりの取り乱しっぷりに、フッと冷徹な、しかし実に愉快そうな笑みを浮かべて誂っている。
「ど、どこまで人を小馬鹿にすれば気が済むんだお前たちはァァァーーーッ!!! 私はマルコだ!! メンチカツでもコショウでも旅行家でもないッ!!! ラキスト、貴様までその悪魔の弟子のふざけた悪ノリに乗りおってェェェ!!!」
限界突破した名前弄りの波状攻撃と、ハオ軍団全員からの容赦ない笑い声の洗礼に、マルコはついに血を吐きそうなほど怒髪天を突いて絶叫した。背後の隊員たちや女性隊員たちも、完全に脳内がパニックを起こしてガタガタと銃を取り落として震えだした。
そんなカオスな空間の中、白装束の隊員たちに守られていたジャンヌ本人が、無垢で、しかしどこか常識のズレた聖女の瞳をパチクリとさせて俺を見つめてきた。
「……あの、御門蓮夜さん、とおっしゃるのですから? 涙を流して私を心配してくださるのはありがたいのですが……私、変態ではありません。世界の罪を背負うために、この痛みに耐えているのです」
ジャンヌは、俺の「拷問好きの変態」というフレーズを真っ向から否定しつつも、自分の処刑システムを大真面目に語ってきた。
俺は涙をピタッと止め、一瞬で冷徹なトーンに戻ってジャンヌをじっと見つめると、大人の憐れみを込めてあっさりと言い放った。
「ほら見ろマルコ、本本人『私は変態じゃありません(自覚のない変態)』って言い張ってるじゃねえか。自覚症状がないのが一番タチが悪いんだよ。……おいお前、そんな針だらけの箱に毎日入る暇があるなら、俺の高級ホテルの部屋にこいよ。パッチのぼったくり飯とは比べ物にならない、本物の美味い男飯と、五行の理で沸かした極上の温泉に入らせてやるから。変な男たちの環境から離れて、普通の女の子に戻れって」
「ま、メイデン様を高級ホテルに誘拐(ナンパ)しようとするなァァァーーーーッ!!! どこまで不敬なのだお前はァァァーーーーッ!!!」
マルコが泡を吹かんばかりに絶叫する中、俺はさらに呆れたように溜息を吐き、ジャンヌに向かって元社会人としての強烈な常識を突きつけてやった。
「大体な、お前がいつも入ってるそれは『お風呂』じゃなくて、海の中に沈められて水責めされてるだけの『ただの拷問』だ。どうせマルコたちにそんな無茶苦茶な仕打ちをされて、お風呂に入った気になってるんだろ? もっと常識(ライフライン)を考えろ。海は入るもんじゃなくて眺めるか魚を釣るもんだ」
「う、海は拷問……? 私が毎日入っていたのは、お風呂ではなかったのですか……?」
原作知識を直球で突っ込まれ、ジャンヌは「お風呂の常識」そのものをハッキングされたかのようにショックを受け、その無垢な瞳をパチパチと泳がせてフリーズした。
そのあまりにも哀れで常識の欠落した聖女の呟きを聞いた瞬間――。
「「「う、うわあああぁぁぁん!!! 可哀想すぎるわよおぉぉぉーーーっ!!!」」」
俺の後ろでさっきまで呆れていたカンナ、マリ、マッチの魔女三人娘が、突如として大粒の涙をボロボロと流しながら一斉に泣き崩れた。
「ちょっとメガネ!! あんたたち、あの幼い子を毎日海に沈めてお風呂だなんて騙してたわけ!? なんて非道な環境なのよ、可哀想に、可哀想にぃぃぃ!!!」
カンナが涙でボロボロの顔を歪めてマルコにタバコを投げつけ、マリとマッチも「あんな冷たい海でお風呂だなんて、拷問以外の何物でもないよぉぉぉ!」「普通の温かい温泉に入ったこともないなんて、哀れみしか感じられないよぉぉぉ!!」と大号泣しながらジャンヌを熱烈に憐れみ始めた。
さっきまで俺の悪ノリを引いた目で見ていたはずの魔女たちが、あまりの「不憫な生活環境の格差」にハートを射抜かれ、完璧に俺の泣き上戸プレイ側へとシンクロしてしまったのだ。
「ま、メイデン様に余計な常識(ライフハック)を教えるんじゃなァァァい!!! あれは神聖な儀式だァァァッ!! というかハオ組の魔女どもまで何で一緒になって泣きながら我々を糾弾してんだァァァッ!!」
マルコが必死にツッコミを入れるが、ジャンヌは魔女たちの熱烈な涙の同情を浴びながら、俺の提示した「本物の温かい温泉」という生々しい文明の利器に、不覚にも「お、温泉……海より温かいのですか……?」と興味深そうに目を輝かせていた。
「あははははは! 最高だね、蓮夜! 聖女をただの自覚のない変態扱いした挙句、海に沈む拷問をお風呂と勘違いしている常識の無さを完璧にハッキングして、僕の魔女たちまで涙を流させてしまうなんてさ!」
ハオ様がお腹を抱えるようにして大爆笑し、怪談の八尺様よろしく俺の肩に手を置いてゼロ距離で覗き込んできた。その切れ長の瞳には、俺のこの不遜で図太い魂に対する、極上の愛着が灯っている。
「本当に、笑顔でおねしょだの変態だの連発して、あの完璧に息の合った師弟とハオ組、ある意味で一番恐ろしいわね……でもあの聖女は本当に可哀想だわ……(グスッ)」
カンナが鼻を啜りながら、ハオ様と俺のデタラメなコンビネーションに深い溜息を吐き出していた。
「それじゃ、俺は高級ホテルの美味い飯の仕込みがあるんで失礼しますわ。次はお前らの股間から本物のおねしょ(失禁)を溢れさせられたくなければ、二度と俺の平穏(日常)を邪魔すんじゃねえぞ、メガネ」
涙をピタッと止め、冷徹なトーンに戻った俺は、ワナワナと震えているマルコたちをその場に置き去りにし、ハオ組全員の愉快そうな笑い声と魔女たちのシクシクとした鼻水の音を引き連れて足早にその場をあとにした。
「最凶のハオ軍団の中心」という周囲からの絶対的な恐怖の視線を浴びながら、カイドウ風の泣き上戸、最低の罵倒、マルコへの容赦ない名前弄り、そして聖女への生々しい常識(お風呂ツッコミ)で魔女三人娘まで涙の渦に巻き込んで完全にシリアスをハッキングしていく俺。
ふんばりチームや道家に続き、X-LAWSまでもが完璧にポンコツな困惑に呑まれるまさにその裏側で、事なかれ主義の男によるラグジュアリーな本戦ロードマップは、いよいよ自身の決勝トーナメントの次なる激闘へと、不敵に動き出そうとしていた。