さやかの仲裁によって、幾分か落ち着きを取り戻したキュゥべえは、周囲の少女たちの顔に目を向けた。事情を良く知るほむらはマシだが、その他3人は何を言っているのかまるで分からない顔をしていた。
「みんな“ワケが分からないよ”とでも言いたげな表情をしているけど、それも仕方ないか。さて、この場にいる以上説明を聞く権利はあるけど……どうしたい?無理に聞く必要はないよ。明日から何も知らない、何も見てない、私には無関係だ、と、今この道を引き返せば日常に戻ることもできる。だけど、聞くなら覚悟しないといけないよ」
このまま引き返せば、ただの無辜の民として平穏な日常に戻ることができる。だが、聞けば後戻りはできない。その判断を、キュゥべえは各自に仰ぐ。
そして、帰ってきた答えは。
「……そうかい。みんなして覚悟は決まっているみたいだね」
その場から誰も動かなかった。各々は決意めいた面持ちでほむらの肩に乗ったキュゥべえを見ている。
「じゃあ、場所を変えようか。落ち着いて静かに話せる場所がいいから……マミ、家に行ってもいいかい?今日も空いてるだろう?」
「いいけれど、“今日も”は余計なお世話よ」
「ごめんよ、でも内心嬉しいんじゃないかい?」
カラカラと笑っていそうなキュゥべえ。イイ性格をしていると思ったマミだが、こんな状況でも心の片隅で嬉しいと思っているのは本当だ。家に誰か来るなんて一体いつぶりだろうと思いを馳せた。
「それじゃあ」
どこから取り出したのか、白い包帯を咥えたキュゥべえは……。
「……これは一体どういう事だい?」
一瞬のうちにその姿をかき消したキュゥべえは、瞬きの間に、マミの腕の中にいたキュゥべえを包帯で縛り上げ天井に沿って設置されたパイプに括り付けた。最早目で追うのも難しいほど、キュゥべえの動きは尋常ではなかった。あのマミですら、反応する間もなく対象を簀巻きにしたのだ。巻かれてじたばたしているキュゥべえの姿はさながら芋虫のようである。
「説明に“キュゥべえ”は二人も要らないだろう?それに、お前たちは都合の悪いことは聞かれない限り言わないようにプログラムされているからね。これから腹を割って話す場には相応しくないよ。処分しないだけありがたいと思って欲しいものだけど、ありがたいってナニか分かんないか」
宙ぶらりんになったキュゥべえが束縛から抜けようと藻掻くが、見た目以上に雁字搦めに縛られているため抜け出せない。
「ほ、ほんとに大丈夫なの?」
キュゥべえの心の友であるマミが堪らずそう聞いた。普段なら即座に臨戦していそうなものだが、相手もキュゥべえであるため彼女もどうしていいか分からず混乱しているのだ。
「大丈夫だよ。少し経てば別のキュゥべえが助けに来るさ」
「な、ならいいの、かしら?」
「ご理解頂き感謝するよマミ」
かしこまって礼をするキュゥべえに、マミの混乱は更に加速するばかりだった。
「じゃあ、行こうか。マミの家に」
そうして、じたばたと藻掻くミノムシキュゥべえを置いて一同はマミの住むアパートへと足を向けるのだった。
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場所は変わって、マミの住むアパートの中。一人暮らしにしてはあまりにも広すぎる部屋と、高そうな家具。そして、見滝原を一望できる大きなベランダが特徴的だ。
家に着くやいなや、いつ誰が来てもいいように、しこたま仕込んでいるケーキを切り分け、紅茶を用意するマミを見て、やっぱりひとりぼっちで寂しかったんだなとほむらは感じた。度重なるループで若干苦手意識がついていたが、いつも頼りになる先輩の弱い部分を目の当たりにしたからなのか、マミを見る目が少しだけ柔和になっている。ほむら自身はそれに気付いていないようだが、キュゥべえには丸わかりだった。
