モブ令嬢に転生したみたいですが私は推しカプの幸せを見守る以外に興味ありません 作:九ツ森とむ
その後リカルド君は見事に生徒会役員への自己推薦が認められ、私の後輩となった。
向上心のあるリカルド君への指導は本当に楽しくて、そして度々彼の様子を見たり私に会いに来るという名目でユリアが手作りお菓子の差し入れをくれたりして、それもあってか役員の皆さんたちには『姉弟仲の本当にいい二人だね』と微笑ましい目で見守られていた。
そんな穏やかな日々の中、ある時私がぽろりとリカルド君のユリアへの気持ちに気づいていることを口にしてしまって……その時の彼の慌て様と言ったら、本当に申し訳なかったけど可愛すぎてもだえるかと思った。
「ミーネ先輩は、本当になんでもお見通しなんですね……」
「…………!」
照れ笑いした彼の表情は本当に本当に……なんでスクショ機能がないのか……この瞬間を永遠にしたい……と拝みたくなるほどの、神の作画だった……。
「覚えていてくださいませ、私は心からリカルドさんのことを応援しております。いつの日か、あなたのその想いが成就なさることを願っているんです。……もちろん、ユリアさんには内緒にするとお約束いたしますから、ご安心なさって」
「ありがとうございます、ミーネ先輩。先輩にそう言っていただけるなんて、本当に心強いです」
うーん、笑顔がまぶしい……!
ユリアやシュテルン家との関係もよく、しかも持ち前の能力から考えれば当たり前なんだけど成績優秀で、生徒会役員としての仕事にも意欲的に取り組んでいる……今のリカルド君なら、ハルトムート王子殿下を破滅させるための大人の口車なんかには絶対乗らないだろう。
といっても、油断はできない。
絶対に、そんなルートに進まないようにしなくちゃ。
そう思い至った私は、ゲームの展開を思い出しながらリカルド君を唆す黒幕について調べるため図書館でここ最近の新聞を読み漁る。
そしてその結果……なんとその第二王子を担ぎ上げた貴族家の一派が、なんかもう勝手に自滅していたという事実に行き当たった。
リーダー格の公爵がいたんだけど、そいつが不法行為で爵位を息子に譲らされて領地で隠居させられてるね……。息子は第一王子派で、第二王子派は実質空中分解してるみたい。
あまりに拍子抜けな事態で、おもわず間抜けな声が出てしまったよ。
なお公爵が罪に問われて引退させられた原因を調べていくと、どうやら決定的にお話のルートが変わった原因ぽい出来事をみつけた。
それがどうも、……私が王子殿下にお願いして作ってもらった、木彫りのスタンプが開発されたことっぽいな。
原作では問題の公爵以外にもその手下が何人かいてね、特にリカルド君の実家の寄り親であり原作でリカルド君に不正をそそのかす侯爵家があるんだけど、そこが木製スタンプの材料となる木材を産出する森林豊かな侯爵領なのよ。
どうもスタンプが開発されるまでは領地経営が厳しくて、その問題の公爵家に援助をしてもらっていたみたい。原作ではそういう弱みを握られて、計画への加担を断り切れなかったみたいでね。
それが今回はルート分岐したせいで、スタンプのおかげで領地がすごく潤っちゃってる。
だから援助をしてもらう必要もなくなって、計画に加担する必要もなくなった。
そもそも木製スタンプが国の一大事業になると睨んだハルトムート殿下が腹心を侯爵領に派遣していたんだわ。
そうと把握していなかった第二王子派の貴族が、彼の耳に入る場所で計画について話しちゃったみたいだね……そこから話が回ってしまったと。
侯爵はきっぱり断ったみたいでお咎めなし、逆に公爵が格下貴族家への脅迫強要の罪で指導からの息子への譲爵勧告、まあ実質爵位剥奪だよね。それで計画も一派も、空中分解。
……うん。知らない間に第二王子派、存在自体がなくなってたわ……。