スパイディのことが大大大好きなマッドサイエンティスト幼女 作:サイリウム
「やぁ、みんな! 親愛なる隣人、スパイダーマンだよ!」
とまぁ、いつもの挨拶から始めようか。
僕の名前はピーター・パーカー。何処にでもいる、普通の青年だ。ニューヨークの片隅で暮らしていて、デイリー・ビューグルでカメラマンとして働いているちょっとだけ貧乏な男。
あ、でも最近給料はちょっとだけ上がったよ?
あのケチなJJJが昇給してくれたわけだから、その日は空からシンオビートの大軍でも降って来るのかとビクビクしてたけど……。特にそういうのは無し。これは快挙と言って問題ないだろう。
(まぁ上がった理由を考えれば、素直に喜んでいいのかは微妙なところなんだけど……。)
それはさておき、最近の僕の生活について話そう。
まずスパイダーマンとしての生活なんだけど……。うん、すっごく快適。
いや本当に、以前の僕からすれば考えられないくらいに快適になったのだ。
「特にウェブ切れの概念が無くなったことがなぁ。」
これまでの僕は、自分で蜘蛛糸液を調合して、それをカートリッジに詰めていた。
蜘蛛糸液は必要不可欠なもの。移動にも、戦闘にも、救助にも。たまにリラックスの為にハンモックまでも作れちゃう存在だ。スパイダーマンとして活動するうえで、これほど重要な道具はない。
なにせ戦闘中にウェブが切れたらそれだけで致命的な隙になってしまう。もし勝てたとしても帰りは徒歩と地下鉄。そうなったら明日のデイリービューグルに『スパイダーマン、地下鉄で通勤!』みたいな記事を出されちゃう。
しかも、こう。作り方がちょっと特殊で、原料が高くてね? 今ある分を使い切っちゃったら新しく補充し直さなきゃいけないし、ただでさえ心もとないお財布が更に悲しくなるのを覚悟しなくちゃならない。
だからこそ、残量には常に気を配っていた。
(でも無くなる時は無くなるし、人命と後の苦労を考えれば絶対に前者を取る。というかそもそもウェブシューター自体が壊れちゃう時もあって……。これまではずっとそういう“薄っすらとした不安”を抱えて戦ってた。)
けど。その心配は消え去った。
何せ、彼女。気が付いたら僕のアパートのフロアを丸ごと貸し切るどころか、建物そのものを買い取って改造し始めていた『レノラ』が万全のサポートをしてくれるようになったからだ。
僕が今まで自分で調合していた蜘蛛糸液の成分を分析し、より効率的な製造方法を確立。完全な生産自動化を達成するどころから、大量生産する体制まで整えちゃった。
しかも僕の戦闘スタイルに合わせて何種類もの“蜘蛛糸液”を用意してる。
……本当、何処までやるんだろう。
(まぁ、そのおかげで助かっているんだけどね?)
そんなことを考えながら、眼前の問題児君へ。最近また脱獄してきたらしい彼に視線を向ける。
ほんと、毎回毎回銀行強盗ばっかりで退屈しないの? もっとこう、社会貢献できるような方向に進もうよ。折角お手手に特大の衝撃波装置が付いてるんだから、ね?
「は! 余裕こいてられるのもそこまでだぜスパイディ! 今日の俺の“衝撃波”は一味違う!!!」
「あ~、ごめんハーマン。それもう対策済なんだ。」
「ショッカーと呼べ! 礼儀知らずにはこれを……」
次の瞬間。大きな衝撃音と共に、周囲の空気が震える。
彼の両手から放たれるのは、僕の身体を狙った強烈な衝撃波。
以前までの僕ならここでウェブを使って回避するか、衝撃波を受けた後に態勢を立て直す必要があったのだが……。
「……は?」
ハーマンの間の抜けた声を余所に、起動される『浮遊板』。
例の一件にてレノラから受け取ったガジェットが自然と僕の前に展開され、そのすべてを完全に受け止めてしまう。しかも振動を相殺することで周囲への被害を0にするという途轍もない機能も。
……昨日まではこんなの出来なかったはずなんだけど、ね?
