僕は視界を見渡すと濁った風景が眼にうつる。手には本らしき物を持っている。僕はどうやらISーー「セイバー」との接触による疲れによって寝てしまったようだ。僕は辺りを見回すとどうやら小さなベンチの上に寝かされているようで背中が痛かった。だが頭の方はそうでもなくむしろここちいいくらいだ。
「どうやら眼を覚ましたようね。ーー全く莫大な情報との接触による負担くらいは考えておきなさいよ。それくらい識にも普通できたはずでしょ? 」
僕が眼を擦って濁った視界を正常に戻すと眼には僕の幼馴染である「葉桜香」が眼に入った。どうやら僕に膝枕をしていたらしい。ーーまぁベンチにそのまま寝るのよりはいいのだが如何せん恥ずかしい。
「......香か。まぁここは礼をいうのが道理というものなんだろうけど少しこれは自分としては恥ずかしいんだけどな」
「そのまま寝るのよりはましでしょ。文句は言わないのが道理だとは思わないのかな? 識」
「まぁそうなんだけどね。流石に異性にこういうのをしてもらっていて外にいるというのは恥ずかしいとは思わないのか? 」
「確かにそれもあるけど私としては識にこうやっているほうがその......恥ずかしい気持ちよりもいいかなっておもうんだ。私は.......」
「僕なんかにか。ーー全く意味がわからないよ。普通は恥ずかしいという気持ちが先じゃないの? 」
「全く......この鈍感魔法使いさんが。もうとっくに代表候補二人と先生の模擬戦は終わってるんだから早く戦いのスタンバイしてね」
鈍感といわれるのは意味がわからないがとりあえずは戦いの準備でもすることにしよう。
僕が十分かけて用意して指定されたアリーナに行くとアリーナには「ラファール」を身に纏った山田先生が待ち構えていた。
「待たせてすいません。どうやら莫大な情報との接触による負担が大きかったようで」
「それじゃあ仕方ないですね。ーーでは始めましょう。今回は「魔法」及び「魔術」の使用は不可、使用していいのは初の一体型であるISーー「セイバー・ブライト」のみとさせて頂きます。第一移行は寝ている間にすんでいるらしいのでそのまま戦闘をお願いします」
「わかりました。ーー「セイバー・ブライト」起動‼ 」
IS「セイバー・ブライト」の主である「鬼狩識」の起動の合図を認識、エーテルにより肉体形成及び宝石によるバックアップ、「根源の渦」から既にアクセス済みの「英霊の座」からの「ネロ・アウグストゥス・カエサル」の情報および人格の形成、そして定着、ーー起動を確認しました。これより「ネロ・アウグストゥス・カエサル」の情報及び人格は完全に記録されます。
僕が眼を開けると自分の姿は変わっており、ライダースーツのようなウェディングドレスを着た金髪の少女の姿に変化していた。
「奏者よ眼を覚ましたのだな」
「ああ。ちょっとばかし情報の処理に負荷がかかっちゃってね。ーーじゃあ戦いに赴こうかな」
「奏者よこれは余と奏者の劇場の開幕だ。しくじるでないぞ」
「わかってるさ。さぁて僕達の劇場の開幕だ。観客はこんなにもいることだしいっちょ派手にいきますか」
僕は剣を眼の前にいる山田先生に構えた。
「それでは元日本代表候補であり教諭である山田先生VS魔法使いであり二人目の男性操縦者である鬼狩識による模擬戦をおこなってもらいます。ーーそれでは始め‼ 」
僕と山田先生は同時に駆け出す。山田先生が空に浮くと僕も浮く。
その時歓声は一気に大きくなりそのほとんどが山田先生を応援していることが理解出来る。ーー全くこっちにももう少しくらい応援がいてもいいんじゃないのかな。まぁ応援がいたことで変わることといったら本人の気力くらいなものなのだから余り関係はないのだが。まぁモチベーションが変わるだけで戦闘への気持ちは大きく変わる人もいるとは思うけどね。
「実況は私、日本代表の葉桜香と解説の織斑千冬先生です。織斑先生、今回の模擬戦はどうなると思いますか? 」
「とりあえずは鬼狩のISとの同調率によるな。いったい本来の実力をどれだけだせるかによる。「魔術」や「魔法」があれば山田先生にも勝つことは普通にできるが今回はあくまでもISどうしの模擬戦だ。もし同調率が低ければ普段通りの戦闘能力を発揮できない鬼狩が敗北するしもし同調率が高ければ山田先生が敗北するな」
「ーーつまりは識と「セイバー」との同調率次第で全て決まるということですね? 」
「あぁ今のところ同調率はーーおい束‼ 今のところ何%だ? 」
千冬のいたところからぴょんぴょん跳んでいる機械的な兎がありそこから音声が聴こえる。ーーそうあのIS開発者であり、識の幼馴染である「篠ノ之束」だ。
「うーん今のところは八%っていったところだね。動かしてから数分でこの同調率なら上々だね。流石はしーくんだ。十%にもなれば少しはしーくんの負担を減らせるようにはなるよ」
