クソ過ぎクリエイター学園vs元最強のゴーストライター   作:匿名

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005:鬼柳歩夢の律すべき感情

【犯罪者】才神透流アンチスレ ゴーストライター32人目【盗作】

 

38 名無しのゴーストライター

才神透流を許すな

 

42 名無しのゴーストライター

まだこのスレやってんのかよww

 

43 名無しのゴーストライター

信者か?

 

44 名無しのゴーストライター

犯罪者の擁護とか理解不能

 

58 名無しのゴーストライター

こいつの被害者まとめ

ttp://■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

61 名無しのゴーストライター

だるいから直リンにしろ

 

65 名無しのゴーストライター

執念すごいねぇ

 

71 名無しのゴーストライター

そらそうよ。あれだけドラマやアニメの主題歌やって持ち上げられておきながらほぼ全部盗作でしたとか許されんわ

 

73 名無しのゴーストライター

×盗作

○他人の曲を使っていた

 

82 名無しのゴーストライター

憧れてたキッズとかいたの笑っちゃうんすよね。今どんな気持ち??ww

 

84 名無しのゴーストライター

曲に罪はない

 

85 名無しのゴーストライター

ゴーストライター捜索に進展なし?

まだ半分くらい本当の作者見つかってないんだろ?

 

86 名無しのゴーストライター

自称業界関係者ももうわからんって。被害を訴えてるやつはもうまとめにある。AIに作らせてたんじゃねーの?

 

90 名無しのゴーストライター

わざわざ捜索する意味ある?

 

92 名無しのゴーストライター

被害者を救う為には必要なことだ

 

94 名無しのゴーストライター

AIない頃から作風が変わってない。要するに最初の頃から使われ続けてるやつが1人は確実に残ってる

 

96 名無しのゴーストライター

本人の自作だった説は?

 

97 名無しのゴーストライター

ねーよ

 

98 名無しのゴーストライター

殺すぞ

 

99 名無しのゴーストライター

信者も同罪だ消えろクズが

 

 

128 名無しのゴーストライター

ドクガクの新入生に才神フォロワーいて草

 

130 名無しのゴーストライター

独学?

 

133 名無しのゴーストライター

毒ヶ峰だろ。クリエイター学校の。もう才神キッズが育ってきた頃か

 

136 名無しのゴーストライター

サイトにサンプル視聴ページあるから聴いてこい。新入生の生徒番号しか出てないタイプだから探すの怠いけど

 

140 名無しのゴーストライター

ガキとかどうでもいいんだわ。関係ない話題持ち込むな

 

146 名無しのゴーストライター

うわww 教師評価「特定アーティストへの影響を強く想起させる」。晒されてんじゃんw

教師もアンチだろwww

このスレの住人じゃねーのwwww

 

150 名無しのゴーストライター

こいつが残りのゴースト説は?

 

152 名無しのゴーストライター

あるわけない。10~15歳の期間だぞ

 

153 名無しのゴーストライター

いるんだよな、作風寄せてゴーストライターだったかのように匂わせるカス。何人も見てきた。決まって偽物

 

157 名無しのゴーストライター

偽物を偽装する偽物か

 

   *

 

 インターネット掲示板専用ブラウザアプリを閉じると、スマホを制服のポケットに放り込む。この時ポケットに入っていなかった場合、スタイリッシュに床に投擲することになる(2敗)。

 

 待ち人も来たり。早速だが話題を切り出す。

 

「どんな曲が、歌いたい?」

 

 場所は毒ヶ峰高校防音ブースが一室。本校舎から少し離れた場所に位置する、無数の個室で構成される一角。レコーディングに使用できるほどの防音性や設備環境はないし狭い。だがその代わりに数があり、容易に予約を取ることができる。

 2~3人程度の練習やミーティングを行うには十分な部屋ではあるので、多くの利用者がいる。寮の自室で楽器を弾こうものなら隣人から不況を買うことになるだろう。

 

「ど、どんな曲……? それって、私がリクエストしてもいいものなの……?」

 

 自信がなさそうに言うのは五条(ごじょう)史華(ふみか)。唯一無二の友人。その顔には困惑が見える。

 どうにも俺に、俺にと言うか作曲家に、服従の姿勢を見せている。いや作曲家だって歌う人間がいなければ本領は発揮できないんだからどっちが上とかないはずなんだけど。

 

