「再婚した」
ぶっきらぼうに、それが普通であるみたいに、親父はそう言った。
「そうか、」
こっちとしても、母親がいないからそのうちそうなる可能性も考慮していたが、あまりにも唐突で、日常のなかで投げられれば、反応も薄くなる。
「それで、明後日にお前も顔合わせをするんだが…」
「………わかった」
俺は、
「新しい環境になるが、すぐに慣れるだろ」
「それはいいが、明日入試だろうが、家はどうするんだ?」
「こっちに来てもらうから大丈夫だ」
「そうか、」
新しい家族に興味はない、あるとすれば、ちゃんと受け入れてくれるかだ。
「相手方も雄英志望らしい」
「そうか、まぁ、クラス違うからいいだろ」
「お前もヒーロー科だろうが、」
「L組志望だ、関係無い」
「関係あるだろうが、あれ総合科だろうが、」
「L組志望は俺の知り合い以外に居ねぇよ」
L組
昨年雄英高校に併設された、特別総合科。
通称、
虐め、差別、虐待、etc......
ともかくとして、明日の入試の為に俺は早めに寝る事にする。何であれ、俺も入らないとあの件について追うことはできない。
翌日、雄英高校入試試験、実技説明を聞く。
「今日は俺のライブへようこそ!エヴィバディセイヘイ!」
雰囲気をぶち壊したのは、雄英高校の教師、プレゼント・マイク。声がでかくなる個性だったはずだ。別に興味はない。一応これから関わるからと、雄英教師は全員顔と名前だけ覚えた。
「こいつぁシヴィ―――!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」
やっぱりコール&レスポンスに反応できた人間は誰一人としていない。
「入試要項通り!リスナーにはこの後!30分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!O.K?」
「演習場には”仮想敵”を
三種か、まぁ、なんとかなるかな。1、2、3、思ったより一個体の点数が低いが、俺含めて彼奴等なら別に問題はないだろう。
「質問よろしいでしょうか?プリントには
「オーケーオーケー。受験番号7111くん。ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0P!そいつはいわば
俺とは、いや、俺達とは相性が悪い人間だな、まぁ、L組は関わることがないだろうから別に問題ないが。
「ところでそこの縮毛の君!!先ほどからボソボソと…気が散る!物見遊山のつもりなら即刻ここから去りたまえ!」
「す、すいません」
性格悪いなぁ………わざわざ大衆の前で悪く言うなんて、自分が正しいと思っている、そうでなくてはならないとか、ヒーローになるならそれは必要なんだろうけど、そんな正しいことだけじゃ、人間関係は成り立たない。
「一悶着あったが、俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の”校訓“をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ポナパルドは言った!真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者と!!更に向こうへ!”Pius Ultra!!”それではよい受験を!!」
全員が席を立ち、別々の会場へ、さすがは倍率300の学校、受験会場が沢山ある。つまり、彼奴等とは別の会場だ、まぁ、個性で判断するわけじゃないが、彼奴等は普通につよいから別に問題はない。
自分のことに集中するのがいいだろう。
『はい、スタート』
「………?…あ?」
ものすごい軽い合図が出された、誤報か?いや、それとも、すでにスタートしてるとか言うやつか?
『どうしたどうしたァ!?実戦にゃカウントダウンなんざねェんだよ!走れ走れェ!賽はとうに投げられてんぞォ!?』
「やっぱりかよ!性格悪いなぁ!!ナナシ連中、出会え!」
掛け声一つで、物のスキマから、赤い魚のような頭部を持つ武者の姿をもつ異形が姿を表す。
連中の読み方だが、れんちゅう、ではなく、れんぢゅう、だ。蛮刀を持っているので、拝借して、仮想敵に突撃させる。
「いざ、参る」
ナナシ連中にも仮想敵を倒せと命令をさせておいて、俺も倒しに行く。どうせポイントの数で喧嘩になるだろうからな。倒せるだけ倒す。それとゼロポイントも倒せたら倒す。倒したほうがあとから煽り合いができるからな。
「ノサカマタ、ナナシ大筒隊………砲撃用意!撃てぇ!」
髑髏の並んだ巨大な顎を持つ鯱のような姿のノサカマタと、ナナシ連中から選り抜きの大筒を扱う部隊に現れたゼロポイントを破壊するように命令する。
遠距離攻撃で削るが定石、近づかなければこちらがダメージを負うこともない。
「逃げないの?!」
「逃げる理由がどこにあるんだ?それに、これ倒せないだけで、馬鹿にされるのは嫌なんでね!」
黒髪ショートの耳朶からイヤホンが伸びる少女の質問に答えてから、蛮刀を構えて、他のロボを壊していく。
あ、ゼロポイントが倒れた、さすがは遠距離部隊、一方的に倒せたな。
「すごいね、アンタ」
「別に、これくらいしないとな、アレは追えない」
「?」
「話しすぎたな、アンタも道草食ってんじゃねぇぞ、」
黒髪の少女と別れて、残るロボットも破壊していく。
『終ー了ー!!』
「終わったか、」
終了の合図を聞いて、会場の外に出る。
そのまま案内に従い、雄英の外へでると、ラインの通知音が鳴る。
『ゼロポイント倒せた?』
『硬かった』
『頑丈だけど、ヒーローが対応する敵としては弱いらしいよ』
『そうか、それと、明後日は家に来るなよ、親が再婚した』
『マジで?!』
『マジ。だから来んな、面倒くさい』
『了解』
『了解』
『了解』
『了解』
『了解』
全員から了承が得られたところで、スマホをバックにしまう。はぁ、いい人だといいんだけどなぁ………
翌日、相手方の家族が来るのでソファで座って待つ。すぐにでも部屋に入りたいが、それはできない。なぜなら第一人称というのは大事だからだ。
「そろそろ来るぞ」
「わかった、それで………なんで、捌けないのに魚を丸ごと買ってきたんだ?」
「お祝いにいいかなって」
「調理できるものを買ってこい、下処理するからほかのことやってろ」
「はい…」
親父が発泡スチロールに小型マグロを入れて持ち帰ってきたので軽く説教してから、キッチンに入り捌き始める。
全く、できることとできないことをしっかり認識してほしいもんだ。