Side魁離
「さっさと逃げるわよ、千本桜」
「いや、花の解釈広すぎるだろ」
「桜も花よ」
襲撃してきたヴィランから逃げるために、USJの外へと続く桜並木を作ったのは、去年のL組で唯一のヒーロー科、もちろん留年している。
そして械機の彼女でもある。アイツ百合話否定した人間なのにな。いや、中身は男だから問題ないのか。
「いちおう、私は仮免許を持っているからね、五ヶ月前(貰って一週間)に剥奪されたけど」
「馬鹿だろ、取り敢えずあれどうする、空間接続ヴィラン」
「美空がいないから普通に対処できないよ?」
「何で逃げんだよ!」
「黙れ爆豪、ヴィランが、雄英に、侵入してんだぞ、それに情報も割れている、ただのチンピラじゃねぇ、引き時を間違えれば死ぬぞ。それに、42人全員を守りきれる気もしないから、戦うことにはなるだろうな、少なくとも一人は、」
ABL合同授業、故に逃がす人間も多い、その分教師も多いけどな、
「空間接続に対処できない、いいことを聞きました。初めまして、我々は敵連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして。本来ならばここにオールマイトがいらっしゃる筈、ですが、何か変更があったのでしょうか?まぁ……それとは関係無く……私の役目は「スレイプニル!」
「げっ、」
両手に巨大な鎚(ミヨルニル)を持ったヴァイキングのような姿をしている人形は、巨体で4本の足を持つ、いや、なんでそれ持ってきたんだよ、空とべるオリンピア持ってこいよ。
「なにっ?!」
「ったく、旋風大鎌刀、行け、」
「なんで一年が残った」
「なに、誰が一人でも残らなきゃいけないのなら、サポート科よりも、ヒーロー科が残るのが筋だろう」
その場に残ったのは、俺と械機だった。
「危ない危ない‥‥‥。そう‥‥生徒と言えど優秀な金の卵……」
「?」
「散らして嬲り殺す!」
「どんだけ広がるんだよ!」
足止めするつもりが、空間干渉の範囲を測り損ねた。まさか十メートルを覆うとは、さて、どうしようか。下は水、つまり水難エリアだ。現在持っている旋風大鎌刀は、身の丈を越えるサイズの大剣で、刀身に赤い旋風の装飾が見られる他、刃の部分が複数の小さな鎌、峰の部分が単体の大鎌と独特の形状で、まさしく鎌と刀が合体した武器だ。
つまり、水中では使いづらいということだ。失敗したな。
「……早いお披露目だ。六門船」
一定量の水があれば召喚できる、宝船。俺の個性だからか禍々しい見た目だし、帆に至っては肋骨にボロ布を貼っているような感じだ。まぁ足場にはなるか。
「アンタ、趣味悪いわよ!」
「……ほぉ、」
「魁離ちゃん、足場を作ってくれたのね、ありがとう」
「蛙吹もいるのね、ふ〜ん」
「魁離か、助かった」
「先生がここなのはわかるけど、蛙吹と雨漓がここにいるのは、気になるな、」
ここ、水難エリアにとばされたのは、ブラドキング、蛙吹、峰田、出久、雨漓、俺だ。
「取り敢えず、戻るか、水中のヴィランは一旦放置で、まずは、広場に一人残ってる相澤先生との合流かな、」
「まて、ヴィランの放置は」
「先生、ヴィラン討伐と生徒の命、どっちを取りますか?俺は自分の命を優先します。なにより、オールマイトが目的のヴィランとは戦いたくないね、岸に近づけるんで、動かないでください」
六門船を水難エリアというか海難エリアの出口、港形状の部分に近づける。他の奴らなら大丈夫だろ。L組に限ってだけど。