「わぁ、すっごく美味しいですマミさん」
「ふふ、ありがとう。まだまだあるからおかわりしたかったら遠慮なく言ってね」
マミの作ったケーキに舌鼓を打ちつつ、少しの間団欒の時間を過ごす。そして、一息ついたところでキュゥべえが話を切り出した。
「さて、どこから話すべきか悩むけれど。マミの様子を見るに、まずは僕たちについて話した方が良いかもしれないね」
「なんか、宇宙がどうたらこうたらって確か言ってたよね」
さやかの言葉に頷くキュゥべえ。
「簡単に言えば、僕を含めキュゥべえという存在はいわば宇宙人だ。それも最近やって来たとかじゃなくて、君たちが想像もつかないような大昔からこの地球に存在してたのさ」
「宇宙人ねぇ、確かに話せるネコなんて見た事ないけど」
「困るよさやか、僕をニャンコ扱いしないでくれないか」
「あー、それはごめんね」
ネコと同列に語られるのは不服みたいで、キュゥべえはさやかにジトっとした視線を向けた。
「まあ、兎も角、大昔から地球にいたキュゥべえ達は陰ながら人類への技術支援を行っていたんだ。今日に至るまで、人類がここまで発展できたのは奴らの作用によるものだと言っても過言ではないよ」
「じゃあ、キュゥべえっていい人ってこと?」
「まどかは純真無垢だね。ピュアっピュアっじゃないか。いいかい?無償の手助けは疑って然るべきだよ。奴らがわざわざそんな事をしたのは、人類を繁栄……もとい繁殖させるためだ。こんな言葉は使いたくないけど、奴らは人類を家畜としか思ってないよ」
場に重苦しい空気が流れる。家畜という言葉がまさか自分たちに投げかけられているとは誰も思わない。人類はこの地球上における食物連鎖の頂点だ。だが、それが仮初のものであるとは誰も知らない。
「奴らが人類を繁栄させたのはたった一つのシンプルな答えだ。人類には“感情”がある。それはキュゥべえという種族が持ち合わせていないだけでなく、持ってしまえば群が滅びかねない劇薬なんだ。だから、奴らが群を保ったまま感情を利用するためには、どうしても人類が必要なんだよ」
「結局のところ、キュゥべえは何故感情を必要としたのかしら?」
「それは感情が途方もないエネルギー源になることを見つけたからだよ。まず、キュゥべえという種族に個という特性はない。全員に共通の記憶があり、リアルタイムで全ての事象を共有する群としての生き物なんだ。だから、マミのところに来ていたのはキュゥべえは単一個体じゃないんだよ」
「正直なところ何年も一緒に活動してても、気が付かなかったわ」
無理もないだろう。同じ大きさ、同じ声、同じ顔、同じ体格なのだ。真実を言われても見抜ける自信はない。
「奴らの真の目的は宇宙の延命、それに尽きる。簡単に言えば、宇宙が終焉を迎えれば宇宙に存在する全ての生物が死滅する。それを防ぐ為に奴らは行動しているんだ」
「ちょっとスケールが大きすぎない?宇宙って、なんか、とんでもなくデカいんでしょ?そんなすぐに終焉って来るものなの?」
「エントロピーというものを知っているかい?……うーん、みんな頭に疑問符が浮かんでいるね。きゅっぷい、なら少しだけ僕が教鞭を振るおう。簡単に言えばエントロピーとは物質の乱雑さを表すものだ。例えば、熱いお湯を放って置くと勝手に冷めることはあっても、冷たい水が勝手に沸騰することはないだろう?変化というものは放っておくと必ず一方向に動くものだ。自然に元に戻ることはないよ。それが宇宙規模で起きているといえば理解しやすいかな?人の言葉を借りれば、それが宇宙の熱的死と呼ばれるものだ。その状態になってしまえば、それ以上の変化はなにも起きなくなる。変化が起きないということは、ありとあらゆる自然現象もまた起きなくなるということだね。生命活動なんて以ての外だよ」