『よく解りましたね、“マイスパイディ”。相手衝撃波の分析完了。同威力のモノを打ち出すことで完全な相殺を行いました。ライカーズ島からの情報が出てたので、急ぎパッチを当てたのですが……。役に立って何よりです。』
「ありがと、レノラ! あと君だけのじゃないよ!」
“椅子の人”として、僕にそう教えてくれる彼女。
レノラのおかげで、以前よりも格段に情報収集がしやすくなった。これまでは記者として走り回ったり、警察の通信を傍受することで問題に対処していたんだけど……。彼女、ナノテクノロジーだけじゃなくてハッキングも出来るみたいでね? ダメージコントロール局から脱獄の情報を即座にすっぱ抜いて教えてくれたり、事前の対処計画を練ったりしてくれる。
以前なら僕一人で何とかしなくちゃいけなかったことを、レノラも手伝ってくれるのだ。その頭脳は普通に頼りになるし、互いに意見を出し合うことで思った以上の良案が出てくることもある。
(装備含めて、すっごく助かってるよね。)
まぁ事あるごとに“マイスパイディ”とか“私のピーター”とか“旦那様”とか。色々ぶっこんでくるから相手するのが大変な時もあるけれど……。孤独じゃないってことは、想像以上の力を与えてくれる。
そんなことを考えていると、スパイダーセンスに微弱な反応。
それに合わせて手首を出しておくと、こちらにやってきていた赤色のミニドローンがウェブシューターのカートリッジを取り換えてくれる。
『普段よりも三十分ほど持続時間が短くなっています。ご注意を。』
「了解!」
彼女の声に合わせ、両手首を構えてウェブを射出。
おそらく『それまでの蜘蛛糸であれば散らされていただろう』衝撃波を無効化しながら、蜘蛛糸がショッカーに。一気にその武器を取り上げ、空中へと浮かせぶつけ合うことで破壊する。あとはぱぱーっと彼の身体に蜘蛛糸を打ち込んであげれば、全身をぐるぐる巻きにされた“ただのハーマン”の出来上がりってわけだ。
「……は?」
「対策済って言ったでしょ? そういうこと。んじゃ、大人しく刑務所に戻ろうねハーマン。」
正直彼が唖然とするのも解るなぁ、なんて考えながら。何かしらの汚い言葉を吐こうとしたその口に蜘蛛糸を射出。青少年への影響を最低限にしながら、ニューヨーク市警への受け渡しの準備を進めて行く。
(ほんとレノラって凄いね……。)
僕の新しい相棒枠に無許可で居座った、彼女。
レノラ・グリム。
本来期間限定だったはずの彼女が僕の生活に加わってからというもの、スパイダーマンとしての活動は劇的に変化した。
さっきのサポートを見て貰えば解ると思うが……。警察やダメコン局、刑務所の情報網にハッキングして事件が起きそうな場所を事前に割り出す。僕が使うウェブを状況に合わせて調整する。背中に装着している『浮遊板』の整備や改良。
それどころか、戦闘中に僕が必要とする装備を判断して、ドローンが勝手に交換しにきてくれる。
(もう、至れり尽くせり。)
正直に言おう。
一人で活動していた頃と比べて、効率は三倍近く。彼女のサポート無しの活動なんて考えられないレベルで快適になっている。それくらい、レノラの存在は大きい。
もちろん、彼女が優秀なのは知っていた。
何せナノテクノロジーの研究者だ。僕なんかが大学で勉強していた頃とはそもそも見えている世界が違う。今背負ってる『浮遊板』からもそれは明らかだった。けれどこうして実際に隣でサポートされてみると、その凄さを嫌でも実感する。
「……偶に思うんだけど。これ、僕いる?」
『逆に聞きますが、私がヒーローをやって市民に受け入れられるとも?』
「あ~。」
『私では効率を意識しすぎるあまり、上げ足を取られ、碌な活動も出来なくなるでしょう』
淡々とした口調。
けれど、その言葉には妙な説得力がある。確かに彼女、効率厨というか。他の人をあんまり気に掛けないタイプの人だからね。一応ちゃんとした倫理観は持ってるみたいだから大きな問題は起きてないんだけど、根本的なところは『自分と大事なナニカ』以外は心底どうでもいいタイプ。
……その“外付け”みたいな倫理観。誰に教わったんだろう? 親御さんとか? でも元々孤児って言ってたし、孤児院のシスターとかなのかな?
