バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】   作:カミト6622

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【X-LAWSサイドストーリー】『聖女の沈没宣言と、絶対正義の不登校(不帰船)』

【サイドストーリー】『聖女の沈没宣言と、絶対正義の不登校(不帰船)』

 

パッチ族運営の最高級ラグジュアリーホテルに、ジャンヌたちが宿泊してから明けた翌朝。

小鳥のさえずりが響く爽やかな空気の中、特別大広間には、信じられないほど甘く香ばしい香りが漂っていた。

 

「メイデン様、本日の朝食は、蓮夜様が昨夜のユーロドル相場で叩き出した爆益を原資とした『最高級エシレバターのフレンチトースト・パッチの天然ハチミツ添え』にございます!」

 

ハッピ姿の十祭司シルバが、一流ホテルのチーフマネージャーのごとき流麗な所作で、金縁の皿をテーブルに並べていく。

 

「まぁ……! なんて愛らしくて、芳醇な香りなのでしょう……!」

すっかりお気に入りとなった「パッチホテル特製・最高級シルク浴衣」の袖を上品に押さえながら、ジャンヌは目を輝かせた。

フォークで一口大に切り、ハチミツをたっぷりと絡めて口に運ぶ。

 

「――っ!!! 素晴らしいです……! バターのコクとハチミツの甘みが、私の味覚のポートフォリオを完璧に満たしていきます……!」

美味しさのあまり、ジャンヌの背後から物理的な聖なる後光(巫力)がピカアアアと激しく発光し、大広間を眩しく照らし出す。

 

「うわぁ、朝からハンパない巫力の無駄遣い……」

対面に座り、自分のタブレットでリアルタイムのロンドン市場のチャートをチェックしていた蓮夜は、引き気味に呟いた。その横では、同じくシルク浴衣姿のハオが「いいじゃないか、蓮夜。美味しい朝食は人を幸せにする。特に、乾パンと聖水だけで育った可哀想な聖女ならなおさらさ」と、クスクス笑いながら優雅に紅茶をすすっている。

 

そこへ、大広間の襖がガラリと開き、まだ目にうっすらと涙を浮かべたリセアラたち女性隊員が神妙な面持ちで入ってきた。

 

「メイデン様……大変申し上げにくいのですが、そろそろお時間です。マルコ隊長が船で目を覚まし、皆様の帰還を首を長くして待っておられます。そろそろ……あの鉄の船へ戻りましょう」

 

その言葉を聞いた瞬間、それまで幸せそうにフレンチトーストを頬張っていたジャンヌの動きが、ピタリと止まった。

ジャンヌはゆっくりとフォークを置くと、ブルーの瞳を少し伏せ、それから意を決したように蓮夜とハオ、そしてリセアラたちを見つめて、大真面目な顔で言い放った。

 

「――嫌です。私は、もうあの船には帰りたくありません」

 

「「「「えええええええーーーッ!?!?」」」」

 

大広間にリセアラたちとシルバの絶叫がこだまする。蓮夜すらも思わずチャートを見る手を止め、タブレットを落としそうになった。

 

「メ、メイデン様!? 何を仰るのですか! あそこは我々X-LAWSの、絶対正義の移動本拠地ですよ!?」

慌てふためくリセアラに対し、ジャンヌはシルク浴衣の胸元をキリッと正し、昨日蓮夜から叩き込まれた知識を総動員して、淡々と理路整然とした「沈没宣言」を述べ始めた。

 

「リセアラ、よく考えてみなさい。あの冷たい鉄の船にあるのは、全身血まみれになる針の箱(拷問)と、客観的に見たらただの水責めでしかない冷たい海のお風呂、そして味のしない乾パンと聖水だけです。それは生活環境として、明らかに『破産(ロスカット)』しています」

 

「は、破産……っ!?」

 

「一方、このパッチ族の最高級ホテルには、肌を優しく包み込む温かい温泉(混浴ですが全員水着なので極めて健全です)があり、パッチ族のブラックな財政難を救う蓮夜さんの聖なるFXマネーがあり、そしてこの絶品のフレンチトーストがあります。これほどの圧倒的なラグジュアリー(救済)を前にして、なぜわざわざ過酷なディストピアに戻らねばならないのですか? 私はここに延泊します。いえ、いっそのこと、ここをX-LAWSの新しい本拠地に指定します!」

 

「聖女様がホテルに永久就職(闇堕ち)されようとしているゥゥゥーーーッ!!」

リセアラたちは頭を抱えてガタガタと震え出した。

 

「素晴らしい決断だね、メイデン。僕としても、可愛い女の子が隣の部屋にいてくれた方が華やかで嬉しいよ」

ハオが楽しげに拍手を送る。

 

「いや、嬉しがらないでくださいハオ様! あとジャンヌさん、本拠地指定って何ですか!? ここパッチ族のホテルだから! 俺がFXで必死にマメにチャート張り付いて稼いだ宿泊費で成り立ってるだけだから!」

すかさず蓮夜がツッコミを入れるが、ジャンヌの意志は鉄よりも固かった。

 

「シルバさん、チェックアウトのキャンセルと、今夜からの長期延泊の手続きをお願いします。費用はすべて、蓮夜さんの口座に『ラグジュアリー・ジャッジメント(ツケ)』で」

 

「かしこまりました、ジャンヌ様!! 蓮夜様の無限のドル円爆益口座から、爆速で長期宿泊の決済を処理いたしますッ!!」

パッチ族の財政を潤してくれるジャンヌを、シルバはもはや新しい神のごとき手際の良さで迎え入れ、レセプションへと猛ダッシュしていった。

 

その頃、何も知らずに鉄の船で「メイデン様、そろそろお目覚めのお時間です。さあ、今日も正義のために冷たい海へジャッジメントに参りましょう!」と、ピカピカに磨いたメガネをかけて待っていたマルコが、このあと「聖女、ホテルに沈没」の報を受けて三度泡を吹いて倒れることになるのだが、それはまた別の話である。

 

絶対正義の聖女の胃袋と財政感覚を完全にハッキングし、敵のトップを高級ホテルの延泊常連客へと変貌させてしまった御門蓮夜の、事なかれ主義という名の資本主義テロ。シャーマンファイトの勢力図は、戦う前から「ふやけた湯上がりの爆益パラダイス」へと完全に固定され、誰も船に帰りたがらない泥沼の怠惰へと沈んでいくのだった。

 

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