「歌う側が気分よく歌える方がパフォーマンスも良くなるだろ、構造的に考えると。意見のすり合わせってやつだ。俺の経験上、クライアントは何度だってリテイクをさせるぞ。あれをこうしろどうしろ作り直せと。なら最初から情報を共有した方が良い」

 

 苦々しい記憶が脳裏をよぎる。

 

 ピアノも使ったオルタナティヴ・ロックの系譜でよろしくだとか適当な指事を出しておきながら、サンプルを挙げたところでBPMが早すぎるから150前後まで落とせだのピアノの音がおかしいだの。聞いてみれば欲しい音はピアノじゃなくてキーボードじゃねーか。ちゃんと言え。お前の都合で作り直しになると、進捗無しと見られて俺の食事がなくなるんだぞ。

 

「あ、あんまりどう言ったらいいのかわかんないんだけど……」

 

「好きな曲で例えてもらっていい。この曲みたいなのがいい、あの曲のここが好きだから参考にして欲しい、今全部言って貰えるのが望ましいけど、思いつかなければ2日3日くらいでまとめて欲しい」

 

 既存作で例える。これが一番手っ取り早い。音楽のみならず、全ての創作物においてそうだろう。ただし、これは人によっては拒否反応を示す行為で、その創作家の自己主張が激しかった場合はトラブルの元となる。

 

 俺に依頼した意味がねーだろって話だ。この感覚は、本当にその人による。

 

 五条史華は少しだけ考えるようにした後、スマホを操作する。そして世界的規模の動画サイトに投稿された1つの動画を提示した。

 

「わ、私の一番好きな曲、なんだけど。この曲がきっかけで歌手……歌を歌う人になりたいと思って……」

 

 どこか抵抗があるような、恥ずかしそうにした彼女が示したのは、VTuberのオリジナル曲だった。恥じることなど何もないだろうに、別に誰が歌ってるとか関係ないし。

 

 俺は気分次第で『君と一緒にドリーミング♡ナイト∞(インフィニティ) ~汝ユメユメ忘れることなかれ!~』を作曲する男だぞ。お前にこれを歌わせてやろうか。

 

 動画ページを確認……再生数200万。うわ結構な大御所じゃねーか。才神透流の最高記録が400万だったか、じゃあ大したことないか。反応修正。

 

「この曲のどういうところが好きとか、歌詞の何に感動するとか、思いつく限り全部言って欲しい」

 

「じゃ、じゃあ――」

 

 話を聞いていくうちに、その内容は歌っている人間にまで派生する。どんな配信のどんな時に歌った、どの回のアレンジが一番好きだ、そのVTuberのどこが好きだ、カップリングとされている相手がいて女性同士の恋愛はどう思いますか私はとてもよいと思いますだとかなどなど、敬語で百合の花が咲き誇ることへの感動を説かれたがさすがにそれはどうでもいい。

 

 ただ、あんなに曇った顔、曇天の表情をしていた五条史華が楽しそうだったので、俺は当たり障りのない相槌をし続けた。

 あたかも参考になるかのように、神妙な顔をして見せた。2021年3月の配信における歌い方が一番感情が籠っていたらしい。そうかそうか。よくわからん。

 

 ……こんなにも、俺が作曲をするにあたって情報を求めたのには、理由がある。

 

 どうにも情けなく、そして俺自身の問題、克服すべき課題とも言える今後避けられないだろう理由が。

 

 

 欠点の無い人間などいない。その欠点を自ら克服するか、自分以外の何かで補うかは人による。人間誰しも、ないものなどあるもので、俺にだってもちろんないものがある。

 

 

 五条史華には自信がないとするのならば、

 

 俺には、

 

 鬼柳歩夢には自(・)身(・)がない。

 

 

 俺にとっては、あの部屋での創作(戦場)が俺の全てだ。

 

 教師の指摘。目ざとくも世間が嗅ぎつけ、聴き、感じた、あの感想が、俺の現状に対する正しい評価なのだ。何を作ろうとも、あの日あの部屋での俺を、俺は越えられない。

 

 

 ――与えられた命令に従って、才神透流の曲を作る。

 

 

 それが俺の全て。

 

 あるいは、俺を蝕む呪縛。

 

 

   *

 

「わはぁ……すごいすごい! これが私の曲なの!?」

 