講義めいたキュゥべえの言葉は些か中学生には難しいようだ。現にさやかは口から魂を吐いている。
「だから、新しいエネルギーが必要ということね。それもこれまでの法則に縛られないようなものが」
「ほむらちゃん理解できたの!?」
「ええ、何となくは」
「凄いなぁ、私はまだちんぷんかんぷんだよ」
ちゃっかり私わかってますよと言わんばかりにほむらは内容を補足する。これまでのループで得た知識と事前の情報共有があって、何とか理解しているのはご愛嬌だ。
「私、上級生なのに……」
「あ、いやいや、マミさん。こんなの普通分からないですって、大人でも絶対分かりませんよ!」
「……そう?」
その傍では、上級生なのについていけず、落ち込んだ様子のマミをさやかが宥める。
「ほむらの言う通りだよ。要点を掻い摘むと、新しいエネルギー源として感情に目をつけたんだ」
「でもどうやって感情をエネルギーにするの?」
マミの質問は尤もだ。だが、その質問を皮切りに、これまで流暢に話していたキュゥべえは人が変わったかのように沈黙する。
「……どうしたのかしら?」
キュゥべえは周囲を一瞥すると、一呼吸を置いて話し始める。
「……これを言うのはなかなか決心がいるんだよ。感情というものはまだまだ分からないことが多いけど、ある条件を満たせば尋常でないエネルギーを得られることに気付いたんだ」
キュゥべえがほむらに目を向ける。この状況は二人して以前から考えていたものだ。ほむらはキュゥべえの視線を受けてコクリと小さく頷くと、キュゥべえはそれに応じるかのように禁忌に触れ始める。
「感情の相転移。それが起きた時、そのエネルギーはエントロピーを凌駕する」
それはある意味での禁句だ。真実を知った少女によっては、それだけで全てが終わるくらいには核心に迫った内容だ。
「そう、てんい?」
「聞き慣れない言葉だろう?感情とはとても豊かなものだ。その中でもとりわけ両極端に存在するものを人は希望と絶望と呼ぶ。だから、希望から絶望へ感情が落下する時、その変化の中で途方もないエネルギーが生まれる。奴らはそれを抜き出して、利用する
「そしてその変化を可視化したのが、魔法少女の持つこのソウルジェムよ」
ほむらの手には紫色に輝く宝石のようなものが握られていた。
「はぇー、なんか宝石みたいで綺麗」
「傍目にはそう見えるかもしれないけど、よく見ると少し濁っているのが分かるかしら?」
よく見れば、ぼんやりとした影みたいなものが宝石の内部をぬるぬる動いている。そんな様子を見ていたマミもまた、自分のソウルジェムを取り出して濁りの確認をしていた。
「これは所謂“穢れ”というものよ。私達魔法少女は、魔法を使う度にこの穢れがソウルジェムへと溜まっていくの」
「……それだけじゃないわ」
そう言ったマミの表情はどこか悲しげで、目線は少しだけ伏せられている。
「……気付いたようね」
「ええ。私も伊達に何年も魔法少女をやってないわ。キュゥべえが言っていたこと、思えば心当たりがあるの。確信に近いけれど……穢れは私達の感情とも連動している。そうよね?」
マミが辿り着いた答えに、ほむらは首を縦に振って頷くと、マミは‘’思った通りだわ”と一言零して、ふぅっと息をついた。その表情は悲哀で染められると思われたが、どこか安堵したかのような面持ちだった。
「そうよ。穢れは、単に魔法を使うだけじゃなく、悲しみや挫折、行き場のない怒り……つまり私達の感情が絶望に近付けば近付く程、その色を濃くする」
「……だから、今日はいつもより濁りが少ないのね」
ソウルジェムを摘んで、眺めるマミ。その言葉が何を意味するのかは言うまでもないだろう。
「じゃあ、その穢れってのは溜まってく一方じゃないの?何とか落とせない?ほら、あの、ホームセンターで売ってる変な粉とかで」
