Side魁離
「起きなさい!」
「……っち!うるせぇ」
戦闘訓練を終えて、休日、看咲に叩き起こされた。比喩だし部屋の中に入ってくることすらなかったが、扉を叩けば蝶番に負荷がかかる、殴るなと言っておこう。
「で、何のようだ」
「母さんたちがいないの!」
「出かけでもしたんだろ、てかいま、八時じゃねぇか、もう一時間は寝れるだろ」
「そうじゃなくてこれ!」
「あ?」
少し新婚旅行に行ってくる。生活費は魁離の通帳に送るからそれで何とかするように。家事などは分担して仲良くすること、
百鬼永零
「クソ野郎……家事はどこまでできる?」
「ある程度は………」
「なら、料理は俺がやるからそれ以外は任せた」
「はぁ?!なんでアンタが料理をやるのよ!」
「親父が金を俺に送ったってことは金銭面は俺がやりくりしろってことだ。それに、俺が衣類担当にはなれないだろうが」
「あっ!変態!」
「理不尽すぎるだろうが」
というわけで現在この家には、看咲、雨漓、俺、兎雪、凪咲の五人しかいないわけだ、
取り敢えず銀行行くか。
「俺は出かける、家は任せた」
「……アイツ慣れてるのかしら?」
なんか聞こえた気がしたが、無視をする。それよりも、本当に新婚旅行か確認を取らねば。
「もしもし」
『なんだい?』
「新婚旅行なのか?」
『新婚旅行だね、今のところは』
「俺はともかくとして、さっさと帰ってこい。これ以上男に対するの信用をなくすな、旦那側の離婚が原因だからあの警戒なんだろうが」
『やさしいな、だから大丈夫だ』
「どこにその根拠が!……切れたか」
俺にそんな信用はないだろうが、帰るつもりはなさそうだな。仕方ない、とはならないんだけどな。
「霙呼ぶか、家事全般できるし、」
銀行で通帳を確認して、暁月家に寄って霙を借りて帰ってくる。共同生活なのに警戒しかない生活が始まった。
「霙もいるとは言え、二日で結構キツイな」
「何が?」
「胃、さすがに敵意を常に向けられたキツイな、黎明街みたいだ」
「でも、13区よりかはマシでしよう」
「まぁな……夕飯作るか、どうする?食ってくか?」
「お願い」
「おう、」
取り敢えず、簡単に回鍋肉でも作るか。
「四人呼んできてくれ、飯食ったら送るけど」
「大丈夫よ、私も13区出身だもの」
「そうだな、」
二階から降りてきた四人を席に座らせて手早く食べる。
「回鍋肉?」
「文句でもあるのか?」
「いや、脂っこいものはちょっと……」
「作ってやったんだから黙って食え」
「私はアンタを認めてないんだけど」
「じゃぁ、出てけ、もともと百鬼家の物だ」
「私達も百鬼だけど、」
「それでも、後から来たのはお前らだろう」
兎雪と凪咲はまだ納得していないことが多いようだ。看咲と雨漓とは関わることが多かったからまだマシってところかな。
「なんで、アンタみたいな男が一番キライなの!」
「そうか、」
「ここずっと目障りなんだよ!消え失せろ!」
「ここずっと、か、再婚してからの一ヶ月の間違いじゃないか?敵意しか見せてこないで」
「アンタみたいな余所者受け入れわけないでしょうが!何勘違いしてんだ!アンタも私たちを傷つけるくせに!偉そうにしてんな獣が!」
「っ!辞めなさい魁離!」
金属がぶつかり合う音がして、俺は裏正を逆手で抜刀していた。テーブルは真っ二つに斬り裂かれ、霙が使っていたナイフが壁とテレビに突き刺さっている。
「……はぁ、またか。しばらく帰らん、何かあれば言え」
そのまま俺は家を出る。あんな奴らとやっていられるか、まだ、一人のほうが落ち着く。
Side時雨
「はぁ〜全く言い過ぎよ、にしてもある程度防いだとは言えよく避けれたわね、貴方。まぁ私も長居するつもりはないからね……あれでも、一番家族に敏感なのよ魁離は」
殺気が出たからとっさにナイフを出したが全部弾かれてしまった。まぁ魁離が人殺しにならなかっただけマシかな。今度雄英に黎明街の説明してもらったほうがいいかしらね。いやでも、雄英でやっても意味ないか、だって今回魁離を怒らせたのは中学生みたいだし。
「やっぱり、一番気にしてるわよね、というか、アイツはどこで寝るつもりよ、明日学校何だけど……」
「霙さん、」
「何かしら?雨漓さん、」
「兎雪のことはごめんなさい、一番ひどかったから」
「それでも魁離を重ねないでちょうだい。家族を失うことは、一番のトラウマだから」
「伝えておく、」
「よろしくね、それと明日の分の魁離の荷物どこ?持ってくから」
「分かった」