父親は異世界からの亡命者   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

33 / 34
小金持ちの佐倉さん

 うちの名前は佐倉美智(さくら みち)一応町工場の社長令嬢……ということで良いのだろうか。

 

 正直、うち自身金持ちって感じはせんのよな。

 

 いや、不自由ない生活は送れてるんやけど、うちの会社は国外で使われる発破剤……火薬やそれを調薬するための機材を作っている工場を両親や兄さん方が経営しとる。

 

 年の離れた兄さん達もここの高専を卒業して社会性を身につけたって言っていたから、自然な流れで、うちも受験して入学するに至ったんやけど、父さんや兄さん達が学校側に献金していたからかB組に配属されたんだよなぁ……。

 

 いや、大企業の社長令嬢とか、元子役とか、親が芸能界の重鎮とかそういう子ばっかりなクラスやから、話している内容も庶民的なうちには合わん。

 

 いや、確かにうちの会社は特殊な火薬を作ったりしているから、それなりの利益は出てるけど……それでも従業員数50人程度の中規模工場があるだけやねん。

 

 仕送りは10万ポイント分送ってきてくれるって父さん、兄さん達から言われているからなんとかなるんやけど……。

 

「どんな話をすればええか分からないから辛いんよ〜」

 

 友達作りもクラスメイトは天上人みたいな上流階級ばっかり。

 

 何ならクラスメイトの使用人と思われる同級生の人の方が仲良くなる始末である。

 

「佐倉さんは庶民的ですよね……クラス分けで損しましたね」

 

 って数少ない口聞けるクラスメイト言われてもうた。

 

 そんな中、特別試験は友達作り前提みたいな試験。

 

 クラスメイト達で特に金持ち連中は他クラスにいる使用人やポイントで成績良い生徒を集める始末。

 

「このままやと自動抽選になってしまう。ペナルティ喰らうのは嫌や!」

 

 そう思って、昼休みの間に他クラスに入ってみたんやけど収穫はゼロ。

 

 そりゃそうやろや。

 

 組むとしたら同じクラスからやろうし、B組のうちと組むならポイントの支払いが前提になってくる。

 

 背に腹は代えられないかって思っていると、トントンと肩を叩かれた。

 

「ん? うわ!」

 

 教室に背の高くて大柄な知らない学生が居たから驚いてしまった。

 

「困ってそうだな〜って声をかけてみたんだけど、驚かせてしまったかな?」

 

「な、何やあんたは?」

 

「C組の森久保って言えば分かるか?」

 

「C組……森久保……あ!」

 

 確か成績で学力順にした時に一番上に来る生徒やなかったか? 

 

 うちのクラスでも狙ってる子が何人も居た。

 

「話題の森久保君がうちに何の用や?」

 

「いや、困ってるなぁって。後で世間は狭いなって思って」

 

「世間が狭い? どういうことや?」

 

 話を聞いてみると、うちの会社で作っている特殊火薬の発明者が森久保君のお父さんだったらしい。

 

 佐倉って名字と色々調べてみて、佐倉火薬の社長令嬢が居るって突き止めたのだとか。

 

 凄い情報収集能力やな……。

 

「今日は挨拶ってことか?」

 

「いや、お誘いだ。俺達と特別試験組まないか? 既に4名揃えているんだけど、あと1人にせっかくだから佐倉さんを指名したい」

 

「うち?」

 

 絶対何か裏がある。

 

 裏が無いとうちと組むメリットが分からん。

 

 ポイントか? 