っと、会話中だったね!
「確かにトニーみたいな失言して問題になりそう。」
『アレと比較されるのは業腹なのですが……。“貴方だから”良いんです。親愛なる隣人に相応しいのは、ピーター。貴方だけですよ?』
「……だったらいいんだけど。」
そう言われると、少しだけ暖かな気持ちになる。
まぁレノラの場合は別の意味も混ざっていそうな気がするけど、そこは深く考えないことにしよう。
(んで、話を戻すんだけど……。)
至れり尽くせりなのは、スパイダーマンとしての活動だけじゃない。
ピーター・パーカーとしての生活もまた、彼女無しでは回らなくなり始めている。
まず、仕事。
さっきも言ったけど、僕はデイリー・ビューグルのカメラマンだ。色んな場所へ出向いて写真を撮ったり、取材をしたり。そして何より、『スパイダーマン』の写真を撮ることで、日銭を稼いでいる。
まぁ……。
「これがまた便利なんだよなぁ」
僕が背負っている浮遊板。
その内部には、戦闘用のナノマシンだけじゃなく、レノラが用意した小型ドローンまで格納されている。さっき僕に新しいカートリッジを運んで来てくれたドローンと同型機の奴ね?
必要な時には勝手に飛び出して、僕の周囲を飛び回り、写真を撮ったり音声を録音したりしてくれる。これのおかげで取材中に聞き逃した部分があってもあとから確認できるようになったし、全部家のパソコンに適宜データ移送してくれるから戦闘で壊れても問題なし。
しかも、撮影した写真の中から使えそうなものまで勝手に選んでくれる。
カメラマンとしては、もう手放せない存在だ。
まぁどうやらレノラは僕がスパイダーマンとして活動しているところをドローンを介して勝手に撮影&保存しているみたいなんだけど……。
(すっごく凄く便利だからなぁ。)
その件に関しては、黙認することにしてる。恥ずかしいけど、このドローンとか取り上げられちゃうと色々ね? うん。
まぁそのおかげもあって僕の仕事の効率はかなり上がり、僕の給料も少し上がった。つまりレノラのおかげで昇給した感じだ。
(……素直に喜んでいいのか解らないよね。)
そして次。
金銭面。
これは……。まぁ、かなり複雑。
ご存じの通り、僕はまだまだ薄給。昇給したとしてもそれは変わらない。一人で生活するだけでも結構ギリギリだったのが、ちょっとだけマシになったレベル。
なにせ家賃に食費。ウェブの材料費や、スパイダーマンとして活動するための装備。それらを全部、自分で何とかしていた。しかもそこからレノラのお腹にいる僕たちの子の為に貯蓄も始めないといけない。
(確実に、僕だけの稼ぎじゃ首が回らなかった。)
そんな時に起きた、レノラの勤め先。ロクソン・テクノロジー社とヒドラとの関係発覚。
あの問題は想像以上にすんなり纏まって何とかなったんだけど……。僕が真相を暴いたせいで、レノラは無職になってしまった。彼女は『気にしないで良い』と言ってくれたが、流石にそうはいかない。
再就職の間まで何とか面倒を見よう、最悪メイおばさんの力を借りて何とかしようって思ってたんだけど……。
「……レノラって、凄い高給取りなんだよなぁ。」
どうやら彼女はロクソン・テクノロジーと結構な雇用契約を結んでたみたいでね?
本来ならあっちが賃金を払わなくちゃいけないんだけど、ヒドラとの関係が表沙汰になったせいで会社は取りつぶし。契約を反故にすることになったんだ。んでそんな場合彼女は『親会社が賠償する』って条件を付けてたみたいで……。
とんでもない額の“退職金”を手に入れていた。
ロクソン社の経理が発狂しかねないレベルの。
(それで彼女は僕の住んでいたアパート。そのビルを丸ごと買っちゃった。しかもそれまで住んでいた人と交渉して退去してもらい、実質ビル丸ごと僕とレノラの家にしちゃった。……なんで???)