「重曹かしら?それで落とせたら、ノーベル賞でも何でもあげるわよ」
「言ったなーほむらっ、これでノーベル賞は私のものだー!」
少々場違いなテンションのさやかだが、彼女は魔法少女ではないから、仕方ないといえば仕方ない。
「ほ、ほむらちゃん、もし、もしもだよ?その穢れが限界まで溜まっちゃったら、どうなっちゃうの?」
おずおずとまどかが質問する。それに答えたのはキュゥべえだった。
「死ぬよ?」
「……え?」
「魔法少女って君たちからしたら日曜日の朝にやってる可愛らしいアニメみたいな印象だと思うけど、その実態はフィクションとは大きくかけ離れているんだ」
言葉はないが、キュゥべえの話を聞いて不安そうに目を見開いたのはマミだった。良くないことが起きるだろうと、何となくは理解していたが、こうもハッキリ死ぬと言われれば動揺しても仕方ない。
そんなマミの様子を見ていたほむらは、彼女の傍で“一人じゃないわ、私もいるから大丈夫よ”と背中を擦りながら宥めている。
「そ、そんなのって、あんまりだよ」
「だよね、僕もそう思うよ。魔女と戦う為とはいえ、同意なく身体まで弄くり回すなんて、詐欺師と同じだよ」
「え……身体を弄くるって」
「……魔法少女は契約の際に、その身体から魂を抜き出して別の形に変換するんだ。そうしてできたものがソウルジェムというワケだよ。路地裏での襲撃のように、敵は強い。壊れやすい生身で戦うのは到底無理な話だから、キュゥべえ達が‘’良かれ”と思って作り替えたんだ。ともかく、そうして契約した少女の事を、奴らはこぞって魔法少女と呼称している訳なんだよ」
「っ!?……そんな」
驚きを孕んだ呟きとともに,マミの瞳に明らかな動揺が走る。キュゥべえの話を要約すれば、魔法少女は人間では無いと言っているようなものだ。まだ、魔法少女というものが奇跡との対価に与えられた役割だったら飲み込める。だが、知らずのうちに体を改造され、人とは違う生き物になっているという事実は、マミの精神に少なくないダメージを与えた。
「じゃ、じゃあ、魔法少女って人「人間だよ」」
さやかの言葉に、キュゥべえは強い口調で言葉を被せた。
「さやか、疑問に思ってもその先だけは言わないであげて欲しい。人を人たらしめるのは‘’意思”だよ。それ以上でもそれ以下でもない。確かに、魂の在り処は違う場所にあるかもしれない。だけど、マミもほむらも自分の強い‘’意思”を持っている。己で考え、感情を伴い、行動する。現に、君たちとともに同じ時間を過ごし、ともに言葉を交わし、ともに感情を共有する。それは人間である何よりの証拠だ。“意思”を伴う限り、例え培養液の中に浮かぶ脳髄であっても、巨大な計算回路の一部であったとしても、それは人間だと僕は断じる。否定するものは、僕が許さない。本人が否定したとしても、僕だけは人間だと言い続けるよ」
それにね、と付け加えてキュゥべえは続ける。
「こんなに素晴らしい女の子達を、まさか君はゾンビとでも言いたいのかい!? 可愛いは正義だよ!」
「た し か に」
クワッと威嚇しながらキュゥべえは凄む。結局そこなんだと思うかもしれないが、今の言葉で救われるものもいた。
先ほどまで表情を暗くしていたマミだが、キュゥべえのどこまでも真っ直ぐな言葉が彼女の胸中を安堵で満たした。たとえ何があっても、このキュゥべえだけは味方で居てくれる、そう思わずにはいられなかったのだ。
やんややんやと騒いでいるキュゥべえとさやかを見ながら、深刻に考えすぎていた自分がなんだか馬鹿らしくなって、マミは思わず大きな溜息をつく。
「はぁ……なんだか、落ち込んで損した気分だわ。あんな饒舌なキュゥべえなんて初めてよ」
「ふふ、でしょう?」
どこか自慢げなほむらだが、彼女もまたキュゥべえの言葉で救われた一人だ。
