縁というのは身近なもので、俺の父さんが開発した火薬の製造メーカーの娘さんがB組に居るとは思わなかった。
B組で仲間を作るって調べた際に引っかかって、もしやと思い、魔力の才能を測ったところ、明智と同じくらいには魔力の才能を有していた。
本人はクラスで浮いてしまっているらしいが、勉強面で成績を残していけばそのうち認められるだろうし、個別指導で勉強を教えながら、魔法使いの仲間として引き入れるのも良いだろう。
B組との架け橋になれば、ポイントを貰って勉強会を開く……みたいなこともできるだろうし……。
とりあえず佐倉さんをこっちに誘えたので、ここから徐々に侵食していこうと思う。
で、佐倉さんが加入した時点で、特別試験まで残り8日。
その間に特定科目を集中して勉強する必要がある。
占いからの転写で試験問題を予想して、模擬問題を解いてもらったりしながら日数が過ぎていく。
5人メンバーが決まったとなれば、流石にグループに勧誘してくる人も居なくなるし、基本クラスで固まっているけど、他クラスと組む人も少なくは無い。
「毎回微妙に違うテスト作っているけど、よく短時間でそんなにテスト作れるね」
「慣れてしまえばどうってことないぞ」
明智に質問されたが、テストは占いで未来予知してパチってきたテストを少し変えた物だし、学力を純粋に伸ばす意味でもチビヒロとチビトキに手伝ってもらって、試験問題を電子上で作ってもらい、それを転写で俺と怜が紙に起こしてテスト問題を作っていたりもする。
やるんだったら中間テストの予習も兼ねれば得だからな。
それに怜が夕飯を作ってたべさせるというのも魔法使いの才能を開花させるのには重要だ。
俺や兄弟の場合、魔法の才能を開花させるのに、父さんが料理をあまり作らないから、父さんが育てていた魔力を蓄える食材を使って、母さんが料理して、俺達が食べることで魔力を蓄える下地を作ったけと、怜の様な魔法使いが料理を作れば、魔力を蓄える食材を使わなくても同じ様な……いや、効果は怜のやり方の方が断然良かったりする。
今のところ朝食と昼食、夕食の3食怜に作ってもらって食べている明智と昼食と夕食の2食を一緒に食べている影浦さん、夕食だけ一緒に食べている佐倉さんでどれぐらい効果があるのか実験しているが、明智は食べるようになってから、魔法を使う下地が既に出来上がり始めてきていた。
影浦さんも特別試験後には備えられそう。
佐倉さんは2人よりも後発だったからまだ時間は掛かるけど、1日3食怜の料理を食べ続ければ1ヶ月掛からないで魔法の基盤が整うだろう。
あとは父さんがやってくれたみたいに魔力を実際に流して、感覚を掴んでもらい、スマホにアプリを入れれば魔法使いの練習はできる。
流石に自転車使っての電流魔法トレーニングはできないけど、そこは俺なりに考えがあるので大丈夫。
3人が魔法使いになるのが今からでも楽しみだ。
あっという間に特別試験当日の土曜日。
それぞれ受ける教科に対応した教室に移動して試験を受けていく。
3教科受けなければいけない人も居るので、試験時間はマチマチであるが、5人組のグループは1教科受けるだけなので、その時間が終われば解散して良いと先生方から許可されている。
俺は理科を担当して、ちゃちゃっと問題を解き終わり、別教室で試験を受けている明智や影浦さん、佐倉さんの思考盗聴を始める。
(これ……森久保が作ってくれた予想問題にそっくりだな……これなら満点とは行かずとも高得点取ることは可能だ!)
明智は大丈夫そうだな。
学力的に一番彼が厳しそうだけど、彼が大丈夫なら、他のメンバーは余裕かもしれないな。
(うん、解ける。予想問題でやったところが多いし、計算ミスさえしなければ大丈夫)
影浦さんも大丈夫そう。
(やっぱり森久保君と八雲さんとの縁は切ったらあかんな。予習でやったところが大量に出題しとる。というか予想問題を作る精度すごすぎひん? エグいてあの2人……他がコケなきゃワンチャンボーナスあるで!)
佐倉さんも大丈夫だな。
怜も解き終わってゆっくりしているし、俺も見直しをしてペンを置くのだった。
「「「「「乾杯!」」」」」
試験が終わって直ぐに俺の部屋で、グループメンバーの5人は打ち上げとなった。
試験問題は回収されたものの、それぞれ手応えはバッチリ。
月曜日には結果が発表されるので、それまではゆっくり休むことができる。
「いや、森久保と八雲さんの予想問題がズバズバ当たってて凄かった。僕でも簡単に解けたもん」
「せやね、予想問題の精度が高かったお陰で、ずいぶんと楽することができたわ」
怜が作った昼食を摘みながら喜びを分かち合う。
「こんなん言うのあれなんやけど……半年と言わず、1年間個別指導受けたいんやけどダメかな? ポイントは支払うから」
「うっ……やっぱりポイント支払った方がいいよな」
佐倉さんはポイント支払うから個別指導の延長を、明智はポイント事情が厳しいけど支払ったほうがいいよなって聞いてきた。
影浦さんが明智に
「ポイントを支払っても学力系の特別試験やテストでいい点数を取れれば、振り込まれるポイントも多くなるし……」
中間や期末テストはポイントの支払い配分が大きい。
200点中5教科全部150点だと合計で750点。
1点が100ポイントで支給されるから7万5000ポイント支給されることに繋がる。
月謝として5000ポイント毎月支払ってもトータルで見れば余裕で黒字になるし、食事もタカってしまっている状態だから、毎月1万ポイントは支払うのが普通じゃないかなって影浦さんは言う。
「指導内容的に1万ポイントでも安いくらいだと私は思うけど……」
「それもそうだな」
明智がスマホを操作すると、俺に1万5000ポイントが支払われた。
「今月分の食費と来月分の月謝代。受け取ってくれ」
「そんな……いいのに……」
「無償の善意は良くないからな。僕なりの誠意だ。受け取ってくれ。それとも森久保と八雲さんに何か得があるのか?」
「あるにはある……というか前に話したじゃん俺の夢って」
「ああ、起業するメンバーを集めているあれか? なに? 森久保の中だと僕も創業メンバーに含まれているのか? 自分で言うのもあれだけど、そんなに能力無いよ僕は」
「いや、伸び代込みで買ってる。佐倉さんに近づいたのも、親が工場を経営しているから、経営のノウハウ知ってるかもって思ったり、将来的に付き合いができるかもってことを見込んでだし」
「なるほどな〜、それやったら森久保君が近づいてきたのも納得やわ」
「ただまぁ……食費だけは入れてもらって良いか? 5000ポイントで良いから」
「いや、勉強代込みで1万ポイント支払う。今後どうせ人増えるだろうから、それを見越して、1万ポイントを基準にした方が良いと思うぞ」
「私もそれが良いと思う」
影浦さんからも1万5000ポイントが支払われた。
「八雲さんにはお弁当を作ってもらっちゃってるし……」
「じゃあうちからも」
佐倉さんからは2万ポイント支払われた。
「今後ともよろしく!」
なんか団結がより深まった気がするのであった。