教室が一瞬にして静まり返る。誰もが、驚愕の表情を浮かべて固まった。そしてそれは、ねつきも例外ではない。
「……は?」
ねつきは、思わず素になり相手の言葉を聞き返した。あの方が居るとき以外に、素を見せたことは無いのに。一瞬だけ此方の笑みが消え、呆け顔を晒した後、慌ててまた笑みで表情を繕う。
「……もう一度言いましょう。杵築二年生。貴方を、生徒会副会長に任命する!本当ならば、他に誘いたい人材が居たのだが、生憎断られてしまった。」
「ッおい、めだかちゃん!何言ってんだよッ。」
「私は何時でも本気だ。」
「人吉善吉くんの意見は兎も角さ、……本気?僕を生徒会副会長にするなんて。いつ、何処で、君の寝首をかくともしれないのに。」
「それは百も承知です。いつでも私の寝首をかきに来ても構いません。……寧ろ、歓迎しよう!今回の事を水に流せる訳ではないが、杵築二年生にしか出来ん事もある筈だ!生徒会に入り、私を手伝ってくれ!」
凛、といった言葉を背負っているかのような言葉と共に、黒神は持っていた扇子で口元を隠す。
一方、ねつきは彼女の言葉を聞き呆れたように自身の髪を弄っていた。
笑顔の裏で色々と考えを巡らす。罠という可能性は、お人好しの彼女にとっては百パーセント無いだろう。数秒の間、考え込んだ後。
心の中で長い長い溜息を吐いて、参ったといわんばかりに両掌をひらひらと顔の横で揺らしてみせる。
「……オッケー、分かったよ黒神ちゃん。ただ、何時如何なる時でも、背後には気をつけるんだね。じゃ、明日にでも生徒会室に行くから。ばいばい。」
鞄を提げて、それだけを言うと直ぐに踵を返して教室の出口を目指す。
ねつきは、其の儘帰宅した。
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誰もいない家に帰ったねつき。
シュルリと胸元のリボンを解いた瞬間、制服の侭でベッドに倒れこむ。
枕を抱きしめながら、ごろごろとベッドの上を転がり、独り言にしては大きな声をあげた。
「…あー!どーしてこうなるかなぁ!球磨川さんに頼るのもあれだし……ん?待って。ええっと、近々ある行事は…これかぁ。負け組(マイナス)に似合わない言葉だけど、チャンスかな?なのかな?…箱庭計画だっけ。手っ取り早く済ませられるかも。ふふ、あははは!ほんっとーに、馬鹿だねぇ、黒神ちゃん。あーあ、明日が楽しみー!」
タッチパッドを取り出し、箱庭学園の行事予定表を見直して、醜い笑みで笑った。早くあの方が来る前に一通り片付けなくてはいけない。
その解決策を思いついたねつきは、機嫌良く携帯を取り出し、何時もの日課である可愛い後輩へのメールを送った。
明日からの学校生活が大きく変わる事に憂鬱そうに項垂れつつ。
スランプ状態なのに文章を書く手は止まらない…。
駄文をどんどんこれからも製作していくでしょう。
それでもよければ最後までお付き合いください。