「そうか......あとの二%はどれくらいで完了するんだ? 」
「うーん......それは「セイバー」としーくんとの相性によるね。相性が悪ければ模擬戦中には終わらないしよければ多分模擬戦中には完了すると思うよ。ーーまぁしーくんのことだから大丈夫だとは思うけどね。こーくんも目安は三十分ちょいっていってたししーくんのできる時間稼ぎならそれくらいの時間は稼げると思うよ」
現在の同調率は8%。武器はこの色は白なのに名前が「原初の赤」の剣一本のみだ。冗談じゃない。相手は教師でしかもISは多種の武器を幅広く使用するラファールときた。ーーとことん相性が悪い。普段なら「創造連射出」と「玉弾き」で解決できるのだが今回は「魔術」と「魔法」の使用を禁じられているため、今回はこの剣一本のみで多種の武器を幅広く使用するラファールに対応しなくてはならない。とりあえずこの剣が大きいことをいかして弾を弾いていく。ーーこれは一夏に教えたオルコット対策の戦いの応用だ。とりあえずは同調率が低いとほぼ戦うことが不可能に近いためこのように時間を稼がなくてはならない。
そしてまたマシンガンから大量の弾が飛んでくる。かわせるものはできるだけかわしてかわせないものはこの剣で弾いて行くしか無い。だがそれでも少しずつシールドエネルギーは減っていく。ここには塵も積もれば山となるということわざがある。ーーつまりはだ。少しずつのダメージが蓄積すると大ダメージに変わりがなくなるのだ。
「奏者よ。今、同調率が9%に上がった。もう少し耐えてくれ」
「了解」
僕は山田先生の方へ駆け出していく。せまりくる弾は弾き、この剣を山田先生に当てようとするがシールドに守られてしまう。くっ......ちょっとまずいかな。僕はさがり、また山田先生に駆け出していくがシールドが構えられる。最初の一撃は入ったのだがそれからというもののダメージが入るということが無い。しいていうならシールドの耐久力を減らしたくらいだ。
「くっ......遠距離との相性が悪すぎる。瞬間加速もしたけどそれも読まれたし......どうするか」
「識さん。初めてのそのISでの戦闘に関してはよく頑張ったと思います。むしろ頑張りすぎです。いいかげん負けてください」
山田先生はライフルをこちらに構え弾を放つ。僕はそれを剣でガードし山田先生から遠のいていく。
「その......そっちが勝ってるのに涙目になるのはおかしくないかな? いってしまえばこっちのほうが涙目になりたいくらいなんだから」
僕は剣を構えまた山田先生のところへ駆け出していく。こうやって時間を稼ぐことが勝利に繋がるのなら僕は周りからどんなに悪く言われようがするだろう。またマシンガンの弾の雨が僕に降り注ぐ、くっ......またこれか......
僕は自分に飛んでくるマシンガンの弾を少しでも多く撃ち落とし、ダメージを最低限に抑え込む。ちっシールドエネルギーが40%を切ったか。.......少しまずいな......なにか他の武器は無いか模索したが結局はこの「原初の赤」のみであった。
「奏者よようやく10%に達した。武器の「原初の赤」の枠をみてもらいたい」
僕はセイバーに言われるままに「原初の赤」の枠を開く。すると「原初の赤」の下の項目にSKILLと書かれた枠が追加されている。項目には「花散る天幕」と書かれている。ーーこのままじゃあジリ貧になるんならこうゆう新しくでたものを使って行くしかない。
「「花散る天幕」」
スキル名を叫ぶと剣から突如赤い爆炎が放出される。まさに飛行機や自動車といった乗り物のエンジンのようにーー否、それ以上の威力でこの剣にブーストをかけている。ーーつまりは攻撃時のスピードアップと威力アップを促すスキルということがわかった。僕は「花散る天幕」を発動すると同時に「瞬時加速」をかける。
「おおっと鬼狩選手は剣から突如赤い爆炎を発動したぁぁぁあ。これはどうゆうことですか篠ノ之博士? 」
一応公共の場でなのか個人的な感情を出さずに香は実況する。
「あれは同調率が10%に達したからあらたな技ーースキルを剣についかされたってことだよ」
剣を構えながら僕は山田先生に突っ込んで行く。今までと違って身体が少し軽くなった。ーー恐らくは同調率が10%に達したからであろう。山田先生は突如超加速したことに戸惑っているらしく今こっちにスナイパーライフルを構える。
「ーーそれじゃあ......遅いよ! 」
僕は山田先生の懐に潜り込みスナイパーライフルごと山田先生を切り裂いた。流石にシールドエネルギー全損という訳にはいかなかったが、これでいい勝負にもちこせるであろう。そうして僕は再び剣を構えた。