とある科学の〇〇〇〇   作:b-souls

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最終話です


最終話

学園都市内では、数多くの病院があり、そしてそのどれもが技術が発達していて、その中でも特に有名な病院の廊下を、銀髪シスターは歩いていた。

 

彼女にとって、ここ数日は色々な事が起きた密度の濃い期間だった。

とある少年の寮のベランダに引っかかり、その友人に会い、何度も助けてもらった。

そして、インデックスが目覚めた時にはすべてが終わっていて、敵だと思っていた魔術師が実は同僚で仲間の魔術師であり、自分は一年周期で記憶を消さなければいけない体だったということもを知った。

自分を助けるために、2人の高校生が体を張ってくれたことも。

 

混乱する頭であったものの、彼女にとって今重要なのは自分のことではなく、上条当麻と、聖澤聖真の容態だった。

 

幸い、先に見舞った上条当麻は、怪我はしているもののすぐに退院できると聞いた。

しかし、聖澤聖真は、頭に致命的な攻撃を受けた、らしい。

 

何もできなかった自分が歯がゆかった。

2人を助けると言いながらも、結局は自分は何もできずに、何も知らない場所で事件は解決した。

そんな自分を戒めながらも、辿りついたのは、聖真の病室。

 

「……」

 

少し立ち止まり、恐る恐るドアを開ける。

 

が、

 

目に写る風景に、彼女が会いたかった少年はいなかった。

 

「せいま!?」

 

焦り、病室の奥へと駆け込んでいくインデックス。

だが、いるはずのベッドには、聖真はいない。

 

どこかへ行ってしまったのか、

それとも、自分に会うのが嫌だったのか、と考えた。

 

当たり前なのかもしれない。

こんな病院に入院するくらいの傷を負わせて、自分は全くの無傷。そんな勝手な少女を嫌いにならないはずがない。

そう、気を落としていた時だった。

 

「なーに泣きそうな顔してんだよ」

 

と、後ろには、自分が会いたかった、声が聞きたかった少年がいた。

 

「せいま!」

 

と飛び掛ろうとするが、頭を抑えられて阻止される。

 

「こっちは病人だぞこら…」

 

と呆れたような顔をしながらも、その顔はどこか嬉しそうだった。

 

「頭は…大丈夫なの?」

 

「あ?インデックス。お前、俺をバカとでもいいたいのか?」

 

「そうじゃないんだよ!」

 

いつもの調子で言葉を交わす。

そんな瞬間がインデックスにとっては、とても嬉しかった。

 

「正直、記憶を失ってもおかしくないぐらいのダメージを受けたらしい。だが、まあ…なぜかこうやって普通に生きられてる。カエル顔の先生にもわからないらしいぜ」

 

と、突然真剣な表情になって自分の病状を話した。

 

「ま、魔術師からの手紙で見たが、どうやらお前とは長い付き合いになりそうだな」

 

インデックスも読んだ魔術師の手紙には、自分が学園都市に滞在するということと、その監視役として幻想殺しを持つ上条当麻と聖澤聖真が選ばれたということが書いてあった。

 

聖真と当麻のことで頭がいっぱいだったさっきは素直に喜べなかったものの、今なら喜べる。

この少年たちと、まだ一緒にいれるということを。

 

「だからまあ、とりあえず当麻と一緒に帰ってろよ。おれもすぐに退院できるらしいし」

 

「うん!」

 

その言葉を聞いたインデックスは、嬉しそうに病院から出ていった。

それと同時に病室に入ってきたのは、カエル顔の医者。

その筋では有名な人物らしいが、その風貌は老齢のただの医者。というようなものだった。

 

「本当に彼女には言わなくていいのかい?」

 

「言うって言っても、アイツにはあんま関係ないことですからね。俺が俺のことを忘れている。なんて」

 

「僕は医者を長くやってるけど、君みたいなケースは初めてだね?エピソード記憶の中の、自分のことだけを忘れているだなんて」

 

「先生にもわからないんなら俺にもわかりませんよ。覚えているのは、周りの人達のことだけ。自分がどのような性格で、どのようなことを考え、行っきたか。それだけがスッポリ抜けてますからね」

 

ハハ…と軽い調子で言う聖真。

 

そんな病人の姿を見て、息を吐きながらも周りの整理をする医者。そして、聖真に1枚の紙を渡す。

 

「君がどんな学校に通ってたとか、調べられることはそこに書いておいたよ。一通り目を通しておくといいよ?でも…当たり前の事だけど、君の性格や、考えまでは分からなかった。」

 

と、少し声を落としながらも告げる医者。

重大なことを言っているのに、聖真は何も焦った様子もなく、言った。

 

「俺がどんなやつかなんて、これまでの経緯とかがわかれば充分ですよ。本当の自分は…」

 

と、ひと呼吸おいて、言う。

 

「これから、見つけていけばいいんですから」

 

と、誰よりも無垢な笑顔で、答えた。

きっと、この少年は記憶を無くさなくても変わらないんだろう、と医者は思った。

大切なことは、言葉じゃなく、その心が語っていた。

 

病室を出て廊下を歩きながら、1つ思い出す。

 

(本当は、全ての記憶が破壊されてもおかしくなかった。てことは言わなくてもよかったのかな?何かが彼の全破壊を阻止したってことを…)

 

 

少女は救われ、1つの物語は幕を閉じた。

しかし、少年の物語は、まだまだ始まったばかり。

彼の運命が今、動き出す。




これでようやく禁書目録編は完結です!
皆様ありがとうございました…

しかしこの物語はまだまだ続きます!
次の話は、オリジナルを入れようかと思っていますので、どうやよろしくお願いします!
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