 

「組む代わりにポイント揺すりに来たんか?」

 

「そんなことはしないよ。欲しいのは情報」

 

「情報?」

 

「B組の生徒についての情報が集められると、俺にとっては将来武器になる。A組、B組の生徒はポイント富豪の生徒が多いからな。融資を受ける際に交渉しやすくなる」

 

「融資って……」

 

 話を聞くと、森久保君は将来起業して金持ちになることが夢らしい。

 

 そのために上流階級の人との伝手があると将来絶対に役に立つと思っているらしく、その中でも困っているうちを足掛かりに侵食しようと思ったらしい。

 

「うちは踏み台かい」

 

「勿論俺も交渉に来てる。そうだな……1学期の間勉強を見よう。塾講師みたいなもんだ。それが無料で受けられるなら損は無いと思うし、お試し期間として今回の特別試験期間中だけでも教わるのでも良いけど」

 

「その見返りとしてB組の情報を流すと……でもうちは本物の天上人に声をかけられないペーペーよ?」

 

「今はな。学力が上がれば、自ずと注目を集めるようになるし、俺に対してB組の人達からの窓口になって欲しい」

 

「窓口……まぁうちとしたらメリットが大きいから受け得何やけど……ほんまにええんか? うちで」

 

「ああ、最初はビジネスパートナーから始めよう。よろしく佐倉さん」

 

「よろしくな。森久保君」

 

 

 

 

 

 

 

 その日のうちに、うちは森久保君の部屋にお邪魔した。

 

 靴がうちと森久保君の他に3組あり、どうやら特別試験に一緒に挑むメンバーが既に部屋にいるらしい。

 

 というか、スペアキーを森久保君は誰かに渡してるっちゅうことやな。

 

 既にそこまで信頼関係を築いている人がいるんか。

 

 リビングに案内されると、全員女子だった。

 

「なんや、森久保君はハーレム願望ありやったんか?」

 

「あの、僕男何だけど……」

 

「ふぁ!? 美少年すぎるやろ……男の娘ってホンマに居るんやな!」

 

 思わずツッコミを入れてしまった。

 

 順番に紹介されるが、森久保君の彼女で幼なじみ、女性にしては背が高くて胸もビッグサイズ。

 

 瞳がバーコードみたいになってる茶髪ポニーテールが八雲さん。

 

 彼女の名前は知っとる。

 

 学力順でソートした時に森久保君の次が彼女のはずやし。

 

 次が存在感が希薄なんやけど、黒髪で整った顔立ちをしている影浦さん。

 

 彼女はC組ってことは、噂だとC組から順に学力が高い生徒が集まっているって聞いたので、優秀な生徒なのだろう。

 

 最後に美少年の明智君。

 

 ホンマにちんちんついてるんかって疑いたくなるような美少年やな。

 

 マジで顔が良すぎる。

 

 彼はE組で学力は普通くらいらしく、特に接点がある感じには見えないが、森久保君の友達で毎日放課後に勉強を森久保君と八雲さんに教わっているのだとか。

 

「うちはB組の佐倉美智や。よろしゅうな!」

 

 うちからも自己紹介をしてから、早速得意教科を聞かれた。

 

 うちは理科と英語が得意教科と答え、明智君が社会と国語、影浦さんが数学と理科が得意とそれぞればらけた。

 

 森久保君と八雲さんはどの教科でも満点取れるからと自信満々で、うちが英語、明智君が社会、影浦さんが数学をそれぞれ担当することに決まった。

 

 で、早速勉強会が始まったんやけど、めっちゃ教えるのが上手で、ビビる。

 

 高専の教師陣も教えるの上手なんやけど、その比じゃないくらい教えるのが上手い。

 

 頭の中にスルスルって英文の解き方や単語が入ってくる。

 

 気がついたら熱中していて、あっという間に時刻は20時を過ぎていてビビった。

 

 そしてうちが集中していて気が付かんかったんやけど、八雲さんが夕食を作ってくれていて、夕飯をゴチになることに。

 

 これも滅茶苦茶美味い。

 

 魚の煮付けなんやけど、普通に店でメイン張れるくらい美味い。

 

「スーパーの食材で作れるよ」

 

 と、言うが、これだけ上手く調理できるのはマジでエグい。

 

 最後に森久保君から睡眠の質を上げる線香を貰って、それを焚いて眠ったら、朝めっちゃ頭がスッキリしていた。

 

「ヤバいな……あれはうちの勘が言っとる……離したらダメな縁やって」

 

 こうしてうちも森久保君の仲間に加わるのやった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。