「でも、結局のところ、穢れを浄化する方法ってないの?」
「あるよ。さっきほむらとマミが倒した敵だけど、奴らのことは通称“魔女の使い魔”と呼んでいるんだ。そして、大元の“魔女”を倒すことでソウルジェムの穢れを浄化できるアイテム、グリーフシードが手に入るんだ」
‘’これだよ”とキュゥべえはどこから出したのか、黒い珠のような物体を器用にしっぽの上に乗せて転がす。
「げっ、アレで使い魔かよ」
「あ、あんなに恐ろしい敵と戦わなくちゃいけないの?」
「ええ、そうよ。それが奇跡の代償に魔法少女に課せられた使命だから。ね?マミ」
「え、ええ。そうよ」
ほむらに急に振られて、マミは一瞬びっくりしたが、そこは上級生。こほんっと咳払いを置いて、落ち着いて話し始める。
「まず、魔法少女という存在についてちゃんと話すべきね。私達、魔法少女というのは、キュゥべえと契約した少女のことよ。そして、その契約時にキュゥべえは何でもひとつ願いを叶えてくれるの」
「じゃあ、マミさんもほむらちゃんも願い事を?」
「ええ、私の場合は願いを考えている余裕なんて無かったから、なし崩し的にキュゥべえと契約したのだけど……ふたりは今の話を聞いても魔法少女になりたいって思った?」
さやかとまどかはマミの質問に答えられない。誰にだって願いはある。だが、それを叶えた果てに魔女と戦う運命を背負うには、彼女達はまだ幼い。
「賢明ね。キュゥべえが見えるってことはあなた達にも契約の権利があるって事だけど、簡単に結んでいいものではないわ」
「じゃ、じゃあ、マミさんはこれからも一人で魔女を……?」
「ええ、勿論よ。ソウルジェムを浄化する目的もあるけれど、それ以上に魔女を放っておくと何の罪も無い人を死に誘うわ。度々ニュースで見る原因不明の事故のほとんどは魔女によるものなの。だから、皆が安心して暮らせるように日々パトロールをしているのよ」
「じゃあ、マミさんって正義の味方じゃないですか!憧れるなぁ」
「ふふ、ありがとう。でも、聞こえはいいけれど、実際はいつも
今まで誰にも知られずに一人戦ってきたマミ。純粋にそう言ってくれたことに思わず顔を綻ばせるが、話をしていくうちにどんどん表情が曇っていく。色々と溜まっているものがあるのだろう。
「あら?私は頭数に入れてくれないのかしら?」
そんな事を言ったのは、後ろで手を組み、あざとく上半身を横に少し傾けてイジワルな笑みを浮かべたほむらだった。その言葉の真意を掴めないマミは思わず聞き返した。
「あ、暁美さん、それってどういう……」
「言ったじゃない。協力できるなら協力したいって、忘れたのかしら?」
「!!それって……」
マミの表情がパァっと明るくなり、その瞳には希望が溢れる。
「ふふ、せんぱいは飲み込みが悪いのね、これからは私も一緒に行動させて欲しいのよ……ダメかしら?」
「ッ!!いいえっ、嬉しいわっ!!」
首を横に振り、まるで花が咲いたかのように、満面の笑みでマミはほむらの手を取った。解き放たれた感情が、マミの目元から流れ落ちる。
(……上手くいったわよキュゥべえ。騙しているようで、心が痛いわ)
(そこは我慢だよ。だけど、魔女化に関しての内容を伏せつつ、巴マミをこちらに引き込めたのは大きい。真実については心苦しいけど、マミの精神が耐えられると判断した時に明かそう)
斯くして、巴マミを囲い込むことに成功した二人だった。
ここで一旦区切ります。説明もう少し続きます。話が難しくてなかなか筆が乗らなかったです。
《補足》
マミ……ほむらという同じ境遇の少女がいるお陰で、メンタルブレイクの閾値が上がっている。さっそく悪い女に引っかかりました。ひとりぼっちは寂しいもんな。
キュゥべえ……心にはほんのり少佐(劇薬)
ほむら……小悪魔ムーブをかましまくる。