「凄い才能だな……この世界の人で才能ある人物の方が魔法使いに覚醒しやすいのか? それともたまたまか……八雲さん、君は魔法使いの才能が人よりもあるようだ」
確かに俺が初めてスマホのアプリを起動した時には衝撃で倒れ込んでしまったし……。
それに、俺は父さんの育ててくれたキノコを食べ続けて下地を作ったらしいのに、怜はスマホアプリを一発で起動させていた。
これはもしかして俺よりも才能があるパターン何じゃないか?
「多分今の八雲さんならこれが見えているんじゃないかな」
父さんが魔力を指先から煙のように出して、◯を作る。
魔法の才能に目覚めていなかったら見えないが、怜ははっきりと丸が見えますと言い切った。
「うん、素晴らしい」
「大翔君……魔法が使えるようになるとどんなことができるようになるの?」
「うーん、火を灯したり、身体強化したり、睡眠の質を上げたり、記憶力を良くしたり」
「もしかして大翔君の成績が良くなったのって関係ある?」
「多少は、睡眠の質を良くして、朝一に予習復習するようになったら成績が上がった。ただ次のテストは成績凄く落ちるだろうな。入院していたから勉強し直さないといけないし」
「入院していた間の勉強は私が教えるよ。その代わりに私に魔法を教えて」
「怜の意思も聞かずに魔法使いの才能に目覚めさせちゃったが、よかったのか?」
「そこは別に気にしてないよ! 魔法使いに成れるって男女問わず凄く憧れることだし、勉強の糧に成れるならやる価値はあるからね!」
「そう言ってもらえると助かるよ」
そんな感じで怜は魔法使いの一歩を踏み出した訳であるが、魔法使いの訓練を俺が彼女に教えなければならない。
正直水を生み出したり、火を灯したりなんかの物質を生み出す魔法を父さんは早めに教えたがっていたが、日本の学生ってことを考えると、物質を生み出すより内面の強化。
身体強化を重点的に鍛えた方が合っている気がする。
俺は自転車漕いでモーター動かして体に電流を流して魔力の流れを掴んでから身体強化の魔法に繋げたが、自転車漕いでるのは体を鍛える目的の方が大きいし、順番を組み替えてもなんとかなるんじゃないかと俺は思う。
「父さん、モバイルバッテリーを改造して、電流を腕に流せるようにならない?」
「できるぞ……なるほど、そういうことか」
俺の意図に気づいてくれたらしい。
怜は今魔法に関することは認識阻害がかかっているから、不可解な行動をしても魔法の才能に目覚めてない人からは気づかれない。
なので、授業中とかに利き手の反対の腕に電流を流して、魔力の流れを掴むトレーニングをしていて気が付かれないだろうし、このやり方が上手くいけば、何かをやりながらでも身体強化の魔法を使えるトレーニングをすることができるようになる。
学生だと勉強しながら魔法の訓練ができるというのは時間効率的にも良いから。
モバイルバッテリなら電流の大きさも抑える事ができるからね。
父さんは席を外すとちゃちゃっと俺が要望するモバイルバッテリ型の魔法使い養成バンドを作り上げた。
こういうのを短時間で作れる父さんの開発力も凄いな。
「普段はコンセントに入れて充電しながらでもバッテリーが出力を抑えてくれるから、感電して怪我する恐れは無くなる。バッテリーも夜に充電しておけば、1日持つ」
身体強化の魔法が使えるようになれば、電流トレーニングの必要性は低下するけど、そしたら本来のモバイルバッテリーとして使用すれば良い。
俺が身体強化に目覚めたのがだいたい4月から初めて6月中旬まで掛かったから2ヶ月ちょっと掛かる。
そこから睡眠の質を上げる、深い眠りに就く魔法を覚えるのに更に1週間ちょっと……今から始めたら冬休みくらいにようやく身体強化の魔法を覚えることになるだろう。
「便利な魔法が3ヶ月で覚えられるんだったらやり得だね!」
「魔法使いにした責任もあるし、怜は俺の彼女だからしっかり教えるから……頑張ろうな!」
「うん!」
こうして怜は魔法使いとしての一歩を踏み出すことになるのだった。
手を骨折して入院していた期間に体育祭も終わり、怜に魔法について教えたり、逆に俺が入院していた間の勉強について放課後の図書室で教えてもらったりしていたら、あっという間に中間テストの時期に。
流石に20日間の勉強の遅れを取り戻すのがやっとで、俺のテストの点数は370点。
前回よりも点数を大幅に落としてしまったが、勉強を一緒にしていたはずの怜が385点とあんまり変わらなくて、若干怜は落ち込んでいた。
11月が始まる頃、魔法の出力が一段上がった気がする。
身体強化の魔法とマナで鎧を作る魔法ばっかり練習していたが、身体強化の魔法の方で色々進展が起こっていた。
例えば、和人が速読の魔法を開発して、本を読むときに、見開き1ページを写真記憶をして、それを高速処理する魔法を作り出していた。
恵はパソコンのエクセルを母さんに教えてもらって、そのエクセルの機能を頭の中で処理できる魔法を開発。
やりたい計算方式と数字をぶち込めば、一括処理して一瞬で途中式を含めて答えを出してくれる優れもの。
欠点は公式を知らないと処理することができないっていうのはあるけど、公式と長文問題に惑わされなければ、必要な数字を引っ張ってきて一瞬で処理することができる魔法はとにかく便利。
2人は勉強が苦手だから少しでも楽をしたいと開発したらしいが、俺にもやり方を教えてもらって、本屋でパラパラと参考書を巡って、写真記憶で問題を全て覚えると、答えのページも覚えて、数学の問題だったら公式を超高速で処理することができるようになったし、国語の漢字や社会……特に歴史とかは記憶問題なので、教科書や参考書を完全記憶できれば一気に難易度が下がる。
2人に負けずに、俺は英語の翻訳魔法を開発して、単語や文章を見た瞬間に日本語に翻訳したり、日本語で思った事を英語で自動で発音できる魔法を開発した。
勿論正確な発音だったり、英文法の仕組みとかを覚える必要はあるけど、電子辞書に登録されている英単語を片っ端から記憶して、英語で書かれた小説を何冊も読んで慣れてしまえば、頭の中に自分だけの英語辞書がある状態にすることができた。
お陰で、英語の先生の推薦で、英語のスピーチコンテストに推薦で出場することができ、入賞を勝ち取ることもできてた。
そんな感じで勉強の効率が上がる魔法をじゃんじゃか俺達は開発していくのだった。