百合ゲー世界の上位存在淫魔にTS転生しました♡ 作:名も無きリリフェル様♡
神は、まず名を与える。名を与えられたものは初めてそこで存在を始める。
聖典の一行です。書いたのは、わたくしでした。
これでもわたしは、一億年耐えきった、一億年の女です。
あの夢の中で、リリフェル様はわたしを一億年イかせ続けてくれました。
この愛の試練を耐えきった女など、この世界にわたししかいません。いないはずです。よって、掲示板にもそう書きました。
つまりは、リリフェル様の伴侶になれる女はわたしだけしかこの世にいません。
そのはずなのに――
わたしには、名が与えられていません。
聖女、というのはあくまで称号です。
教会が与えたものに過ぎません。
決して、我が神が与えたものではありません。
今朝の礼拝で、信者の一人がこんなことを申しました。
「聖女様、聖女様の新しい神の御名は『リリフェル様』だと伺いました。では、聖女様の御名はなんなのでしょうか?」
わたくしは、静かに微笑みました。微笑んで、そのまま次の賛美歌へ移りました。
そう。わたしは、答えられなかったのです。
信徒の間では、聖女様の御名は畏れ多くて口にできないのものなのだ、と噂されているそうです。
……違います。決して畏れ多いのではなく……まだ無いのです。
あの一億年の夢が明けた朝、わたしは聖典を書き直しました。
旧き神の項をすべて削って、新しき神の項を、一から、千まで、順々に書いていきました。
だが、そこに残された古きままの第一行に、今わたしは裁かれています。
村人ですら、名を与えられた。村人ちゃん、と。
村人はそれを自らの本名と定め、掲示板の名前欄まで改めました。
これは、教義に照らしても、正しい。あまりにも正しい。
名を与えられた者は、そうして初めて自らの存在を始める。
つまりは、村人はついに、自らの存在を始めたのです。
では、わたしは……?
わたしは、まだ、存在していない。
一億年、耐えたのに。
聖典も、書きなおしたのに。
ふふっ……
ふふふふふっ……
落ち着きなさい、わたし。
わたしは聖女です。聖女は、なにがあろうと取り乱したりしません。
取り乱すのは、あの愚かな魔女の専売特許です。
今夜、わたしの下に、あの方がいらっしゃいます。
掲示板に、そうお書きになられていました。
「では今夜は、聖女さんに、素敵な夜をお過ごしいただきましょうか♡」
今夜、わたしは名を頂いてみせる。
とはいえ――
――それでも、聖女は、乞いません。
一億年のあの夜、わたしは決して、一度も乞いませんでした。
ゆえに、今夜も、乞いません。
そのために、練習をしました。
あの方が、お名前をあげましょうか、とおっしゃられる。
わたしは、土下座して、ありがとうございます、と感謝する。
それだけ。
それだけで、いい。
決して乞わない。決して急かさない。決してください、などと言わない。
聖堂で、ひとり、何度も練習しました。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます……
それからわたしは、祭壇を、整えました。
燭台に火を灯し、白い布を奇麗に拭きます。
それから、一巻きの巻物を飾ります。
この巻物は、まだ白紙でした。
あのお方が、ここに新たなわたしの名をお書きになるのです。
女神の手を煩わせぬよう、筆も、墨も、用意してあります。
神がわたしに名を与えるとき、その名の入る場所は、あらかじめ空白になっていなければいけません。
わたしは、器です。
空いています。
一億年も前から、空いているのです。
――そのとき、一秒が、長くなりました。
すぐに、わかりました。
一億年の女は、この徴を、間違えない。
あの方がわたしにお近づきになったとき、時間はまるで蜜のように重くなる。
一秒が、一年のような長さになる。
燭台の火が、いっせいに揺れました。
――来る。
次に来たのは、匂い、でした。
わたしは、これしきでは気絶しません。
なにせ、わたしは一億年もの年月、この匂いを嗅いでいました。
気絶はしませんが、腰が、動きます。腰だけが、前へ。わたしに欠けた神の原型を求めて、へこっ、へこっ、と、腰が動き続けます。
「こんばんは♡ 聖女ちゃん」
最後に来たのは、声でした。
――ちゃん。
ふふっ。
ちゃん、ですね。
……いや、落ち着け。これだけでは、まだ名は与えられていない。
わたしは確かに、今夜、名を頂かなくてはいけない。乞わずに、明確に。
「本日は、わたしごときのもとに来ていただき、誠にありがとうございます」
まずは、練習の成果を活かし、お礼を言う。
「本日は……こちらに巻物を用意しました」
決して、名を書くものだ、とは言いません。
聖女は、乞わない。
ただ、巻物を示すだけ。
「お名前ですかね?」
リリフェル様は、微笑んだまま、小首をかしげます。
「聖女ちゃんのお名前は、聖女ですよね?」
……え?
巻物は、白いままだった。
「僭越ながら、聖女は、称号です。教会が、わたしに与えたものにすぎません。決して、神が与えたものでは――」
「わたしは、ずっと聖女ちゃんのこと、そう呼んでいましたよ?」
リリフェル様は、にこにことしてそう言います。
「一億年のあいだ、ずっと呼んでいました♡」
一億年……
あの長い、あまりにも長い夜。
あの夜、わたしは、一億年にわたって、イかされ続けました。
一回イくごとに、数えていきました。一回、二回、三回。数えることで、なんとか時間が経っていることを認識でき、結果として耐えることができました。
……その一回ごとに、あの方は、何と言っていたか。
――思い出した。
――聖女ちゃん。
聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん、聖女ちゃん――
一億年ものあいだ。
わたしは、一億年ものあいだ、自らがイった回数を数えていました。
ですが、その間――
――わたしは、自らが呼ばれた数を、数えていませんでした。
「……呼ばれて、いた――」
自然と、声が出ました。
「わたしは、一億年もの昔から、呼ばれていた――」
名は、存在していた。
最初の夜から。
聖典の第一行を書く前から。
空白どころか、一億年も前に、とっくに、とっくにわたしに注がれていた――
……ふふっ。
ふふっ、ふふふふふっ!
