早朝……目が冷めて昨日学校側から配られたら弁当を電子レンジで温める。
「うーん、コンビニ弁当と同等。お弁当としてはそこそこ美味しいけど、怜や母さんの作る料理と比べると……物足りないなぁ」
母さんは母の味として、怜は魔法を使っているけど純粋に料理が上手。
手作りってことを考慮しても怜に胃袋掴まれている俺はもうね……。
真新しい制服に着替え、革靴を軽く魔法で磨き上げる。
「今度ワックスとかも購入したほうが良いなぁ」
そんなことを考えながら、学校指定の学生証にもなるスマホを手に持つ。
『ご主人、自分も付いていきます!』
チビヒロは今日も元気そうである。
さてと、高校生活を始めますか。
1年棟にある教室に到着し、1年C組のプレートを確認してから中に入る。
まだ集合時間の1時間半前ということで、俺が最初かと思ったが、そこそこの人数が既に教室に集まっていた。
「大翔君」
「お、怜か」
制服姿の怜が声をかけてきた。
ここの高専の制服のデザインも結構良くて、制服人気で選んでいる人もいるくらいである。
髪型や髪色とかの校則も無いので、結構色々な髪色の子がいる。
まぁ基本黒か茶か焦茶かブラウンが多いが、金髪もちらほら。
「皆距離感測ってる感じかね〜」
「そんな感じだな」
俺と怜は彼氏彼女だし、同じ中学出身ということもあり距離感とかは無いけど、初対面の者同士って言うときは距離感を掴むところから始めるのが普通である。
それに俺と怜の目的は将来起業する時や魔法使いになり得る人材の確保。
だから交友関係は広げていきたいんだよな。
中学では魔法の訓練に重点を置いていたけど、高校では新しい出会いをね。
「こういう時は話しかけて欲しそうな奴に声を掛けてみるのが王道だよな。というわけで……気配が希薄なあなたにちょっと声をかけてみたり」
「え、ふぇ!」
俺は教室の端の席で、ぼんやり周りのことを見てため息をついていた女子に声をかけてみたり。
私の名前は影浦李(かげうら すもも)……幼い時から私は影が薄かった。
それこそ両親にも目の前で声をかけないと認識されないくらい私の影は薄い。
学校でも点呼で大声で手を挙げないと先生が欠席にされそうになったこともしばしば。
幸いにも、私自身の影が薄いだけで、テストとか記述するのはちゃんと皆に認識されるから、テストの点数は良かったから、ここの高専に受かることが出来たけど……。
(高専に行ったら何か変わるかもしれない)
長く伸びていた髪を短くしたり、顔がわかりやすい様に前髪もヘアピンで留めて、目がちゃんと見えるように工夫して……。
そんな感じで私は1年C組の教室で自席に座っていた。
皆距離感を測っていて、話しかけようとしている子や私みたいに話しかけてくれるのを待っていたりしていると、背の高い男女が私の近くで喋っていた。
聞き耳を立てていると、どうやら知り合いらしい。
全国から集まる学校だから知り合いが同じクラスになる確率ってだいぶ低いと思うけど……。
私はそんなことを考えていると、男子の方が私に近づいてきた。
「声をかけてみたり」
「ふぇ!」
変な声が出てしまった。
こういう時って私は必ず無視というか気が付かれることが無かったから……。
「俺の前は森久保大翔。こっちが八雲怜。君の名前は?」
「か、影浦李です……」
「影浦さんね。よろしく」
「あ、あの……私のことが見えるのですか」
思わず私は質問してしまった。
だって……今まで影が薄くて苦労してきたし……。
「影が薄いのは感じているけど、別に気が付かないことはないぞ」
「そうだね。影浦さんのことを気が付かないってことはないかな」
私がイメチェンした効果があったのかな?
でもイメチェンしても家族には最後まで気づかれない感じだったし……高専に来てからも、案内してくれる人は私の存在に気づくの遅れていたし……。
もしかして2人が凄いのでは?
この2人なら友達になれそう。
でも2人共にモデルやアイドルみたいでかっこいいし……私なんかが絡んだら迷惑になるんじゃ……。
いや、勇気を出すんだ李!
それじゃあいつまで経っても進歩しないぞ!
「あ、あの! もし良かったら友達になってくれませんか! 学校のこととかで共有できることがあるかもしれないので!」
私は勇気を出して2人に友達になりませんかって声をかけた。
「勿論だよ! 同じクラスだし仲良くしよう」
「私もよろしくね影浦さん」
「う、うん!」
良かった〜友達になってくれた〜!
ボッチ回避!
そんな感じで俺と怜はクラスメイトの人達に挨拶をしていき自己紹介をしていく。
皆距離を測りながらも、声を掛けてくれてありがたく思ったらしい。
(勉強できる奴が多い代わりにスポーツができる奴が少ない感じか? うちのクラスは)
そんな感じのことを考えながらも、時間が来たので席に座る。
さて、初日が始まる。