このダークライダー達の力を与えられた(押し付けられた)者に祝福を! 作:フュー
上位悪魔アーネスがめぐみんとゆんゆんが乗る馬車を襲撃し、そのアーネスをディケイドに変身したアキトによって倒された後、馬車は問題なくアクセルの街へと辿り着いた。
馬車になっていた者達の中で負傷していた者達は話を聞いて街の教会から駆けつけてきたプリーストの治療を受け、他の乗客や関係者達は道中での事をある程度聞かれた後にそのまま解散となった。
そしてその翌日、アーネスを撃破したアキトはというと。
「いや〜それにしてもあのピンチの場面に謎の魔道具に跨り現れ、しかも見た事もない鎧を纏い戦う姿は何度思い返しても紅魔族的に満点ですよ!
それにあの『通りすがりの仮面ライダー』というセリフ!里の外の人達は変わった名前や性格の人達ばかりと聞いていましたが、ようやく我等の事を理解してくれそうな人に出会えてとても嬉しいです!
ところで、その仮面ライダーというのは貴方が鎧を纏った時の姿の名前でよろしいですよね⁉︎何なのですかあのカッコいい鎧は!仮面ライダーとはいったいなんなのですか!そろそろ教えてほしいです!」
「……(熱量がスゲェなオイ)」
現在、めぐみんから時折謎のポーズを交えた先程アキトが変身したディケイドについての感想やら質問やらをされまくっていた。
しかもめぐみんの目が興奮した事で赤く光っていた事もあり徐々に恐怖も覚えてきていた。
「ちょっとめぐみん⁉︎いい加減落ち着きなさいよ!昨日とほぼ同じことばかり言ってアキトさんが困ってるでしょ!それにここ道の真ん中で他の人達も見てるから!
す、すみませんアキトさん!この娘悪気は無いんです!ただ頭が残念なだけなんです!」
「あぁ、いや別に気にする事は…」
「残念とはなんですか残念とは!
紅魔族たる者、あんな理想的なシチュエーションに遭遇したらこうなるのは当然の事ですよ!
むしろあの光景を見て何故貴方は落ち着いてられるのですか!これだからボッチは!」
「いっ、今はボッチとか関係ないでしょ!というかボッチじゃないから!」
「…なあ頼むから落ち着いてくれ。人が見てる」
何故彼が彼女達と行動を共にしているのか、それは昨日のアキトがアーネスを倒した後まで遡る。
あの後アキトは変身を解除し、馬車に乗っていた者達の無事を確認した後近くにあったアクセルの街の方角を聞き向かおうとしたのだが、気がつくと彼が乗ってきた筈のマシンディケイダーが消えていたのだ。それどころかつい先程まで持っていたディケイドライバーまでも。
移動手段が無くなって困っていたところに、馬車に乗っていた者達が助けてもらったせめてものお礼という事で彼もアクセルの街まで乗せて行く事にしたのだ。
彼はありがたくその提案を受け入れて馬車に乗ったのだが、そこで彼が乗ったのがめぐみん達が乗る馬車だったのだ。
ゆんゆんの方は初対面という事などもあり遠慮がちにお礼を言う程度だったのだが、めぐみんの方は紅魔族の感性故か食い気味にアキトが変身したディケイドについての質問攻めを行ったのだ。
その結果、彼は借りた宿の部屋(お金は馬車に偶然乗っていた商隊のリーダーがせめてものお礼としてある程度渡してくれた)に辿り着くまでただでさえアーネスによって吹き飛ばされた痛みや初戦闘による疲労なども合わさりベッドの上に寝転んだ途端に眠りにつく程に疲れが溜まり、結果ベッドの上でアッサリ寝落ちしてしまった。
そして今日は、この街。またはこの世界について少しでも情報を集める為に出歩いていた。記憶こそ無いが何故か現物を眼にする、または特定の物や種族などの名前やワードを耳にするなど一定の条件を満たせば何故か知識として呼び起こされる様だ。その能力の影響でめぐみん達紅魔族についての情報も知る事が出来た。
それを活用してこの世界についてもっと情報を得ようと動き出したのだが、運が悪いのかそうでも無いのかめぐみん達とバッタリ遭遇。そして今に至るというわけだ。
「それにしてもこんな朝早くに会うとは思いませんでしたね。ひょっとしてアキトも冒険者ギルドに?」
「冒険者、ギルド(確か、この世界にはモンスターが存在していてそんなモンスター達を倒したりする冒険者って職業の奴らが居るんだったよな。そしてそんな冒険者達が仕事を受けたりする場所、だったか?)」
「「?」」
アキトは冒険者や冒険者ギルドなどという単語は実はめぐみん達と会う前に偶然話しかけられた通行人から既に聞いていた。
なんでもアキトの服装(黒いTシャツに黒のジャケット、グレーの長ズボン)が珍しかったので声をかけたらしいが、それは幸いとアキトはこの街の事について話を聞くと、この街は駆け出し冒険者達が多く滞在しており、殆どの者はこの街で冒険者登録を行うらしい。
この会話の際にもアキトの頭の中には冒険者についてのある程度の知識が流れ込んできていた。
流石に数回目ともなれば流石に慣れていた様で先日の様に顔に出して困惑する事は無くなっていた。
しかし流石に勝手に1人で納得している状態は良く無いと思ったのか、一旦咳払いをして彼は口を開く。
「そ、そうだな。特に目的とかも無かったしその冒険者ギルドに行くとするよ」
「その方が良いと思いますよ。アキトさんって確か不思議な力は使えるけど“何も覚えてない“上に持ち物とかは特に何も無いから身分を証明するものも無いんですよね?
