とある科学の〇〇〇〇   作:b-souls

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本当に申し訳ありません。

色々なことが重なって更新出来ていませんでした…

こっから挽回できるようにします!


第6話

1人の、男がいた。

 

その男は、子供の頃から、努力と研鑽を続け、学業に関して言えば、地上で最上級の存在だった。

 

周りの科学者や人々は、彼を、天才と讃えた。

 

しかし、彼はその呼び名が嫌いだった。

 

自分の存在を、その天才という言葉だけで言いあらわされるのが、不満だったのだ。

 

その男を慕って、多くの人々が彼のもとにやってきた。

彼の、部下として。

彼の考えを理解できるものは居なく、彼と隣を歩ける者もまたいなかった。

 

故に、孤独。

 

周りの人々は増えていっても、対等の存在は見つからない。

 

いつしか彼は、科学の街へと辿り着く。

そうして遂に、対等な存在を見つけることができた。

 

自分と同じくらいの年の、女だった。

女は、どこか抜けている部分もあったが、その知略は男すら凌いでいた。

やがて2人は恋に落ちる。

共に時を過ごし、その2人の仲の良さは周りから見てもわかるほどだった。

 

しかし、男は女の存在をあやしむようになっていく。

 

ふと、1人でいる女を見つけ、こえをかけようとした時だった。

彼女は、何かと話しているようだった。

 

話している方向には、1人の女がいた。

その女は、翼を生やし、天に、浮いていた。

 

 

 

ーーーー

 

暗い一室の中で、聖真は目を覚ました。

 

「どこだ…?ここは…」

 

周りを見渡しても、自分の記憶に思い当たるような場所ではない。学生寮ではないことは、確かだった。

 

 

「俺は何をしてたんだ…。つっ…!」

 

ふと、体が傷んだ。

その瞬間、彼はこれまでのことを思い出す。

 

「そうか…魔術師と戦って俺は…」

 

聖真は、神裂火織に敗北した。

自分の全ての力を駆使しても、敵の魔術師には適わなかった。目で追えない程の相手の斬撃、重い一撃。

 

それらを思い出し、唇を噛む。

しかし、苦悩している時間はないと、

聖真は、まずは現状の把握を最優先した。

 

「ここはどこだ…?」

 

いくら見渡しても、わからない。

 

「とりあえず外出てみるか…」

 

と、立ち上がったその時だった。

 

「聖真!!起きたか!!」

 

ガチャリ、とドアから出てきたのはツンツン頭の少年と、

 

目を潤ましている銀髪のシスター少女だった。

 

「当麻…?インデックス…?」

 

「せいま…」

 

と、とても辛そうな声を出すインデックス。

 

「なんでそんな顔してんだよ。一晩寝込んだくらいで」

 

「一晩じゃない。3日だ」

 

と口を開いたのは当麻だった。

 

「あー3日か…って3日!?そんなに寝てたのか俺?」

 

「ああ、3日前、俺とインデックスはなんとか炎の魔術師を撒いて道路を歩いていたら、お前がひどい怪我をして倒れてたんだ。急いで連れてきたのは、小萌先生の家」

 

「小萌先生の家か!なんで忘れてたんだか…」

 

聖真が知らないと思っていたこの場所は、なんてことはない、3日前までいた担任の家だった。

 

「ごめんね…聖真」

 

インデックスがふとバツが悪そうな顔で言ってくる。

 

「なんだよお前が謝ることなんて別に…」

 

「あるんだよ!私のせいで聖真がこんなにボロボロになって…私はただ逃げてるだけだった…聖真が戦ってるなんて知らずに、ただ安全に逃げてるだけだった…!」

 

「インデックスのせいじゃないさ。俺が弱いのが悪いんだよ」

 

聖真は、優しい顔をする。

それは、心からの思いだった。

自分が弱かったために、敵の魔術師に遅れをとった。

それは、インデックスのせいなんかではない。

という本心からきた言葉であった。

 

「ところで当麻。あれから魔術師は?」

 

「あれきり来てない。不気味なくらいにな…」

 

苦い顔をしている当麻。

 

起きていた彼にとって、この3日というのは短いようで長い時間だった。

いつ敵が来るかもしれないという緊張から、なかなか休めず、心身的な疲労が溜まっていた。

 

「そか。まあそんなに警戒したって何も変わらないさ。それより3日も寝込んでると、さすがに腹が減ったよ…」

 

「じゃあ!じゃあ!私がお粥を作るんだよ!」

 

「お前料理とかできんの?」

 

「経験の無さは知識で補うんだよ!」

 