しかも、その退職金を元手にしてデイトレードまで始めた。
どうやらレノラにはその方面の才能もあったようで……。聞いた話によると、ひと月の収入が僕の10倍近い。
……うん。実質的に僕、彼女に食べさせてもらってるんだよね。
つまり。
「……ヒモ?」
いや、これは本当に抵抗したんだ。
最初はちゃんと断ったし、僕だって男だ。彼女との関係は色々と複雑だけど、“友人”に養ってもらうなんて完全に終わっている。男女の関係とか無しに、人間として駄目だ。
だから必死に彼女を説得しようとしたんだけど……。
『はい、ピーター。これが今月のお小遣いですよ。足りなくなったら言ってくださいね♡ 幾らでも用意しますから♡』
『い、いや! 貰えないよ、こんな大金!』
『ですが、貴方の給料では色々と難しいでしょう? どうせいずれ同じ家計になるのです。ここは妻の顔を立てると思って♡♡♡』
『友人だからね!? ま、まぁ僕が薄給なのはそうだけど……!』
『なら、その稼ぎは私達の子の為に取っておくのは如何ですか? 子は入用と聞きますし、蓄えはあって悪いものでは無いでしょう。』
そう言われると弱い。
しかも、僕が受け取らないと本当にその辺へ捨てようとするのだ。札束が入った封筒、僕が一生見ることが無かったような厚さのソレを何でもないように窓から放り投げようとするのだ。
というか1回マジで捨てた。
怖い。
本当に怖い。
(価値観が違い過ぎる……!)
だから結局、必要最低限だけ手元に残して、残りは全部貯金しておくことにした。
正直に言えば全額寄付してしまいたかったんだけど……。これは僕のお金じゃなくて、レノラのモノだ。本人は否定するだろうが、勝手に使うわけにはいかない。今後生まれてくるだろう子の為に取っておくってわけだね。
ただまぁ、これですべてが解決したわけじゃなくて。
(次、生活面。)
さっき話した通り、レノラは僕が住んでいたボロアパートの隣部屋どころか、アパートの建物そのものを買い取った。
それだけならまだ何とか理解できたんだけど……。
うん、全部改装済。
というか改装という言葉では足りないレベルで魔改造して、もはや新しい1つの『住居』として作り直してしまったのだ。元々あった僕の部屋だけじゃなく、建物全体が僕とレノラが暮らすための住居として整えられている。
今住んでいる部屋も、以前の面影なんてほとんど残っていない。
壁も天井もナノテクノロジーで見違えるほど綺麗になったし、断熱性や遮音性も段違い。電気ガス水道はもちろん、Wi-Fiまで超高速なのが飛んでる。あとはナノマシンによって家具を作り替えたりして、毎日模様替えが可能って聞けばそのヤバさを理解して貰えるだろうか。
だから実質的に、レノラの持ちビルの一室に居候させてもらっているような状態なんだけど……。
(や、家賃がなぁ。)
確かに毎月ちゃんと支払ってはいるが、それは以前の値段。
元々あったボロアパートの家賃であって、今住んでる途轍もないハイテクアパートの値段じゃない。明らかに見合っていないのだ。
当初は出来る限りの額を出そうとしたんだけど……。受け取られるどころか、家賃免除までしてくる始末。何とか最後の抵抗としてレノラにこれまで通りのお金を支払っているんだけど……。
(い、いや。家賃を払っているという事実そのものが重要なんだ!)