 4日後、ホームルーム前の教室にて。煌めくような瞳をこちらに向けながらはしゃいだことを言う五条史華。

 耳に付けられたイヤホンが揺れる。音質を優先して有線だけど、今時無線でも良いものを使えば問題ないとは聞く。

 

 喜んでもらえたのなら何よりだ。願わくばその曲が、参考元と才神透流のデッドコピーにならないことを祈るばかり。

 

「まだサンプルデモだから。仮歌として俺の声が入ってるけど、五条史華には俺の声なんかゴミのように感じるくらいの歌を付けて貰わないと困る。ボイトレは欠かしてないんだよな? 頼むぞ」

 

「うっ……プレッシャー。入学してからも欠かしてないよ、プロの指導とかじゃないけど……」

 

「独学であの歌声が出せるなら問題ない。録音環境をちゃんと用意して、それなりの編集をすれば十分戦えるはず……というか五条史華、ポートフォリオのやつ、どこで録音した?」

 

「じ、自宅……」

 

 宅録で配布音源を使ってのカバー曲とか、こいつ俺よりこの学校舐めてね?

 

「そ、そんな目で見ないで……。私だってあの録音で入学できるとか思わないじゃん!」

 

「実際に歌ってみたら、歌詞の変更案も出して欲しい。一応リクエストされたワードや要素は入れたけど、語呂や語感、ニュアンスは俺だけじゃ最善を目指すことはできない」

 

「話を逸らされた……?」

 

 

 

 ――頑張って、歌うからね!

 

 などと昼休みになっても意気込みを伝えてくる五条史華に、なんだこいつ、と思っている時だった。

 

 

「――お前、そいつと組んだのか?」

 

 

 急に声をかけてきた男がいた。なんだこいつ。

 

「鬼柳。鬼柳歩夢。お前、こんなやつと組んでどうするつもりなんだ? 傑作を生み出すつもりはないのか?」

 

「なんだこいつ」

 

「……鬼柳歩夢。クソみてぇな音質で需要を考えないバカみてぇなポートフォリオの男。今年の新入生の中でも下層に位置する男。教師からも才神透流のフォロワー呼ばわりされた男。

 

 だが俺にはわかるぞ。他の凡才どもはまともに見ちゃいない、お前の演奏技術。お前の楽曲(きょく)の構成。美しき譜面」

 

「誰だよ」

 

 知らない男が何かを語っている。でかい男だ。そんな感想。2mくらいあるんじゃないか? いや190くらいか。単位はcm。

 どうでもいい男のどうでもいい言葉。

 

 ただし、次の言葉が俺にどうでもよくないと思わせた。

 

「――だからこそ、お前はそんな女と組んでいる場合じゃないはずだ」

 

「……」

 

 悟られないように、五条史華に視線を向ける。

 

 先ほどまでの、意気揚々とした感情はどこへ消えてしまったのか、居心地の悪そうな俯き顔がそこにはあった。

 

 冷静に考えて、俺や五条史華をわざわざ貶めても何のメリットもないはずだ。俺は何も脅かさない。五条史華も同様、俺と彼女の合作は、別段誰かの脅威にはなり得ることはない――。

 

「妨害工作でもしに来たのか? うちの歌手のモチベーションでも下げて、作品を台無しにでもしようとしているのか?」

 

「き、鬼柳くん、本当のことだから……」

 

 よくわからないが少しくらい言い返してやろうと思えば、なぜか相手を庇う歌手。別に同じ生徒だろうが、一方的に侮辱される筋合いはないだろうに。

 

「鬼柳歩夢。お前はこの学校に何をしに来た? あれだけの実力を持ちながら。底辺とつるんで、ただ遊ぶために来たのか?

 

 ただの――

 

 

 ――負け犬なのか?」

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……負け犬?

 

 負け?

 

 俺が?

 

 敗北者……?

 

「誰、お前」

 

「なんだ、やる気になったか? いいねぇ、さっきまでと目が違う。勝ち負けか? 勝負事が好きか? なら今からでも条件を揃えて俺と戦おうか。歌う奴はこっちで用意してやる――」

 

「いらない。俺は五条史華の歌を信じている。俺と五条史華で、最高の曲を創る。

 

 鬼柳歩夢と五条史華の曲で――

 

 

 

 

 ――お前を殺す」

 

 

 

 

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