「経験ねえのかよ!少しでもお前に家事とかのスキルを期待した俺が馬鹿だったわ!」

 

「む。心外なんだよ。私だってやろうとおもえば料理くらい」

 

「既に3つほどの卵をダメにしてるのは黙っててやるから頑張れよインデックス」

 

そこに入る当麻の心無い応援。

 

「ああー!ひどいんだよとうま!もう2人して私をいじめて…」

 

そう言って拗ねるインデックス。

その仕草から本当に彼女が料理をできないということを知る聖真。

気を取直して当麻にでも作ってもらおうかな、と思ったその時。

 

ノックの音が聞こえる。

 

「先生帰ってきたか…?」

 

とドアの方を3人でみる。

 

と同時に、外からあれー?うちの前で何やってるんです?

と小萌先生の声が聞こえた。

 

「ん?他に誰かいるのか?」

 

と当麻が呟いたその時、

 

「上条ちゃんと聖澤ちゃーん。なんかお客さんみたいですよー」

 

現れたのは、小萌先生と、

 

魔術師、2人だった。

 

突然の襲来に頭が混乱する。

 

目的は当然、インデックスだろうが、それはこの3日の間にも出来たはずだ。

なぜ、このタイミングなのだろうか?

様々な考えが浮かぶ中、先に口を開いたのはステイルマグヌスだった。

 

「その怪我だと逃げることもできないのか…それとも目が覚めたばっかりなのか…ま、どちらにせよ充分に動けそうもないね」

 

と、いつもの調子のステイルの言葉を聞いて、その意図に気付く。

いわば、聖真と当然は保険であった。

これまでは一人で逃げることができていたインデックスだが、今は怪我で満身創痍な2人を抱えている。

インデックスの性格からして、聖真と当麻を放っておいて逃げることはできない。

そうしてインデックスが逃げられない状況を得るために、あえて今日まで放っておいたのだ。

 

「くっ…」

 

今すぐ逃げ出さなければいけないのに、聖真と当麻は動けなかった。

わかっていたことだけれども、彼らの体は限界に近い。

魔術師2人から逃げ延びるのは、ほぼ不可能だった。

 

そう2人が考えていたなか、突然インデックスは魔術師の前に飛び出る。

 

「帰って。」

 

「…」

 

対する魔術師は無言。しかし、そのインデックスの態度をみた2人は、どこか悲しそうだった。

戦っている時に神裂が見せた、あの顔である。

 

「もう…2人を傷つけないで!」

 

インデックスの強い叫びが響く。

聖真は、インデックスは2人の魔術師にとって掛け替えのない大事な親友だった。ということを知っている。

その言葉は、2人にとってはどれほどの重みがある言葉なのだろうか。

聖真は、わからなかった。

インデックスの過去を知らない聖真には、決してわかってはいけないことだった。

 

魔術師は再び残忍な顔になって言う。

 

「タイムリミットまで、十二時間と三十八分だ」

 

その意味を知っているのは、自分だけだと思っていた聖真だが、隣の当麻も、青ざめたような顔をしている。

知らされていたのだろうか。

 

「ここまで逃げなかったことを考えると、その二人は予想以上の効果を出したようだね。その二人が再び傷つくのを見たくないなら、そのときまで逃げることは考えない方がいい」

 

感情を殺したその声に、しかしどこか違和感を感じてしまった。

 

インデックスは答えない。

魔術師もまた、何も言わずに去っていった。

 

再び部屋に静寂が訪れる。

 

2人の中にあるのは、絶望だった。

この残された時間で何をすればいいのか。

この状況をどう打開するのだろうか。

 

そして、インデックスは、

 

「2人とも、大丈夫なんだよ。私が、とうまとせいまは守るから」

 

と、2人を気付かうような優しい声で、言った。

 

この小さな体のどこから、そんな言葉が出るのだろうか。

 

2人は思う。

救ってやりたい、と。

ただ、魔術という未知の領域に対して彼らは、余りにも無知すぎた。

いや、いくら魔術サイドの人間だったとしても、この問題は解決できるものではない。

何人の魔術師が、インデックスと関わった魔術師が、この理不尽な世界と戦ったのか。

そして、何人の魔術師が、この世界に絶望したのか。

 

「諦めるか…!」

 

聖真は思考を、振り払う。

その言葉は誰に言ったものなのか。

ほかの何よりも、自分に向けられていた。

 

「絶対に…インデックスは助けてみせる…!」

 

強い決意。

2人は、この理不尽さを振り解く策を、考え始めた。

 

 

ーーーー

 

時間は無慈悲に過ぎていく。

 

タイムリミットが近づいた今。

結局まだ2人に名案はなかった。

 

インデックスは、魔術師が去った後すぐに眠ってしまった。

日頃の疲れが回ったのか、それとも近付くタイムリミットによる物なのか。

 

「くっそ…」

 

聖真は焦っている。

この時間まで、科学の能力や、設備などを使った方法を考えていたものの、まだ案は出ていない。

魔術というものに関して無知である聖真にとって、科学という能力を使うことで彼女をどうにかすることができるのだろうか?

