「ふむふむなるほどなぁ……」
「私にも共有してもらっていい?」
「了解、チビヒロ、怜にデータを送って」
『はい、わかりました』
俺は怜と一緒に特別試験についての内容を確認する。
例えば1年と2年生の合同でテストが行われ、それぞれの合計点数で高い組はDポイントが付与されるというのだったり、体育祭では個人で優秀な成績を残すか、色別で優勝するとポイントが支払われるなど、俺が睨んだ通り、中間、期末テストが無い月に、特別試験が行われていた。
で、ペナルティが勿論存在する。
各種特別試験の成績が悪ければ中間や期末テストの点数が下げられる。
どれぐらい引かれるかはペナルティの重さにもよるが、去年の最大引かれた生徒は全教科で200点のペナルティを背負って、挽回することができずに退学となってしまっていた。
流石に他の高校に編入することは可能らしいが、ここで退学するような生徒は社会でも大成することができないと世間では見られるらしく、大学の為に途中で卒業した限りでなければ、社会で結構な十字架を背負うことになるのだとか。
「エグいペナルティだね」
「内申点に直接関わるものじゃないだけいいでしょ。ペナルティもポイントを支払うことで相殺することができる救済措置もあるし」
「私達の場合は直近だと……4月下旬に何かしらの特別試験が行われる可能性があるな」
流石にまだテスト内容は決まっていないらしく、候補をチビヒロが幾つか持ってきてくれるに留まった。
「ルールを設けよう」
「ルール?」
俺は怜にルールを設けることを提案する。
これが社会だったらチビヒロ含めた電子精霊で色々なことができてしまうが、俺達はまだ学生。
電子精霊で特別試験の内容やテストを毎回引っ張ってくるのだと、俺達の成長に繋がらない。
魔法を使うとしても答えをそのまま引っ張ってくるのではなく、複数の魔法を使って答えを求めるようにしようと提案した。
「じゃあ未来予知とかもしない方が良いかな?」
「特別試験の時には使わないほうが良いな。中間や期末テストについては精度の関係で日数が近づかないと精度も落ちるし……勉強しないってことはないだろ?」
「まぁね!」
怜が努力家なのは知っている。
ただ魔法だけで成績を残せば、魔法を使ってくる異世界の敵に対しての対処が後手になってしまう。
それはよろしくない。
基礎学力も武器として活用していくとしよう。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「皿は俺が洗っておくよ。この後はどうする?」
俺は怜にどうするか聞くと、怜は寮にある大浴場に行ってみることにするらしい。
俺も大浴場は気になっていた。
寮の部屋にも風呂はあるけど、大浴場があるのを忘れていた。
あそこにはサウナや水風呂もあるし、体の疲れを癒すのには向いている施設だな。
「大浴場か、男子寮にも確かあったよな」
「うん、女子寮にもあったから行ってみたら?」
「それもそうだな」
怜がテレポートで自室に戻るのを確認してから、俺は風呂用道具一式を持って、大浴場に向かうのだった。
「いらっしゃい」
番頭係をしている先輩から声をかけられた。
どうやら大浴場でアルバイトしている人もいる様だ。
「1年か? 大浴場のルールは知っているか?」
「一応聞いてもいいでしょうか」
「おう」
先輩によると、大浴場は銭湯のルールを守ってくれれば基本大丈夫で、脱衣所や浴場での撮影は禁止、服とかは鍵付きロッカーに入れること、タオルのレンタルもやっているが持ち帰らないこと(脱衣所の横にタオル返却ボックスがあった)。
脱衣所では水分補給はOKだけど、浴場内で飲食の持ち込みは禁止だった。
「ありがとうございます」
「おう」
大浴場には色々なチラシが置かれていて、部活動だったり、アルバイトの募集なんかの情報が載っていた。
「ふーん……俺朝早く起きるし、早朝のアルバイトとか良いかもな」
部活動に入る気も無いし……睡眠の質を上げる魔法を使っているから、最近だと5時間寝れば1日中元気に動くことができるし……。
「風呂掃除のバイト……良いかもな」
朝5時から6時半までの1時間半。
大浴場でのアルバイトは幾つか種類があり、リネン室にて回収された貸し出しタオルの洗濯と乾燥、折り畳みの作業2時間だったり、番頭の仕事、平日入浴時間の16時から22時までの6時間勤務週2日から~とか風呂掃除以外にも色々あった。
バイト代金は結構良くて、時給1500ポイントとなっている。
バイト情報を見るが、ここの学園内は最低賃金が1500ポイントからになっていて、恐らく3食学食で普通のメニューを食べるのに1時間アルバイトすればいいように救済の意味も込めてだと思う。
「風呂掃除のバイトやろうかな?」
男子寮2棟(1棟100部屋100人住み)に1つ大浴場がある感じで、番頭の人に聞いたら、風呂掃除のバイトは朝早いから人が集まらなくて、毎回業者入れているらしいから、今の時期なら応募すれば自身の寮の近くの大浴場で仕事できるぞってアドバイスされた。
作業内容も水着を着て、お湯が抜かれた浴槽をブラシで擦ったり、洗浄機で水を流して洗ったり、少なくなったシャンプーやボディソープの補充、サウナマットの交換とかで、1人でも頑張れば終わる程度の仕事量らしいが、基本先輩か同僚が1人か2人いるから朝早い以外は楽な仕事らしい。
それで1時間半働けば2250ポイント。
更に貸しタオル無料とバイトのあった日は牛乳1杯無料の特典があるらしい。
(怜に朝食作ってもらって、俺が朝働いて金稼いで、食材買い込めば……ポイント貯金できるんじゃないか?)
「番頭の先輩、アルバイトの応募って学校側に申請が必要なんでしたっけ」
「ああ、ちょっと待ってろ……これが応募書類だ。これにバイト募集をしているアプリがスマホの中に入ってるから、そこで応募したいバイトの番号を記入して担任に提出すれば、数日のうちに学校側が許可下りるから」
「なるほど! ありがとうございます!」
風呂掃除のバイトを俺は応募することになるのだった。