Side魁離
「ん、ああ、確か今日は入学式か……行くか」
手早く着替えて、窓から飛び降りる。一回から出ると飯を食えってうるさいからな、親父が。
「相変わらずね」
「わざわざ個々に寄る必要ないだろうが」
「暇でしたので、それに、朝食食べてないでしょ」
「まぁな、なんだ?作ってくれたのか?」
「はい、」
「助かる」
霙が持ってきた朝食を食べていると美空が走ってくる。今日も今日とて自分の主を置いていったようだ。楼夢とも合流して、電車に乗り雄英へ向かう。
「教室は?」
「A組の隣です」
「そうか、」
普通、アルファベット順にA.B.C.D…となるのだが、雄英では、L.A.B.C.D……という教室の並びになっている。そう言えばLが何科か話していなかったな。L組は総合科だ。理由はL組の人間が人間関係問題で選ばれているがゆえに、ヒーロー科やサポート科、経営科、普通科の全部受けられる。
同じクラスでもあくまで教師達がどういう人間がいるかを分かりやすくしているだけだ。普通の問題児程度で収まらない人間の集まりだ。なにせ、L組にいる人間は、中学時代に警察にお世話になった人間ばかりだからだ。
「おお、来たか」
ビール缶片手に教卓に座っているのは、一応プロヒーローの
「留年組も、そろそろ来るから待ってろ、」
「わかった」
中学時代によくお世話になったヒーローで男だ、結構話しやすい。ちなみに個性は鬼殺し、アルコール飲むことで怪力乱神になるとのことで、未成年の時には、未成年飲酒で怒られていたらしい。
「あ、そうだ。お前ら四人はそこにあるジャージから自分の探せ、どうせ相澤がアレをやるしな。留年組は、うん、ヒーロー科は一人だし回復だからまぁ、いいか」
ブチブチと独り言を呟きながら、ジャージが入った段ボール箱を投げてくるので受け取り自分のものを探す。
「鬼道、L組も…初日くらい酒は控えたらどうだ」
「全員顔は知ってるからな、それと、留年組は全員遅刻だ。ま、いつものことだからほっとけ」
「…わかった」
A組の担任、相澤消太という見た目は羅積さんよりも酷い、ボサボサの髪に髭も伸ばしたままの男が入ってくる。
「着替えてグラウンド集合」
というわけで、一人虚しく着替えを済ませると、グラウンドには既にA組とB組が集まっていた。看咲と雨漓もいる。
「あの、相澤先生」
「なんだ?飯田」
「そちらの四人は?それと、ビールを飲んでいるそちらの大人は……雄英の教師じゃないですよね?」
「鬼道、お前の個性の性質上仕方ないことだが、生徒の前は自重しろ」
「酒がなきゃ暴走するぞ、あと、ほろ酔いだからまだましだ」
「はぁ……合理性に欠。コイツは鬼道羅積、L組の担任だ。個性の性質上、酒を飲んでいないと暴れまわるので、業務ないでの飲酒が許可されている、他意はない。それで、こっちの四人だが、説明するのが難しいが、A組、B組全員に言えることだが、人間関係に問題がある奴らだ、あまり詮索してやるな」
「わ、わかりました」
眼鏡のThe委員長な奴は飯田というのか、そう言えば入試説明会でも何か言ってたな。まぁ俺たちには関係ないことだけど。
「とりあえず、今から個性把握テストを始める」
「「「「個性把握テストぉ!?」」」」
「入学式は?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事に出る時間はないよ。雄英は自由な校風が売り文句、そしてそれは先生側も然りだ」
「百鬼……いや、爆豪、中学の時のハンドボールの記録は?」
「67m」
「じゃぁ、個性使って投げてみろ、円からでなければ何してもいい」
「死ねええぇッ!!!」
FABOOOOOOM!!!
「704.3mまず、自分の最大限を知る」
「なんだこれ!すげー面白そうじゃん!」
「個性思いっきり使えるんだ!さすがヒーロー科!」
「……面白そうか。ヒーローになるための三年間、君らはそんな腹積もりで過ごすつもりでいるのかい?」
グラウンド集合と言われた時点で、嫌な予感はしていたが、当たったな。
「よし今決めた。このテストでトータル成績が最下位の者、ヒーローの見込みなしとして除籍処分とする、もちろんクラスそれぞれからだ」
「「「「は……?はああああああッ!!?」」」」
「いくら自由だってそりゃないだろう。アンタのその目は本気だ。何の落とすつもりだ?」
マジで切り捨てる人間の目だ。何人あとすつもりなのかね。
「ほう、わかるのか?さすがだな百鬼。それでも、残念だがこの程度の理不尽、まだまだスタートラインってところだ。事故に災害、犯罪。いつどこから来るかわからないあらゆる厄災に対応していくのがヒーローというもの。放課後マックで談笑したかったならお生憎様、その期待は捨ててくれ。これから三年間、雄英は君たちに数々の苦難を与えていく。
「わかった、それで、どうやってわかれるんだ?流石に四人だけでやるわけないだろう?酒飲んでる先生が担任だし」
「ああ、百鬼、暁月はA組と、時雨と水月はB組とだ」
「了解」
看咲はB組なのか、まぁいいか。グダグダ言ってもしょうがないので、ダイジェストに行くと
俺
握力、70
上体起こし、42
長座体前屈、56
反復横跳び、73
持久走、大空ナナシを使い2.47分
五十メートル走、6.7
立ち幅跳び、大空ナナシを使い無限(1位)
ボール投げ、大筒隊を使って1047.6メートル
総合7位
霙
握力、37
上体起こし、計測不能(1位)
長座体前屈、66
反復横跳び、計測不能(1位)
持久走、0.1秒(1位)
五十メートル走、0.1秒(1位)
立ち幅跳び、210
ボール投げ、38
総合1位
暁月
握力、36
上体起こし、29
長座体前屈、59
反復横跳び、56
持久走、4.53分
五十メートル走、一秒(二位)
立ち幅跳び、1043.5メートル(二位)
ボール投げ、1043.5メートル()
総合10位
水月
握力、42
上体起こし、37
長座体前屈、68
反復横跳び、62
持久走、3.54分
五十メートル走、6.4秒
立ち幅跳び、276
ボール投げ、39
総合45位
やっぱ時止めチートだろ、なんだ測定不能って。時止め中に数値が測れないから測定不能らしい。そして、持久走に関してはマジでは知ったのか?お前は。
暁月、お前経営科だろうが、なんでそんなに順位高いんだよ。
そして水月、まぁ体力テストに使えない個性だからな、まぁ基本的に個性無しで最高得点取れる数値だからまぁいいのか?
ちなみにAとBの人数はそれぞれ21人らしい。
「最下位になった、緑谷出久、物間寧人、水月楼夢、除籍……ではない」
「え?」
「は?」
「君達の本気をはかる合理的虚偽ってやつだ、と例年ならそう言っていたが、本気だったことはL組はわかっていたみたいだからな。俺は、ヒーロー科に来たからと油断してきた奴らをよく見てきた。俺の除籍宣言を嘘だと思い込み、ヒーローになる見込みが無いことはザラにあった。だが、除籍という言葉があったとは言え、俺はお前たちが見込みのある生徒だとわかった。よって除籍は無しだ」
「すまんな、お前達、毎年やっているんだ」
相澤先生の説明ご、B組の担任が補足した。
「入学式はすでに終わっているので、今日は解散だ。くれぐれも、今日の評価を落とさないように。まだスタートライン、評価がマイナスじゃなかっただけだ。それでは頑張ってくれたまえ」
そうして、入学式は無くなり、改めて霙のチートを知った回だった。