合否発表というのは、恐らく受かっているだろうと分かっていても緊張する。
俺と怜は受験票を握りしめて、ネットに掲載される受験番号を更新と同時に確認する。
まぁ高校受験の醍醐味だからやっているだけで、受験番号照らし合わせをしなくても、合否通知があとで手紙で届くのだが、それよりも早く合否が知れるので、俺達は受験番号確認をするのだが。
「15429番……」
「15952番……」
15000番から眺めていくが、流石倍率50倍。
1番の次が75番とか言うのが普通に起こってる。
案外表示される数字は少ないが……。
「あ、あった」
「私も見つけた!」
とりあえず俺と怜の2人の番号は見つけることができた。
「これで高専でも私達一緒だね!」
「ああ、高専……楽しみだな」
俺達が高専で暴れることが確定した瞬間だった。
桜の花びらが散り始める4月上旬。
高専入学前に俺と怜は入寮しなければならない。
寮に送れるのは段ボール2箱までと決められていて、それ以上は基本持ち込むことができない。
というわけで、俺は事前に着替えや電子書籍の入ったタブレットを郵送している。
「じゃあ行ってきます」
「いつでも戻ってきて良いからな」
「うん、まぁ気が向いたら定期的に帰ってくるよ」
俺はそう言ってテレポートの魔法で怜を迎えに行き、そのまま高専の近くにテレポート。
そのまま新入生が集まる場所に移動して、係の人物からの指示を待つ。
名簿を確認すると、寮の棟についてや部屋番号が書かれていて、俺は男子寮の1号棟25番の部屋。
怜は女子寮の2号棟の10番の部屋となっていた。
場所を確認し、係の誘導に従って移動し、俺と怜はそれぞれ男子寮のエリアと女子寮のエリアに分かれ、寮に到着すると、部屋の前に森久保と名字のネームプレートが差し込まれていた。
部屋番号は25番。
鍵はキーカードになっていて、黒いタッチする部分に触れると開けることができるようになっていた。
係の人によると、今はキーカードで開け閉めするが、後日配られる学生証にもなるスマホに自室の開閉機能があるので、それが配られるまではキーカードを使うように……とのこと。
スマホが配られたらスペアキー代わりに使って……とのことであった。
部屋の中は1LDKの1人部屋。
暮らしていくには十分な広さがあるし、ベッドもふかふか。
キッチンには一通り調理用具が揃っていて、自炊もできそうだ。
風呂とトイレが別々というのもありがたい。
「金かけてるなぁ……」
そう思わずにはいられない。
家電は冷蔵庫、ドラム式の洗濯機、炊飯器、エアコンが2台ある感じで、テレビとかは無かった。
ただテレビを取り付けるアンテナ端子がコンセントの横にあるので、見ることはできるだろう。
ピロロと電話が鳴り、出てみると怜だった。
「怜、そっちの部屋はどんな感じ?」
『1LDKの角部屋。あと女子寮は玄関に守衛さんがいて、男性が入れないようになってるね』
「なるほど……まぁ集まるとしたら俺の部屋でいいもんな」
『彼氏の部屋で休日くつろぐっていうのは良いね!』
漫画や小説でもよく出てくる表現だしって怜は言う。
「部屋の整理に人手は要りますか? お嬢さん」
『いえ、大丈夫ですわ、旦那様……なーんてね! 私の方は大丈夫、明日入学前の制服受給とかあるし、明後日には入学だからね! 同じクラスだと良いけど……』
「俺も同じクラスなことを願っているよ。じゃあ一旦切るね」
『はいはーい』
俺は通話を切って、スマホをベッドの上に置く。
すると、スマホ画面が光り、2等身にデフォルメされた俺っぽいキャラクターが映し出された。
『相変わらずご主人と奥様は仲がよろしいようで』
「チビヒロか」
チビヒロとは俺が育ててきた電子精霊の1体で、俺みたいな姿をしている。
一種の魔法生命体で、魔法使いに欠かせない使い魔みたいな存在だ。
『セキュリティは他の場所よりガッチガチですね。私がいるので大丈夫ですが、通話や通信記録は監視されているので気をつけてください』
「了解。まぁ学校の内情をネットに晒すとかするつもりは無いし、通話は念話でも可能だからな。何なら魔法で筆談でも良いし」
『私が付いているので、通話されても盗聴されないようにロックできますから安心してください! それに学校内のセキュリティに侵入できましたので、何か欲しい情報とかありますか?』
「じゃあ全部の学生寮の部屋の広さって一緒なのか?」
『少々お待ちを……こちらですね』
部屋の割り振りについてのデータが送られてきた。
どうやら部屋にも更に上のグレードがあるらしく、2LDKや一番広い部屋だと3LDKに風呂がジャグジーになっていたりする特殊部屋があったり。
成績優秀者、もしくは校内で使える電子マネー……デジタルポイント……Dポイントを支払うことで住むことができるっぽい。
本当に一種の独自経済で動いているっぽいな。
チビヒロに色々データを抜き取ってもらったが、仕送りによるDポイントの換金についてというのが書かれていた。
仕送り金額の上限は毎月10万円。
それは直ちにDポイントとして対象の生徒に支給される。
「ふーん」
このDポイントがどんなことに使えるかまだわかってないけど、実家の経済力でもDポイントの持ち量が変わってくるのは資本主義らしいな。
「とりあえず、面白い学校ってことはわかってきたな」
俺はチビヒロに他にも色々データ引っ張ってくるように指示を出し、俺自身は段ボールに仕舞っていた衣服を部屋のクローゼットに掛けたり、収納したりするのだった。
翌日に制服や学生鞄、教材の配布が行われて、クラス分けも発表される。
俺は1-C。
C組ということだろう。
1学年1000人で1クラスの人数はAからYまでの25クラス。
ちょうど1クラス40人に最初はなるように調整されていた。
「怜はクラスどうだった?」
「私もC組……成績順だったら私達A組だよね?」
「あぁ、それだったら情報引っ張ってきた感じA組とB組は親の寄付金が凄かったり財界や芸能界、スポーツ選手とかの人物達だな」
「なるほどねー」
成績順でも均等に分ける感じだったら俺と怜は別々のクラスになっていたかもしれないが、学力順に纏めたのか、それともクラス単位ではあまり意味がないのか同じクラスだった。
こうして俺達の高専生活が始まるのだった。