CyberPunk2077_Engram Controller 作:アルファルド・ロマネスク
ロバートと一緒に仕事してからしばらく経った。
あの後も私は色んな仕事をこなした。
彼と一緒に仕事をすることもあった。
殺人、強奪以外にもNCPD……警察の仕事にも協力した。
とにかくお金さえ集められればそれでよかった。
全ては、ヘイデンのため。
こうして貯めたお金のおかげで無事ヘイデンの義足は買えた。手術もいい腕を持った闇医者ことリパードクにしてもらった。
でも、私はヘイデンにはもっといい暮らしをさせたかった。
せっかく足を買っても、結局その後のメンテ代とかを考えるとゴミ山のゴミ拾いだと払えない。
とはいえヘイデンに私と同じソロの仕事はさせたくない。
もっと良い家に住ませたいし、いい仕事を見つけてあげたい。
私の中でヘイデンは私を助けてくれた恩人から、私にとって血こそ繋がってないけど父親のような存在になっていたんだ。
でも、ヘイデンは私が仕事に行く時は悲しそうに、帰ってきたら心の底から心配した表情をする。
わかってる。私の仕事が危ないことなんて。
それでも……それでもなんだよ、ヘイデン。
さて、こんなことを考えながらダンボールのベットから起きた私は半分日課になったニュースラジオを付けた。
常に変化し続けるナイトシティ、最新情報はなるべく早い段階で確保したいものだもの。
3エディで買ってきた賞味期限切れ寸前のオレンジ缶ジュースの蓋を開ける。
今日は依頼の予定はない。ゆっくりヘイデンと一緒にゴミを拾って売るだけの日。
普段の殺し合いと違って気を張らなくて良いからとっても気楽。
勿論足元は気をつけないといけないし、重労働だから大変だしね。
まあ私は身体に入ってるインプラントのおかげでほとんど重さを感じないけど。
ん、ラジオがかかってきた。
このスタンって人のラジオ好きなんだよね。
なんというか、内容自体はいつもの暗いナイトシティのニュースなんだけど、この人の陽気な感じのおかげで軽く聞ける。
今日はどんなニュースを話してくれるのかな?
そうすこしウキウキしながら聞き出すと、最初のニュースを聞いた瞬間、少し離れた場所で寝ていたヘイデンが飛び起きた。
「サブロウ・アラサカが暗殺されただと!?」
「ヘイデン、サブロウってそんなにすごい人なの?」
あまりのうろたえようだったから不思議に思って私はこう返す。
ヘイデンは2回ほど深呼吸をしてから私に答えてくれた。
「アラサカ社は知ってるな? あの会社の社長だ」
「へー……企業の人が暗殺されるなんて、ナイトシティじゃよくあることじゃないの?」
「サブロウは別格だ。指を鳴らすだけで核のスプリンクラーが回る会社の頂点だ。このナイトシティの設立にも深くかかわっている、ミリテクと双璧を成している世界最大級の企業だ」
ミリテクもよく知っている。アメリカ最大級の銃器開発メーカー。とりあえずミリテク製を選べば間違いはないって言われるくらい安い・硬い・火力が高い。
そんな企業と真正面から立ち向かえる企業のトップ。なるほど暗殺されたとなると大騒ぎになるね。
「場所はワトソン地区の紺碧プラザか……俺には無縁の場所だったが、そうかあそこか」
「そういえば、私はまだワトソン地区に行ったことがない……どんなところだったっけ?」
「……昔俺が住んでいたところだ。メイルストロームの溜まり場でもあるな」
そこまで言われて私は察した。奥さんと娘さんことアイビスを殺されたメイルストロームの溜まり場……ヘイデンが口を開くのに少し時間がかかるわけだ。
ヘイデンに嫌なことを思い出させてしまった。
申し訳ないなと思ってるとヘイデンが首を振る。
「いいんだ……もう過ぎたことだ」
さあ行こうとヘイデンが私に声をかける。
そうだね、ヘイデンがそういうなら、私が引きずり続けるのはおかしいよね。
私は体を起こしてヘイデンへ続く。
予定通りゴミ拾い、命の危険はない。
積み上がった鉄くずを丘を乗り越えて、私とヘイデンはゆっくりとサルベージを1日使って行うのだった。
そうして日が暮れて、さあ寝ようとダンボールに横になった時、私の体に仕込まれた電話ことホロコールが鳴った。
こんな時間に通話?
誰からだろうと出ると、それは知らない人だった。
「夜分遅くに失礼するわぁお嬢ちゃん」
「……男の人?」
なんだか不思議な人。男なのに女の人みたいな喋り方をしてる。
「話さなくともなんとなく何を考えているかはわかるわぁ。でも、それは一旦おいておいて自己紹介。私はママ・グレース、気軽にママって呼んでちょうだい」
「ま、ママ……」
すっごく妙な感じ。母親(ママ)じゃないのにママって呼ぶの。
「さて本題よアイビスちゃん。私はとある酒場でそこそこ有名なフィクサーをやってるの。フィクサーがソロに話しかけるということはどういうことか、わかるわよねぇ?」
「……お仕事?」
「正解よぉ。エル・キャピタンから貴女を推されたの。かなり使えるソロだってね」
エルおじさんの紹介だったんだ……それで私を知ってたわけなんだね。
一人納得して頷いていると、ママはこう言った。
「今日はもう遅いから明日でいいわ。アフターライフってお店を知っているかしら」
アフターライフ? 私が知らないと答えるとママは微笑みをこぼしながら教えてくれた。
「レジェンドが生まれる店って呼ばれてるわ。明日、そこで待ってるわよ」
そう言ってママはホロコールを切った。
新しいお仕事、新しいお店。どんなところなのかな。
明日ヘイデンに聞いたらわかるかな?
そう思いながら寝ようとすると、ママからメッセージがきた。
内容は……『言い忘れてたわ。おめでとう、ようこそメジャーへ』?
どういうことなんだろう?
まあいいや、このまま寝ちゃえ。
これも明日ヘイデンに聞けばいいや。
私はそのままダンボールに横になって、半分無理やり眠りについた。