バグ魂の不確かすぎる多世界周回 〜シャーマンキング編〜 【AI本文利用】 作:カミト6622
「――私はここに延泊します。いえ、いっそのこと、ここをX-LAWSの新しい本拠地に指定します!」
シルクの浴衣をなびかせ、フレンチトーストを優雅に口に運びながら言い放ったジャンヌの「不帰船宣言」。
大広間に沈黙が流れる中、連れ戻しに来たはずのリセアラたち女性隊員は、ガタガタと震えながらお互いに顔を見合わせていた。
「リ、リセアラ……どうするの? マルコ隊長に連絡して、アイアン・メイデンを強制牽引する?」
「でも……考えてみて。あの冷たい船に戻ったら、また味のしない乾パンと聖水よ? 毎日全身血だらけになるメイデン様を、私たちはただ泣きながら見守るしかないのよ……?」
彼女たちの脳裏に、パッチ族の最高級ホテルで味わった「温かいお湯」と「文化的で衛生的な環境」が走馬灯のように駆け巡る。
そして、リセアラは決意に満ちた目でジャンヌを見つめ、バッとその場に膝をついた。
「メイデン様……! 私たち女性隊員一同、聖女の決定にどこまでも追従いたしますッ! 正義の拠点は、今日からこの最高級パッチホテルですッ!!」
「ちょっ、お前らもかよ!!」
蓮夜の鋭いツッコミが響く。だが、一度決壊したダムの決意は止まらない。
「シルバさん! カリムさん! 私たち一般隊員用の『最新トレンド水着』と『延泊プラン』を爆速で手配してください! 費用は当然、御門蓮夜様のドル円爆益ファンドからで!」
「喜んでぇぇぇーーーッ!!! フロントにて最新のビキニとラッシュガード、計5名様分、即時決済(蓮夜様ツケ)いたしましたッ!!」
ロビーの奥からシルバの歓喜のラグジュアリー・ボイスが響き渡る。
こうして、絶対の規律を誇っていたはずのX-LAWS女性陣は、わずか数分でパッチホテルの「湯上がり延泊組」へと完全に取り込まれた。
数十分後。
最上階の展望混浴露天風呂には、昨日以上の華やかな光景が広がっていた。
「あ〜……本当に極楽ね、リセアラ。鉄の床を這い回るマルコ隊長の小言を聞かなくていいなんて、どんな神の救済よ」
「本当ね……。お肌のキメが全然違うわ。見て、お湯がすごく滑らか……」
最新のデザイン水着に身を包んだリセアラたちが、湯船の中で完全に手足を伸ばしてふやけている。
その中央では、白の可愛いラッシュガード水着を着たジャンヌが、ハオ組のカンナ、マティ、マリの三人娘とすっかり女子トークに花を咲かせていた。
「ジャンヌちゃん、その水着めっちゃ似合ってる〜!」
「本当。あの物騒な鉄の箱に入ってる時より、100倍可愛いわよ」
「ありがとうございます、カンナさん。マティさんに洗っていただいた髪も、温泉の成分でとてもサラサラです……。これが、普通の女の子のコミュニティ(ポートフォリオ)なのですね……」
泥パックを顔に塗りながら笑い合う魔女と聖女。もはやそこには、シャーマンファイトの敵味方の境界線などミクロ単位すら存在していなかった。あるのは、ただ健全で最高級な温泉の温もりだけである。
「……ハオ様。これ、本当にシャーマンファイトの舞台裏ですよね? 俺のFXの利益、完全に敵の女子旅の資金源になってません?」
湯船の端で、黒のスイムウェア姿の蓮夜が、手元のタブレットでポンド円のチャートをマメに監視しながら頭を抱えていた。
その隣で、黒のスタイリッシュなラッシュガードを着たハオが、パッチ族の売店からキンキンに冷えたフルーツ牛乳を追加で受け取りながらクスクスと笑う。
「いいじゃないか、蓮夜。正義の軍勢が水着姿で僕たちと温泉に浸かっているんだ。戦わずしてこれだけの勢力を無力化(もてなし)した君の『レバレッジおもてなし』は、歴史上どのシャーマンよりも恐ろしいよ。ほら、見てごらん」
ハオが指差した先では、湯上がりのマルコ……ではなく、マルコから完全に置いていかれた女性隊員たちが、蓮夜の爆益で注文した最高級のパフェを笑顔でジャッジメントしていた。
その頃、X-LAWSの移動本拠地(鉄の船)では、完全に無人となった女子部屋の真ん中で、マルコが「メイデン様ァァァ! リセアラぁぁぁ! なぜ誰も朝の礼拝に遅刻(ロスカット)してこないんだぁぁぁーーーッ!!」と、ピカピカに磨いたメガネのレンズを涙で曇らせながら絶叫していたが、それはまた別の話である。
敵の主力である女性隊員までをも温泉と水着のパラダイスへ誘い込み、実質的な「爆益おもてなし組合」を拡大させた御門蓮夜。事なかれ主義という名の資本主義テロは、シャーマンファイトをいよいよ戦意ゼロの「ふやけた湯上がりの大極楽」へと沈没させていくのだった。