 

焦りは、冷静な思考すらもできなくさせていた。

 

ふと、聖真は隣を見る。

上条当麻。

自分と同じ無能力者であり、最高の親友。

彼もまた、何か方法が浮かんでいるわけではなかった。

 

(結局、俺らには無理なのかな…)

 

聖真は、刻一刻と近付くタイムリミットの前に、為すすべもなくしていた。

 

(そもそも、ちょっと一緒に過ごしたくらいの関係じゃないか)

 

眠っているインデックスを見て思う。

彼女と聖真達との関係は、時間で表すと一週間にも満たない。

そんな、出会ったばかりの少女に対して、何をこんなに真剣に考えているのか。

 

(俺は、当麻のようには、なれない)

 

これまでずっと一緒に隣を歩いてきた、友人について思う。

 

二人が出会ったのは高校生の頃だった。

聖真は、上条当麻に対して、どこまでもお人好しな奴だ。という印象を受けていた。

 

困っているやつがいたらすぐに助けに行く。

その点に関しての見返りは、いらない。

そんな彼の生き方に対して、

彼は、憧れていた。

 

 

何かを守る。

 

その時の彼は、聖真にとって、ヒーローだった。

そうして、親友となり、聖真も人助けを始める。

 

誰かを助けたときは嬉しかったし、憧れに近づいたようで満足だった。

 

でも、追いつけると思わなかった。

誰かのために何かをする。

そんなことを何も考えずにやるのは、弱い自分には難しかった。

 

(おれは、弱い…)

 

思考のデフレーション。

聖真の心はどんどんネガティブへとなっていく。

 

しかし、その時。

 

「諦めるか…諦めてたまるか…!」

 

当麻が、呟いていた。

それは、ただの独り言だったのだろう。

しかし、聖真からしたら、自分へと向けられていると思うほど気持ちが入った言葉だった。

 

寝ているインデックスを見る。

 

(ああ、俺は何を迷ってたんだ)

 

確かに、聖真は弱い。

能力もないし、当麻ほど自分を犠牲にすることもできない。

確かに、インデックスは聖真にとって、会ったばかりの、まだ友達と言っていいかすらわからないほどの関係だった。

 

でも、それでも。

 

(もう会っちまったんだよな…)

 

もう、関わっている。

いくら短い付き合いだったとしても、この過ごしたときは、聖真には忘れられなかった。

 

(助けたい…そのためには、頭が焼ききれるまで、考える!)

 

迷いは、もうない。

 

再び、ただ、助けるためだけに、考え続ける。

 

(昨日から、何かが引っかかる…禁書目録、魔術、完全記憶能力…ストック…記憶…?)

 

「ハッ…」

 

「どうした?聖真」

 

「ハッハッハッハッハッハ!!」

 

聖真は笑い出す。

まるで、これまでのことがばかばかしかったかのように。

 

「なにか思い浮かんだのか!?」

 

「思い浮かぶも何も、簡単なことだったんだ。インデックスの記憶は一年周期で消さなきゃいけない。それは嘘だ」

 

「嘘…だって?」

 

「ああ、昔知ったんたが、人間の記憶ってのは分かれていて、思い出を司るのは意味記憶。言葉や知識はエピソード記憶。それぞれは不可侵のものなんだよ」

 

「つまり、教会はあいつらに嘘をついてたんだ。インデックスの体に、何か細工したんだ」

 

やっと、見つけたその答え。

それに、二人は驚きながらも、喜びを感じていた。

 

「当麻!」

 

「わかってる!」

 

すぐさま、インデックスの体を見る。

細工が施されているとしたら、外からは見えないところ。

 

すなわち…口。

 

当麻の右手が、インデックスの口の中の何かに触れる。

 

バギン!!