落ち着け。
聖女は取り乱さない。取り乱すのは魔女の専売特許――
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっ……!!!
だめだ。
――涙が、止まらない。
ああ、ここが、わたしの天国だったんだ――
「では、聖女ちゃん。お名前も決まったところで、お返事遊びをしましょうか♡」
――お返事遊び。
「まず、わたしが、聖女ちゃん、と呼びます。そうしたら聖女ちゃんは、はい、聖女でございます、とお返事をしてくださいねっ♡」
なるほど、お返事遊び……
……よろしい。ここでいう返事とは、いわば神に対する礼儀である。
聖女は、礼儀を欠かない。
一億年を耐えきったわたしが、この程度の遊び、敗北するわけがありません。
「承知しました」
「聖女ちゃん♡」
――その声に、一億年の思い出が、一気に蘇りました。
一億年ぶんの、聖女ちゃん♡、が、その一言に、全て乗って――
がくんと、膝が、床につきました。
背中が反る。
わたしは、イきました。
名を呼ばれただけで、一億年分、イきました。
「はい……聖女で、ございます……」
返事は、かろうじて、できました。
「聖女ちゃん♡」
また、一億年分イきました。
「は、い……せいじょで、ごじゃいます……」
落ち着け。
聖女は、噛まない。
こんな風に、噛んだりなんか――
「聖女ちゃん♡」
また、イきました。
腰が、がくっ、がくっ、と逃げて、戻って、逃げて、戻って、逃げて、戻って。
ドレスの裾が、濡れながらぐしゃぐしゃになっていく。
その白い布地を、両手で、ぎゅっと握りしめながら、びくんびくんと、イきました。
「はい……せいじょ、で、ごじゃ……」
太ももが、閉じない。閉じようとしたのに、うぃーんと、開いていく。開いたところへ、腰が、へこっ、へこっと前に出ます。
まるでもっと――
もっと欲しいと、言わんばかりに――
「聖女ちゃん♡」
痛烈にイきました。
「はぃ……ごじゃ……ごじゃま……せいじょ……ごじゃ……」
「聖女ちゃん♡」
猛烈にイきました。
「せいじょ……せいじょちゃ……ごじゃ……」
落ち着け。落ち着くんだ。
返事だけ。
返事だけ、すればいい。
返事。返事だ。返事。返事。
「聖女ちゃん♡」
最高にイきました。
「せいじょ……ごじゃ……ありが……ましぇ……」
口が――
口が、動かない――
「……たしゅけて、くだしゃい」
乞うて、しまいました。
ついに、やってしまった。
一億年、耐えた女が。
たかが返事するだけの遊びで。
たしゅけて、くだしゃい、と。
人に物を乞うたのは、生まれて初めてでした。
「ふふっ♡ お願いしちゃいましたね♡」
リリフェル様は、大変嬉しそうでした。
「聖女ちゃん♡」
――――――――――っっっ!!!!!!!!!
いままでの一億年分の絶頂。
それらすべてを足し合わせたような、圧倒的な絶頂が、わたしを襲いました。
なんだ……?
なんなんだ、これは……?
もしかして――
もしかして、いままで至高の神の最高の試練だと思っていたものは――
前戯のようなお遊びに、過ぎなかった……?
ふふふっ。
ふふふふふっ。
――立たなければ。
膝に、力を入れて。
祭壇の縁に、手をかけ。
腰を浮かせ――
「聖女ちゃん♡」
――――――――――っっっっっっっっっっはっ……!!!!!!!!!!!
有り得ないくらいイきました。
先ほどのあり得ない絶頂と、それまでの一億年分の絶頂たちを、すべて合わせたような、信じられない強烈な絶頂。
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっ――
わたしはせいじょちゃん。
せいじょちゃん、で、ごじゃいます。
わたし。
せいじょ。
せいじょちゃん。
なまえを、くだしゃいました。
うれしかったでしゅ。
だから、もうやめて。
やめてくだしゃ……
「聖女ちゃん♡」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ…………!!!!!!!!!!!!!!!!」
*****
ふふっ♡ 聖女ちゃん、とっても可愛いですねっ♡
聖女ちゃんの心の声は、最初のうち、とても静かでした。わたしは一億年の女、と自信に満ち溢れていました。
それが、いまは、こうです。
(せいじょ……ごじゃ……ありが……ごじゃ……ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ………………!!!!!!!!!!)
ずいぶんと、楽しそうに泣いていますね♡ 笑いながら、泣いていますっ♡
それもそのはず♡
聖女ちゃんの名前を呼ぶたびに、いままでの絶頂のすべての合計量の絶頂を与えるように途中から仕掛けを変更させていただきました♡
あれだけ名前を呼んで欲しそうにしていたのですから、もっともっと、いっぱい呼んであげなくてはいけませんねっ?♡
あれれ、でも、もしかして、これって合計した後に合計するから、呼ぶたびに絶頂が2倍以上に増えていくんですかね?
そうなると、いまって大体、一億年の2の何乗をさらに上回るほどの――
……難しい事は、考えなくてもいいですかねっ!♡
「聖女ちゃん♡」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ…………………………!!!!!!!!!!!」
ああっ♡
人間って、本当に可愛いですねっ♡