父親は異世界からの亡命者   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

8 / 8
身体強化の開花

「うーん」

 

 お父さんに聞いたところ、魔法使いの才能がある人が戦力としてカウントできるまで異世界だと3年から5年かかると言っていた。

 

 これは異世界にある学校みたいな組織が子供を教育しているらしいが、お父さんはこの世界に来てから、現代にある道具や技術を使うことで1年ちょいに圧縮することができないか……と言うのを息子や娘である俺達で試している。

 

 異世界からするとこの世界の技術は恵まれているとお父さんは断言していた。

 

 魔法のイメージをしやすい物が映像(アニメ)としてあったり、格闘技や武術を習うことができる環境も多い。

 

 銃については民間に開放されていない日本は少し不便とも言っていたが、食糧不足に怯えることもなく、平和に暮らせるこの世界は得難いと……。

 

 お父さんは異世界人だが、この世界を愛している。

 

 愛している故にこの世界を守るための人材育成が必要。

 

「うーん」

 

 人材育成……中学生の俺が考えるのもあれだけど、俺達が育ったら、俺達以外にも魔法が使える人を増やす必要がある。

 

 ただ闇雲に増やすわけにもいかないし、組織化するなら給料とかも発生する。

 

 お金も必要になってくる訳だ。

 

「明確に異世界からの侵略が起こらない限り魔法を表に出すことは出来ないけど、準備は必要。準備の為には金や人員が必要……あれ? 詰んでね?」

 

 中学生の俺の発想でここに至るってことは、お父さんもわかっていそうだし……。

 

 というか俺達が育つまでの12年間は、魔法教育の効率化についての研究とこの世界で魔法が使える人材の発見方法とかの基礎固めや理論化で10年かかったって言っていたし……。

 

「魔法使いの才能がある人だけでも見分けられるようになればなぁ……そのためには身体強化の魔法や魔力を感知する魔法を覚える必要があるし……足りないことが多すぎる」

 

 まぁお父さん曰く、あと10年は異世界からの侵略が発生することもないだろうとのことだったので、俺は訓練に集中することができるが……。

 

 そう考えると、異世界転移に成功したお父さんって異世界での立場は一体……。

 

 

 

 

 

 

「二へへ」

 

「上機嫌だね八雲さん」

 

「うん! 読みたい本が読めるからね。そりゃ楽しいよ」

 

 中間テスト以来、俺と八雲さんは本の回し読みを続けていた。

 

 八雲さんには自身が持っている過去の文庫本を持ってきてもらう代わりに、俺はお小遣いで買ったライトノベルを持ってきて、交換して読み合う。

 

 そして感想を言い合うのをやっていた。

 

 これ結構女子とやれるって青春ができているんじゃないだろうか? 

 

「森久保君は将来成りたいこととかあるの?」

 

「成りたいことか……」

 

 魔法使いで自警団じみた組織作りたいって和人と約束しているけど……それは言えないからなぁ……。

 

「誰かを守れるような人に成りたいかな?」

 

「なにそれ……面白いこと言うね森久保君」

 

「変かな?」

 

「いや、変じゃないけど、そこは将来成りたい職業とかを言う場面だよ」

 

 それは確かにそうなんだけどさ……。

 

 言えないからなぁ。

 

 どうしたものか。

 

「逆に八雲さんは何に成りたいとかあるの?」

 

「私はそうね……物書きになれれば良いなって。作家になれれば最高だけど、難しいからね」

 

「そうなんだ……じゃあ八雲さんも何か書いてみれば?」

 

「書いてみる?」

 

「ネットとかで自分が書いた作品を投稿することができるんじゃないの? それをやってみれば?」

 

「うーん、うん! そうだね! やってみることにするよ!」

 

 そんな会話を八雲さんとするのだった。

 

 

 

 

 

 6月半ば……体に魔力が循環していると言うか、全身に力が湧き出てくる様な感覚を掴むことができた。

 

「お父さんこれって……」

 

 全身から魔力が漏れ出ている様に、蒸気の様な白いモヤが溢れ出している様に見えた。

 

「うん、身体強化の魔法に目覚めたね」

 

「よし!」

 

 お父さんから身体強化に目覚めたと言われて、飛び上がるように喜んだ。

 

「大兄おめでとう!」

 

「ありがとう! でもあれだ、全身に魔力が巡る感覚がふと目覚めるんだな」

 

「いきなり感じるようになるの?」

 

 和人が質問してくるが、俺はそうだと答える。

 

 ただこれは自転車でトレーニングしていたのもあるけど、スマホで魔法のアプリを起動させる全身に衝撃を与え、毛細血管が広がって血流が速くなるような感覚があったから、今日の身体強化の魔法のきっかけに繋がることができた。

