感想、意見、ありがとうございます。
更新速度の遅い話ですが、読んでくださるだけでも光栄です。
放課後、仲良くなった門司と自己紹介を済まし、メルアド交換をしてその日帰宅した。門司の目はすっかりと濁りきった瞳をしていて、きっとあの方も喜んでくださるだろう。何より、ねつきの好みでもある。
少し問題があるとすれば、門司の異様なねつきへの従順すぎる態度だろうが。まあ、其処も後々何とかしていけば良いだろう。犬みたいで可愛いし、とねつきは気楽に考えていた。
――――――――――――――――――――――――――――――
次の日、ねつきは門司と家が近かったというのもあり、一緒に通学路の道を歩く。今の彼にとって、昨日の事など如何でも良い部類に分けられているらしい。にこやかにねつきと喋る。
「ねえ、門司君。お願いがあるんだけど……。」
「何でしょうか?ねつきサン。」
「さん付けよりもねつきちゃんって呼んで欲しいなあ、僕。…ま、いいや。君さ、剣道部に入る気はない?木刀とかって好きでしょ?」
携帯を弄りながら通学路を歩くねつきは、斜め後ろに引っ付いてくる門司に顔を向けずに提案をしてみる。このまま連れて歩くのもいいけど、それじゃ動きづらいと思って。勿論、この提案も唯の提案ではないが。
「だってさ、なんだか格好良いじゃない?剣道少年って!……ほら、部員受付やってるよ。」
携帯とは別に、タッチパッドを取り出したねつきは、箱庭学園裏掲示板を開き、其処から現在の情報を集めていく。途中、剣道場が血に染まった!?、といった噂も見かけたが、ねつきも門司もスルー。関係ないかのように。
「そっすね……、ねつきさ、じゃねえや、ねつきちゃんが望むのなら、入ります。今の俺じゃ、せいぜい剣道部を地に落とす位しか出来ませんけど…。」
「あ、本当?やだなあ、別に地に落とさなくていいんだよ?入るからには真面目にがんばってねー。応援してるよ。…あ、ストップストップ。今日は此処から入ろ?校舎もこっちの方が近いし。」
「へ?あ、はい!」
まるで決まっていたかの様に簡単に話は進む。タッチパッドを学生鞄に仕舞うと、不意に立ち止まり、前方を軽く睨むように見た。遠くに見える学園の門。其処から感じる異常の気配に、顔を歪めた。浮かべた表情を隠しもせず、直ぐ側の塀に手を掛けて、よじ登る。
「人を疑うのは勝手だけど、感心はしないなあ。ね、門司君。僕らは昨日の放課後、親睦を深めるためにずうっと話してたよね。」
「はい、ねつきちゃんが言うのならそうっス。」
時間を掛けて塀を乗り越えたねつきとは違い、門司は軽々と塀を越えつつ返答をする。その顔に歪んだ笑みを浮かべて、ねつきの嘘を、肯定した。
これで門司は、ねつきのアリバイを証明する人間となった。
「さっすがに、あのバケモノ生徒会長に気づかれたからには、徹底的に否定する証拠を集めないと。とりあえず、健全な高校生の一員として、クラスに行って授業を受けよう!」
「はい!」
塀を乗り越えた二人は足取り軽く歩いて行く。自らのクラスに向かって。
門司は、ねつきと同じクラスだから、行く方向も同じだ。恐らくクラスの虐めの対象に、今後彼も加わるだろう。
立派な、過負荷の一員として。
―――――――――――――――――――――――――――――――
広い教室、椅子と机だけは綺麗に並べられた空間で、鈴の鳴るような笑い声が響く。教壇に座る一人と、その後ろに背中を向けて立つ一人。
笑っているのは、教壇に座る方らしい。
人外は、夢の中を漂いながら一人呟く。困ったような口調で。
「あーあ、困るなぁ。球磨川君とは違って扱いにくいんだよねぇ、彼って。何故だか猛烈に僕を嫌っているようだしね。まあ、いいや。彼が何をしたいのか、ここで眺めているのもまた一興。」
どこか芝居がかった様子で喋る人外は、言葉を切り一息つくと、誰かへ向けて微笑んだ。
「早く君に会いたいな、杵築ねつき君。」
話的にはあまり進んでおりませんが……やっと、登場しました。最後に喋っているのは、みんな大好き安心院さんです。
主人公は男ですが、決してBLではございません。
門司君がねつきに抱いているのは憧れ的な何かです。
箱庭学園裏掲示板は、オリジナル設定です。
あまり出てはこないので、お気になさらず…。