うん、きっとそう。
そうじゃないと、僕は本当に完全なヒモになってしまう。
ちなみに色々と恐怖しかなくて引っ越そうかと密かに考えたことがあったんだけど、その日の夕食の際に“彼女から”その新しい住居の話をし始めて、レノラがまたビルごと買おうとしたから諦めた。
いくら円滑に進めるとはいえ、彼女の性格的にそれまで住んでいた人たちを家主権限で追い出すのは簡単に想像出来てしまう。
僕のせいで他人の生活を壊すなんて、絶対に駄目だからね。
(うん、我慢するしかない。)
そして、同じ家に住むようになれば当然出てくる問題がある。
そう、家事だ。
誰がどこを担当するのか。料理は誰がするのか。掃除、洗濯は? 普通なら“ルームメイト”同士で話し合って決めるものなんだろう。
でも、僕の場合。レノラに色々と面倒見てもらっている身だ。というかそこから抜け出そうにも、どうにもできない様な状況。せめてもの反抗として家事くらいは全部熟してやろうと思ってたんだけど……。
「テクノロジーって凄いね、うん。」
そう、何もない。
超級の技術者である彼女は、僕が何かするより先に、家事の全自動化を終わらせてしまった。掃除は全部ドローン。洗濯はボタン1つで、乾燥まで自動。しかも、僕のスーツまで新品と見間違えるくらい綺麗にしてくれる。
そして、もちろん食事も。
(厨房、入ったら怒られるんだよな……。『夫はソファで寛ぐのが仕事では? これは妻の仕事です。』とか言いながら押し返してくるし。)
というわけで僕は、キッチンに入らせて貰えない。
一度こう、スパイダーマンの力を活用して突破しようとしたことがあるんだけど、普通に彼女もウェブシューターを自作して対処してきちゃった。
最初は蜘蛛糸液にもシューターにも目を輝かせて褒めてくれたのに、いつの間にか完全に分析されてそれ以上の物を作り上げている。まぁそのお零れに僕も助けられてるから文句言えないけど……。
あと悪意がないせいか“センス”も反応してくれない。最終的に椅子に貼り付けられて『あーん』される始末。
まぁそんなわけで料理関連は、レノラが全て手作りで用意してしまうのだ。
(……しかも、凄く美味しいのがなぁ。)
以前のホームパーティでのちらし寿司。それで理解していたことだが、彼女は結構な料理上手だ。用意してくれるすべてが美味しくて、見た目もいい。
そして何より、栄養バランスが凄い。
本人に聞いたところによると、僕の身体。正確には蜘蛛の力を得た人間、それが必要とする栄養素を試算し最適な数値を割り出したらしい。
そんな感じで、毎日僕の身体にぴったりな食事が出てくる。
実際それを食べる様になってから凄く体の調子が良くなったし、頭の回転も早くなったような気もする。スパイダーマンとしての活動中も、カメラマンとしての活動中も絶好調。お弁当まで用意してくれるんだから感謝しかないよね。
「まぁさっきの“お小遣い”同様。食べなかったら捨てようとするから、食べるしかないんだけど。」
……こうして考えてみると。
スパイダーマンとしての活動、ピーター・パーカーとしての仕事、金銭面。そして生活そのもの。
その全てでレノラに支えられているのが解る。今も色々戸惑っているが、僕がそのすべてを受け入れてしまっていることも、だ。
彼女のサポートが的確で、既に『元の生活に戻ることが考えられなくなってきている』ことも踏まえると、僕にとってレノラという存在はとても大きなモノになっているのだろう。
(1つだけ、考えないといけないことがある。)
僕はピーター・パーカーであり、スパイダーマンだ。
普通の人間としての生活を送りながら、街を守り困っている人を助ける。
力を持ったからこそ、その責任を果たす為にこれまで走り続けて来た。色んな辛いことがあったが、それでも止まらずに今までずっと一人でやってきた。
でも今は違う。
僕には、レノラがいる。
生活を支えてくれて、仕事を手伝ってくれて、僕のスパイダーマンとしての活動まで助けてくれる人がいる。
そして、そのお腹には子供がいる。
確かに色々と押しが強いが、僕が受け入れられないラインだったり、強く拒否すれば引いてくれるだけの理性が彼女にはある。そんな明らかに僕に深い好意を向けていて、僕の全てを尊重し受け入れてくれる相手。
そして僕も、それを悪く思っていない。少なくとも、拒否しようとは思わない。
その事実を真正面から考える。
……あぁ、うん。これって。もしかして。
「……覚悟決めないといけない奴?」
みんなも評価を入れて、一緒にピーターの外堀を埋めよう!
次回は可哀想なカノンイベントの予定です。