~IS~飛翔風景~   作:メザシ

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第二十九話 初の終わり

「ーーーつまりは同調率が一定の量上がった場合、あらたなスキルを得るということか。ーーーなら武器がこの剣一本だけというのも頷ける。なんせ容量をスキルが大半を占めてしまうからな。まぁとりあえずスキルが一個手に入ったし、ーーーなにより前よりも身体が軽い。さぁて行くかな」

 

僕は剣を構え山田先生に駆け出す。エネルギーを確認するとどうやら残りは六割弱、ーーーに対して山田先生は七割弱といったところだ。ーーーこれならまだ勝利の確率は減っていない。むしろスキルが手に入ったことで増えたくらいだ。

 

山田先生はこのスキルを瞬時に理解していたのか僕が駆け出す前に防御態勢に入っている。巨大なシールドが僕と山田先生の間を阻む。ーーーくっ......そう簡単にやらせてはくれないか。僕は後退し、山田先生との距離を長くする。下がれば山田先生は瞬時にスナイパーライフルの代わりにマシンガンを構える。そうラファールの特徴である武器の保有数の数を最大限に活かしているのだ。僕はスキルが豊富になるーーー予定であるが武器は実質この「原初の赤」のみーーーに対して山田先生は武器の保有数が多い。まさに正反対のIS同士の戦闘なのだ。確かに山田先生は強い。ーーー何故ならここIS学園の教師というのは千冬を初めとする代表引退後にきた人や代表になれなかったもののISをコントロールするという一面からしたら超一流の人などで構成されている中に山田先生は存在するのだから。手なんて抜かない。それは一夏に言ったように「慢心」を呼び、敗北へと導かれてしまうからである。僕は敗北なんてしたくない。ーーーむしろ誰が敗北したいとなんて思うのであろう。自分の努力を無駄にして敗北という結果を得るのは大変もったいない。相手が「ゼル爺」や「青姉」、それか「英霊」などの圧倒的なーーー例えるならこっちはエアガンで相手は本物の拳銃を使ってくるようなものになら敗北するのも仕方ないと思う。ーーーだが僕は実力がほぼ同じな相手には負けたくない。ーーー否、負けられないのだ。

 

僕はシールドを破壊もしくはすり抜け山田先生に有効打を与える方法を模索する。「根源の渦」には頼らずに。シールドの大きさは丁度山田先生の身体の二分の一くらいの大きさだ。後ろからの攻撃は追尾機能によって阻まれることが授業で分かっている。ーーー無論下からの攻撃も上からの攻撃も左右からの攻撃もだ。

そしてラファールの特徴である武器の保有数の数に注意しなくてはならない。とりあえず遠くからの射撃に向いているスナイパーライフルを潰したことは大きいがマシンガンを初めとする数々の武器がまだ山田先生には残っているのだ。今、問題になっているシールドもその大量の武器の中の一つにしか過ぎないのだ。近接用の武器を使わないのはこの剣、ーーー「原初の赤」に叩き切られることがわかっているからであろう。この剣のスキルである「花散る天幕」はどうやらスピード増量と攻撃力の増量を主とするもののようだ。つまりは爆発的な瞬間的エネルギーを利用して、それをエンジンとして加速しその加速した剣をエンジンをつけたまま振るうようなものだろう。とにかく相性が悪い。確かに武器を叩き折れるのは大きいがそれをいちいちやっていたらエネルギーもすぐに無くなるし、攻撃時に弾を何発も喰らうからよけいエネルギーの消費型多くなる。効率よくスキルを使うとするとほかの方法を模索する他は無い。幸いなのはラファールは量産機のためワンオフーーー「単一能力」が無いことだろう。一夏の使う「白式」にあるような「一撃必殺」の「零落白夜」、オルコットの「ブルーティアーズ」の名前を貰った「遠隔操作」の「ブルーティアーズ」、鳳の使う「甲龍」の「見えない弾丸」の「龍砲」などといった特殊な能力だ。ーーーだが量産機である「打鉄」や「ラファール」にはそれがないのでそういったものに注意する必要がないからだ。勝つためのプロセスはまずは武器の保有数の攻略、そしてシールドの攻略なのだ。シールドはスキルである「花散る天幕」で何度か叩けば攻略できる。だがそれをなかなかさせてくれないのが山田先生だ。これは代表候補生と戦うのとは訳が違う。正直にいえば代表とやりあうのと大差ないのかもしれない。魔術師同士との戦闘は背後からの攻撃などには結界ぐらいしか気づくことは出来ないがISはハイパーセンサーと呼ばれる機能によりそれが簡単に感知することができてしまうからだ。

 

山田先生はオルコットと違って「慢心」が無いため一夏に教えた戦闘方法を活かせない。普段は言ってしまうと悪いがドジの多い山田先生だがこんな戦闘などではそういったものがない。狙いも正確でこっちの動きに合わせられるようになってからは少しずつだが被弾する量が多くなってきてしまった。ーーーこのままでは負けてしまう。とにかく勝つことを模索するために戦闘しなくてはならない。

 

「はぁぁぁあ‼ 」

 

識は剣を構え山田先生に突っ込む。勝つ方程式は既に出来上がっている。シールドエネルギーは残りは三割、相手は四割といったところだ。四割なら削りきれる。山田先生はシールドを構えながらもマシンガンでこちらを撃ってくる。被弾するのは仕方が無い。これで勝てるのならこれくらいのダメージはくれてやると思っているのだろう。だんだんと識のシールドエネルギーはなくなっていきのこりは僅か。ーーーだがそれと同時に山田先生にたどり着いた。

 

「スキル起動‼ 天幕よ落ちよ‼ 「花散る天幕」‼ 」

 

識は剣を上に構え剣から発せられる爆炎のエネルギーをエンジンとし剣を素早く振るう。山田先生はそれをシールドで防ぐものの何度も識の強烈な攻撃を受けていたシールドは木っ端微塵になってしまった。そのまま剣は動きを止めず山田先生に向かう。山田先生はスキルである「花散る天幕」をもろにくらい地面に叩きつけられる。シールドエネルギーはまだ僅かに残っているが落ちた山田先生を識が逃すことなく落ちた後に剣を刺し、シールドエネルギーは0になった。WINNER SHIKIと記されている文字を見て「ーーー勝ったのか......」と識は呟き空を見上げた。空は雲が一点も存在せず快晴だ。空は青く......太陽は識と山田先生を照りつけている。そうして識の専用機での初の戦闘は幕を閉じた。

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