「大翔君、一緒に帰ろうか」
「そうだな。食材とかも買わないといけないし……荷物持ちは任せろ」
「うん! ありがとう!」
クラスが解散となった後に俺と怜は2人で食材の買い出しにスーパーに出かけた。
ただその前に学食の値段が気になったので、学食についても確認する。
「学校内にある食堂は1コインで食べられるのが多いね」
「一応ポイントがない人向けの救済メニューもあるのか」
朝食と夕食の一部メニューは250ポイントのものもあるので、節約しようと思えば3食で1000ポイントに抑えることができる。
1ヶ月だと3万ポイント。
学校側から支給があるとは言え、仕送りを含めないと結構厳しい生活になりそうだ。
「一方でスーパーの方も安いな」
「お米5キロが1000ポイントで買えるね」
「この学校側が自炊を推奨しているように思えるな」
食材は黒毛和牛のステーキ肉とかそういうのでもない限り、相場の半額程度で食材を購入することができる。
電気ガス水道の光熱費は学校側が負担してくれるってことを考えると、敷地内にあるスーパーで食材を購入して自炊した方が圧倒的に安く抑える事ができる。
「怜的には1食何ポイントで作れそうだ?」
スーパーの食材を確認している怜に質問する。
「そうね〜、1食200ポイントくらいには抑えられるかな」
「当番で作り合うか?」
「そうだね。2人でシェアすればもっと安く量を作れそうだし……大翔君、何か食べたいものある?」
「カレー食べたい」
「カレーね、了解」
俺が押している買い物カートの中にカレーに使う食材を入れていき、スーパーの中を確認していく。
「やっぱり先輩達も買い物に来ているね」
「自炊できる組なんだろうな。それかポイントを節約したいか……」
無料の食材とかはなかったけど、タイムセールで更に半額になっている食材が多く、その時間になると学生達が商品や惣菜を取り合っていた。
まぁ惣菜と米で1食100ポイントくらいに抑えられるなら自炊できなくても買いに来るか。
「金……いや、ポイントがある人達は他の学生を雇って悠々自適な生活ができると」
「仕送りの金額で階級が変わってくるね……それはそれでえげつない」
そんなことを俺と怜は呟くのだった。
料理は俺の部屋に怜を誘って作ってもらう。
俺は制服のシワを伸ばしたり、学校側から支給されたスマホを色々確認すると、料理のレシピについて共有するアプリとかが入っていることにも気がついた。
動画と写真で料理の作り方が細かく紹介してくれていたので、自炊の意欲がある人はこれで作ることができるだろう。
というか、社会人になって活動するならある程度の自炊はできないとまずい。
中学の家庭科を真面目にやっていればある程度の料理の基礎は覚えているだろうし、食材を購入してポイントのやりくりを覚えれば、社会人で一人暮らしをした時に困らなくなるか。
(学校側は社会でも生き抜ける人材を育成したいんだろうな……まぁ実際この高専から起業したり、政界や自衛隊の幹部に進む人もいるらしいし……)
社会とのズレと言っても、情報封鎖されているわけじゃないから、スマホやタブレットで外の映像を観ることができる。
新聞やテレビを契約することもできるので、そこまで外部と情報のタイムラグがある感じでもない。
「この際だから父さんが大学でどんな地位にいるのか調べてみるか……チビヒロ頼む」
『お任せください!』
チビヒロが情報を引っ張ってくる。
チビヒロが居れば高専側の監視にひっかからないで色々調べられるから楽だな。
「一応科学者として色々な物を作ってるんだな……父さんの功績だと表に公表されてないけど、新型の火薬を作ったことあるんだ……」
父さんの知らない一面を知ったが、父さん自身も将来の異世界からの侵略についての防衛で何か考えているのだろう。
流石に俺や和人、恵に丸投げってことはないはずだ。
「できたよ~」
「流石怜、今日も美味しそうだな」
「カレーは誰が作っても美味しいでしょ」
「いやいや、怜が作ってくれるからっていうのは大きいと思うけど」
「そ、そうかな〜」
照れてるの可愛い。
「しっかし、魔法使うの上手くなったよな。野菜とか一瞬で切り刻めるし」
「火力調整もお手の物だからね。普通の鍋でも魔法でしっかり食材を包みこんでしまえば圧力鍋みたいな感じで調理することもできるし」
怜が作ってくれたカレーは無水カレー。
野菜や肉の水分でカレーを作る方法なので、より野菜や肉の旨味が濃縮されているのが特徴だ。
「これ並みのクオリティは俺作れないかもな」
「ふふん、料理系の魔法を練習してきたからね。流石に負けないよ」
怜は大きな胸を張ってドヤ顔している。
可愛い。
「魔法の才能ありそうな子は居た?」
怜が聞いてくる。
俺的には影浦さんが第一候補。
他の人は飛び抜けて才能がある人は居なかったが、ぼちぼちレベルだったら何人か居た。
「ちなみに才能の基準とかあるの?」
「父さん曰く、魔法の才能に優れている人は五感や身体に何かしらの特徴が出てくるっぽいんだよな。勿論怜みたいに何も無くても俺より魔法の才能がある人は居るわけだし」
俺の魔法に対する才能を10とすると、怜は12くらい、影浦さんは10か9くらい。
魔法使いの中で一番才能が乏しかった和人の彼女である船越さんでも6くらいはあった。
戦闘要員としての魔法使いだったら5くらいの魔法の才能は欲しい。
まぁ戦闘要員じゃなくて例えば父さんが育てている回復のキノコだったり……そういうのを育てるだけであれば、才能が全くない0以外だったら大丈夫だけど。
カレーを食べながら怜にそう伝える。
『魔法の才能が少しでもあれば私達の様な電子精霊を育てることができるのでね! その意味でも無駄ではないかと』
チビトキが怜のスマホから声をあげる。
まぁ魔法の才能が俺並みにある人物は少ないけど居ないわけじゃないから、少しずつ人を集めていけばいい。
なるべく同級生から攻めていくか。
「そう言えば怜は親からどれぐらい仕送りが貰えるんだ? 俺は3万くらいだけど」
「私も3万円くらい」
俺と怜は入試成績で学校側から学費免除を通知されていたので、親への負担は少ないけど、その分仕送りで送ってもらっていた。
チビヒロ曰く、上級生のポイントのデータバンクを調べてもらったところ、仕送りが1万円以下の人は半数近くいるらしい。
そういう人は学校側が許可しているアルバイトを受けることができるらしいが……。
「俺達の場合は勉強を教える見返りか、魔法を教える見返りにポイントを貰うってことはできそうだけど……」
「安易にそれをやると問題になるよね……あと私達は学力が一定以上あるからテストの時はポイントを貰えるわけだし」
ただテストは中間、期末も合わせて大きいのは年5回ってガイダンスで納戸先生に言われているから、その月はポイントが結構入ってくるけど、それ以外の月は特別な試験次第。
多分学生が飢えない様に毎月かテストの無い月に行われるのだろうけど……。
「チビヒロ」
『はい! 何でしょうご主人!』
「去年行われた特別試験の概要をパチってきてくれ」
『了解しました!』
怜は苦笑いしながら、
「こっちは学校側の情報筒抜けってだいぶ無法だよね」
「社会の縮図の学校だからな。使えるものは使ったほうが良いだろう。別に犯罪を犯しているわけじゃないし」
「それもそうだね」
数分もするとチビヒロが戻ってきて、昨年行われた特別試験についての資料が開示されるのであった。