 

 

部屋中に、何かが割れたような音が響く。

 

と、同時に、インデックスの両目が輝く。

その奥にある、魔法陣によって。

 

 

「警告、禁書目録の指輪。再生準備___失敗。首輪の自己再生は不可能。十万三千冊の魔導書の保護のために、侵入者の迎撃を優先します」

 

その声は、一度、ステイルと戦ったときに聞いた声。

しかし、それよりももっと深く、沈めたような声だった。

 

「チッ!!嘘ばっかだな!この世界ってのは!」

 

すぐさま迎撃体制をとる。

しかし、無能力者の聖真が魔術に対抗できるはずもない。

 

すぐさま、インデックスは魔法陣を展開し、聖真を狙って光を放つ。

 

が、当たらなかった。

その魔術は、上条当麻の右手によって防がれた。

 

「わりい!当麻!」

 

「くっそ…この魔術、この右手で消しきれない!」

 

圧倒的な質力。

その力の前に、右手は拮抗するだけで限界だった。

 

後ろの方から、何かが駆けてくる音がする。

小萌先生は、温泉に出かけていった。

ならば来たのは…

 

 

「なっ!竜王の吐息!?なぜあの子が魔術を!」

 

神裂火織と、ステイルマグヌス。

これまで騙されていた、二人の魔術師だった。

 

「わかんねえのか!?これまであんたらは騙されていたんだよ!記憶は消さなきゃいけないなんてのは嘘だ!こいつを消しちまえば、インデックスは助かる!」

 

そう話しているあいだにも、当麻はジリジリと押されていた。

 

「頼む!力を貸してくれ!お前らだって、インデックスを助けたいんだろ?」

 

ステイルが、一瞬にしてルーンのカードをばらまく。だがそれは、上条当麻の援護ではない。

 

「僕は、決めたんだ。どれだけ非情になろうと、とりあえずインデックスを守ると!それを脅かすなら…」

 

「バカ野郎が!!」

 

「「!!」」

 

その一喝によって、神裂火織とステイルの動きが止まる。

 

「最初にお前らが抱いてた思いを思い出せ!ただただ、助けたかったんだろ?インデックスを!目の前にチャンスは転がってんだ。俺ら全員が、主人公になるんだ…他の誰でもなく!」

 

何かを決心したかのように、神裂は叫ぶ。

 

「Salvare000!!!」

 

ついに当麻の幻想殺しを押し切った光の柱に、神裂の刀のひと振りがぶつかる。

 

ズン!!!

 

低い音が鳴り響き、衝撃波が伝わる。光の柱は軌道を変えて、空を引き裂いていく。

 

「その魔術は、『竜王の吐息』と言います!どんな力だろうとまともに張り合おうとしないでください!」

 

その言葉に頷くこともなく、当麻は走る。インデックスの元へ。

しかし、再び光の柱が当麻と襲いかかってくる。

 

「くっ…!」

 

「魔女狩りの王!!」

 

ステイルが叫ぶ。

先程ルーンのカードをばらまいていたために、その炎の魔人は姿を表した。

 

再び、激突。炎の魔人と光はぶつかりあった。

 

しかし、先程とは違う。

無限再生を繰り返す魔女狩りの王は、消えることなく、光の柱を受け止めていた。

 

「行け!能力者!彼女を救いたいなら一秒でも時間を稼ごうとするな!」

 

再び、走る。

そしつついに、インデックスに触れようと、右手を、伸ばす。

 

 

「ダメです______上!」

 

 

何かを危惧するかのような、神裂の叫び。

その声に反応し、ふと当麻は上を見上げる。

 

宙を舞うのは、光の羽。

光の柱から生まれたその何十枚もの羽は、今まさに当麻の頭上へと降り注いで来ようとしていた。

 

しかし、当麻は止まらない。自分の身など省みずに。

ただ、その手を伸ばす。

 

 

「警告ーー修復…」

 

薄れゆく声とともに、インデックスの周りの魔法陣は消え去った。

 

しかし、頭上から降る羽は二人を捉えようとしていた。

 

当麻は、笑顔になる。

インデックスを助けられたことを、誰よりも喜んで。

その体は、インデックスを守るように覆い被さっていた。

 

(当麻…インデックス…!)

 

何も、出来ない。

聖真は、ただ立ち尽くしていた。

 

ステイルが炎の魔人を出した時も。

神裂が刀で攻撃をはじいた時も。

そして、当麻がインデックスの魔術を無効化したときも。

 

聖真は、何もできなかった。

 

 

でも…

 

それでも…!

 

(守るって…決めた…!絶対に!みんなを!)

 

ヒーローになる。憧れた、その存在に追いつくために。

 

走り出す。

一瞬で当麻の側まで付き、そして…

 




今回は詰め込みすぎて長くなりました。

次はエピローグとなります

さて、聖真はどうなったのでしょうか…?
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