「受験終わった〜」
「大兄お疲れ」
俺が家に帰ると、恵が出迎えてくれた。
「和人は?」
「船越さんとデート」
父さんは和人と船越さんが付き合い始める時に、俺と怜と同じように、認識阻害の魔法をかけて、和人が中心になって魔法を教えていたが、彼女自身の努力もあり、歩行障害についても身体強化と自己治癒によって回復の兆しが見えていた。
和人は休みの日になると、よく船越さんの家に行って魔法の練習をするのが日課になっていて、今日もその一環だろう。
「恵は彼氏とか作らないのか?」
「彼氏ねぇ……同学年の男子は子供っぽくて恋愛対象にはならないし、中学では作らないかな〜……はぁ……いい人居ないかな」
「でも学校ではモテるんじゃないのか?」
兄から見ても、恵は美人って感じだし胸も大きいから人気あると思うが。
「確かに人気はあるけど、エッチな目で見てるだけでしょ。内面まで見てくれる人じゃないと私は嫌よ」
恵なりに何か基準があるらしい。
まぁ、恵なら変な彼氏を紹介することはないだろう。
一緒に生徒会をしている子とか良いと思ったんだけどな。
「大兄、受験の方はどうだったのよ」
「筆記は満点だろう。面接でも基本無難に処理したから、大幅減点もないだろうから受かるだろ。落ちていたら滑り止めの高校に行くだけだし」
「大兄が行く高専だと3年と5年で選べるんだっけ? 5年いる気?」
「どうだろ。5年いても糧にならないってなったら3年で辞めるし、でも5年いたら短大卒と同じになるから5年居るんじゃないかな。昔の監獄みたいな寮ってわけじゃなさそうだし」
「そうなんだ……来年私もその学校にしようかな〜。全国から凄い人集まるんでしょ?」
金持ちそうな人物だったり、ガタイが良くて運動できそうな奴とか色々なタイプが会場にいたし。
「まぁ、地元には居ないタイプの学生さんは多かったけどな」
「そっか……でも大兄は目立ったんじゃない? 身長185センチあるし、制服(中学の)とか着ていても分かるくらい筋肉とか凄いし」
「そうか?」
中学入学時には145センチだったのが、今の俺は185センチ超えと、40センチも伸びて、今もなお伸び続けている。
最初の頃は背の順だと最前列だったのに、今では最後尾に並ぶようになった。
体重は80キロで、体脂肪率は11%……ボディービルダーみたいなガチムチマッチョではないけど、見る人が見れば、スポーツやってるんだろうなって思われる様な体つきをしている。
まだ身長伸びているし、体が大きいほうが魔力を蓄えられる量も多くなるから、195センチくらいは欲しい。
多分今のまま身体の成長力を上げる魔法を使って夜更かししなかったらそれくらいまではいきそうだけど。
「でも怜姉さんも成長力を上げる魔法とか、睡眠の質を上げる魔法を使ったら、色々大きく育ったよね」
「確かに」
怜も色々大きく育った。
身長は現時点で176センチ、たわわなおっぱい(魔力タンク)もあって、茶髪の髪も去年から伸ばし始めて、肩より少し伸びている程度の長さで、ポニーテールにしている。
「それを言ったら恵も大きくなったよな。身長今どれぐらいなんだ?」
「170センチ〜」
俺は魔法で軽く測ってみる。
そしたら172センチって出た。
「今172センチあるぞ」
「あ、じゃあ前に測ったよりも伸びてるね。180センチは欲しいな~モデルさんとかそれぐらいあるじゃん」
「何だ恵はモデルになりたいのか?」
「和人が前に言っていたよ〜、和人と大兄で異世界からの侵攻に対抗する組織……民間防衛隊みたいなの作るんでしょ? その時に広報みたいな人材も必要でしょ〜、芸能界とコネクション欲しくない?」
「それはそう」
そんな会話をした後に、恵から受けたテスト記憶しているんでしょって言われ、転写で出力してよって伝えられた。
「いいぞ」
適当なコピー用紙を俺は手に持つと、今日受けたテスト内容を紙のサイズに合わせて転写する。
「やっぱり難易度高いね。いやまあ……解けなくはない難易度だけど、時間がかかるように設計されていたりするね。数学とか中学で教わる公式で解くとめっちゃ時間がかかるじゃん」
「普通の人は捨てる問題とそうでない問題を割り切る必要があるがな」
数学で意地悪だなぁって思った問題は円周率の小数点未満10桁目の数字を答えよって問題もあった。
円周率は円の円周の長さ/円の直径でラマヌジャンの円周率公式を使うことで求めることができるが、普通の中学生は3.14までしか覚えてないので、数学で数少ない記憶問題として出題されていた。
しかも未満なので、間違える人は少ないが、焦っていれば、3.14の3の小数点未満じゃない整数から数え始めてしまう引っ掛けもあるので、結構出題者は悪質だなって思ったり。
「でも中学の教科書や教材を完璧に理解していれば8割は取れる難易度?」
「残り2割は応用だったり知識問題だったりするがな。過去問も例年開示されないから過去問から難易度を測るってことも難しいし」
「ふーん」
恵も解き始めて、リスニングや聞き取り問題以外は10分で全教科の解答を出力し終えていた。
「今の恵なら簡単に解けるか」
「魔法があるからね。小学校の時はどちらかと言うと落ちこぼれ気味だったけと、一気に捲ったからね」
和人と恵は魔法による勉強効率が上がった恩恵を大きく受けていた。
小学校の時は80点未満のテストで帰ってくることも多かったのに、中学入ってから、2人揃って学年同率1位を続けている。
俺と怜も満点叩き出してるから人のこと言えないけど……。
「魔法の練習はちゃんと続けてよ。私と和人が高専行く時に魔法の腕が鈍っていたら馬鹿にするからね」
「というか、俺テレポートの魔法で、家に定期的に帰ることできるし……」
「それもそっか」
そんなことを恵と話し、恵から怜とホテルで2泊したわけだけど、進展あったのって下世話なことを言われたが、入試前や後にエッチな展開があるわけないだろってデコピンしておいた。
そんなこんなで俺の受験は終わるのだった。