あっという間に3年生に。
魔力量も増えてきたので、父さんに教わりながら魔法の道具を作れるように練習を始めていた。
例えばだけど、便利なのはスマホのアプリ開発。
魔法使いと言えば猫ということで、猫型の電子精霊達が補助してくれて、独自のアプリ開発を俺達は始めた。
最初の頃は電卓アプリだったり、簡単なブロック崩しゲームを作ってみたりだったが、電子音楽作成アプリだったり、wikiよりも勉強方面に特化した電子百科事典を編纂したり……。
魔法の効力を上げたり、スマホアプリを起動しているだけで魔力の燃費が良くなったり、演算能力を補助してくれるアプリなんかの魔法に直接関わるアプリも作っていった。
魔法の道具や武器を作るよりも、現代社会だとスマホのアプリ作ってしまった方が武器になるかも?
魔法に関連するアプリ開発、魔力量を上げるための身体の鍛錬、魔法のイメージを固めるための放出する魔法の鍛錬……これらをやりながら、高校で習う勉強も覚えられるだけ覚える日常を送っていると、進路選択の話になってくる。
「大翔君、進路ってどうする」
「うーん、迷ってる」
地元にある進学校か、高等専門学校か。
「怜は決めたのか?」
「私もまだ迷ってる。ただ高専で行われている高度人材養育プログラムっていうのには惹かれるよね」
「卒業できれば短大卒と同等に扱われるあれか。国立や提携している大学への進学も容易になるやつ」
「そうそう、それに卒業して起業する場合は補助金でるから……大翔君達がやろうとしている魔法使いを育成する組織の表向きの会社を作るのにはちょうど良いんじゃないかな?」
「なるほどな」
そんな話をしながら、家に帰り、進路を迷っていることを父さんに相談すると、茨城にある高専で面白い取り組みが始まっていることが伝えられた。
「茨城の高専は全寮制でより高度な人材育成を重きを置いた教育をしている。高専で5年間学んできても良いんじゃないか?」
「ちなみにどんな教育が?」
「高専の敷地内が1つの町になっていて、そこで独自の経済が行われている。学生側は仕送りの他に、アルバイトで稼ぐか、成績優秀者には報奨としてその町で使える電気通貨が配られるらしい」
「なんか小説で読んだことがあるような学校だね」
「資本主義と能力主義を濃縮したような学園らしい。実際卒業できた人の社会での活躍は目を見張るものがあるのだとか」
「面白いじゃん……というか高専って基本地元の県のに行くのが決まりだよね? 茨城の行っていいの?」
「あそこは特殊で全寮制だから全国から学生を募っているから」
なんというか……面白そうな学校だ。
社会勉強にもなるってことだし、5年制の学校だから、卒業すれば短大卒と同じに成れる。
それに加えて国主導で社会実験しているっていうのがね。
俺は怜を誘って、茨城にある高専に進学しないかって言うのだった。
なんか和人が足の不自由な下級生を助けたら懐かれていた。
「兄さん」
「どうした?」
「泉さんに魔法を教えたいんだけどダメかな」
「俺じゃなくて父さんに言えよ。俺は別に反対はしないが……」
話を聞くと船越泉(ふなこし いずみ)という1年生の女子らしく、普段杖を付いて歩いているのだとか。
「自称超絶美少女って言ってるんだけど」
「うわ、中二病全開のやつか?」
「実際に美少女なんだよな……黒髪病弱まな板の」
「それまた属性過多だな……」
魔法が使えれば先天性の疾患による歩行障害も緩和できるんじゃないかって考えたらしい。
あと魔法の才能があるかどうかを計測するアプリを作っていたので、彼女こと船越さんに試したら、魔法の才能があるのがわかっていたのも大きい。
「彼氏、彼女については置いておくけど、どうかな……」
「だから俺は別に気にしないけど、魔法を教えるんなら彼女として付き合うのが誠実なんじゃないか? 高校に進学したら1年間は会う時間も減るわけだし」
「そ、そうだよな……」
和人は父さんに相談した結果、歩行障害を持っているから最初からワープの魔法で連れてくることになるのだった。
結論から言うと、和人と船越さんは付き合い始めることに。
父さんが彼女に認識阻害の魔法をかけて、魔法の練習をさせられるようにし、同好会に加入……という流れに。
和人は生徒会の仕事もあるので、同好会に顔を出せる時間は少ないけど、その間は俺と怜が面倒を見た。
「凄いな。滅茶苦茶頭いいじゃん」
「ふふん、私天才なので! でもお義兄さんにお義姉さんの学力には遠く及びませんわ」
いや、中1の夏休み前で、1年の勉強をほぼ頭に入れて、2年、3年の範囲の話でもついてこれるって普通に天才だろう。
足が不自由な分、勉強では負けないと努力したのもあるのかもしれないが。
和人の彼女だけど、俺と怜は新しくできた妹分を可愛がり、魔法だけじゃなくて勉強を教えたり、彼女も小説が好きなので、小説を貸したりした。
そんなこんなで高校の入試が近づいてくるのであった。