 

「ただ、その状態だと魔力がダダ漏れで効率が悪い。漏れ出ている魔力で全身に膜を作る感じで、魔力を抑制するんだ」

 

 俺はお父さんに言われた通りに試してみる。

 

 できているかどうかは手に膜ができるので、水を垂らすとステンレスフライパンみたいに弾くらしい。

 

 洗面台のある場所に移動して、全身から湧き出ている魔力を膜を作るイメージで塞いでいく。

 

「漫画とかでもあったな……あれは何だっけ……オーラを体に留めるだっけ?」

 

 漏れ出ている魔力を汗に見立てて、皮膚にある汗腺を閉じる様に、魔力が漏れ出ている体の穴を意識して閉じていく。

 

 すると徐々に魔力の放出量が安定してきて、白いモヤは消えていった。

 

 洗面台に溜めた水に手を突っ込んで確認してみると、水は皮膚と魔力の膜にある間をツルツル滑って綺麗に丸い水滴になっている。

 

「大翔おめでとう。それが身体強化だ。あとは魔力の流れを体内でどう変換するかだ。自己治癒能力を上げたい、代謝を良くしたい、脳を活性化させたい、身体の成長を促したい」

 

 身体強化ができれば、力を強くする他に、色々なことができるとお父さんは言う。

 

「ここからが始まりだぞ、大翔」

 

「はい! お父さん!」

 

 やれることが増えたことに対する喜びを俺は爆発させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 ちなみに俺が身体強化を覚えた数日後に和人と恵も俺がアドバイスを送ったらできるようになるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル歴史/ノンジャンル)

読者の皆さんには、これより転生者達に知恵を与えてもらいます。▼転生者達は各自チートと得意な技能を持っています。▼それを活用して彼らが生活しやすいように指示をしてください。▼転生者達は勝手に動くことがあります。▼転生者の子孫も必ず転生者になりチートを持っています。▼クリア条件▼エンド1、江戸幕府を倒幕し、新政府もしくは新しい幕府を成立させる▼エンド2、江戸時代…


総合評価:779/評価:7.61/連載:40話/更新日時:2026年06月13日(土) 20:52 小説情報

幼なじみが宇宙人だった件について〜そんな彼女が俺をプロ野球選手に育成しようとしてくる〜(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル現代/スポーツ)

中学受験を控えていた主人公の少年は、ある日幼なじみの少女が自らを野球星人であると暴露される。▼主人公は幼なじみの少女が中二病に被れただけだと思ったが、少女が既に出願を終えて受験票が届いているから確認しなさいと言われて身に覚えのない受験票が家に届いていた。▼そして少女が主人公達に語る。▼「私があなたをプロ野球選手に導いてあげる」▼こうして始まる主人公達の成長を…


総合評価:372/評価:8.2/連載:27話/更新日時:2026年06月09日(火) 15:52 小説情報

【書籍化決定】クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

学校で進路を悩んでいた斎藤隆史(サイトウ タカシ)はクラスに馴染めずに居た。▼そんな最中、突如異世界にクラスごと召喚もとい拉致され、魔王と戦えと言われる。▼そして各自に役職と能力が付与されているからとステータスを開くように言われてステータス画面を見ると……皆が普通のRPG表記なのに、俺だけポケ◯ンみたいにレベル形式だし、技ってのが見える。▼そして始まる異世界…


総合評価:3078/評価:7.92/完結:95話/更新日時:2026年08月06日(木) 10:50 小説情報

超能力者のプロ野球人生(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル現代/スポーツ)

雷に打たれて超能力に目覚めた高校生、大久保利通は最初ノートのページを数メートル先から開く程度の能力しか持ち合わせていなかったが、練習で投げたボールが顧問の目に留まり、投手を志すことになる。▼・最初数話は高校生で能力を引き上げて、体を作る話になります。▼・4話目にドラフトを行う予定です。▼・長くても9月上旬まで連載できればと思っています。▼・毎日投稿を心がけま…


総合評価:6506/評価:7.47/完結:42話/更新日時:2026年09月11日(金) 18:00 小説情報

ゲーム世界転生〜現代ダンジョン世界かつ1900年開始で生き残るには〜(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル現代/冒険・バトル)

現代ダンジョン立志伝〜大戦の軌跡〜▼……というゲームをプレイしていたプレイヤー達は、プレイヤーとしての知識を活かして成り上がりを目指すようです。▼2度の大戦以外にも日ノ本を狙う国はわんさかおりますが、プレイヤー達は生き残れるのでしょうか!


総合評価:5551/評価:8.5/連載:103話/更新日時:2026年05月12日(火) 19:51 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>