冒険者ギルドでカードの登録をすればそれが一応身分を証明する物になるので」
「そうと決まれば早速ギルドに行きましょうか!この私の最強魔法使いになるまでの伝説の1ページ目を飾る為にも!
それにアキトのあのカッコ良い鎧以外にも、本人にも知り得ない何か特別な力が明かされたりなどがあるかもしれませんからねぇ!」
ちなみに何故2人が彼の記憶が殆どないことを知ってるかと言えば単にアキト自身が昨日の質問攻めの際に明かしたからである。
「!」
そんな会話をしているとアキトは突然何者かの視線を感じ、勢いよく背後を振り向く。
しかしその先にはアクセルの街並みや時折アキトの服装を珍しく思ったのか遠巻きに彼らを見ている者を含めた街の住人達が歩いているだけだった。
彼が感じた視線は明らかに彼の服が珍しく思っている者達とは別物の筈であった。
だがいくら見渡しても視線の正体は確認できなかった。
「アキトさん?」
「急にどうかしたのですか?」
「……いや、何でもない。それより早くその冒険者ギルドとやらに行こうぜ」
確かに何か居たはずだが何も居ない。
得体の知れないモノを感じたアキトだったが、だからといって彼に出来る事は現在何も無かった。
まさか敵も見えてない。否、それどころか敵か何かも分からないモノを探す為だけに変身する訳にもいかない。
そこまで考えた彼はただめぐみん達と目的地を目指して道を歩いていくしか無かった。
「まさかライダーどころか戦隊も居ない筈のこの世界に仮面ライダーが現れるとは」
アキト達が立ち去った後、彼等が先程までいた場所から少し離れた場所の路地裏にて1人の男が立っていた。
その男はチューリップハットにコート、そして眼鏡をかけた中年風の見た目をしていた。
彼はアキト達が進んで行った方角を見つめており、何やら警戒している雰囲気だった。
「見たところ並行世界のライダー達とは違う。かといってハンドレッドや財団X、ましてやショッカーのライダーでもない。
…いや、今問題なのはあの男が“ディケイド“の力を持っているという事か」
男は更に警戒の色を強くし、誰もいない路地裏の奥へと足を進めていく。
「アキト、と言ったか。君が何者であろうと仮にその力が偽物であるかもしれないとはいえ、破壊者の力を持つ者をこのまま野放しにはしておけない」
男が更に足を進めるとまるで彼を出迎える様に灰色のオーロラが目の前に現れる。
彼はそれを潜る前に一旦立ち止まり、もう一度アキト達が歩いて行った方角に目を向ける。
「君がその力を持つに値するかどうか、見極めさせてもらおう」
そこまで口にすると彼は今度こそオーロラを潜り抜ける。
そしてオーロラが消えるとそこに男の姿は無い。まるでそこには最初から誰も居なかったかの様に不気味な静寂がその場に広がっていた。
謎の視線の正体が不明な事に一種の気持ち悪さを感じつつ、アキトはめぐみん達と共に冒険者ギルドへ足を運んだ。
運んだのだが…。
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る…も…の…」
冒険者ギルドに入るや否や、めぐみんは声高に紅魔族特有の名乗りを上げたのだが、まだ朝早い時間帯だったということもありギルド自体は空いていたのだが、中には人が全くと言って良いほど居なかったのだ。
その結果彼女の名乗りは完全に空振りに終わったのである。
「は、恥ずかしいっ…」
「……むぅ」
「ま、まぁ元気出せよ。い、今の名乗りはほら…カッコよかったしそう気を落とすなって(今の名乗りを堂々とやる辺りメンタル面の心配は無いとは思うが一応フォローは入れておくか)」
ちなみにアキトはギルドに入る前にめぐみんからアキトも名乗りを上げた方が良いと提案されたのだが、流石に断った。
そして今の現状を見て“自分もやらなくて良かった“と密かに思った事は内緒である。
「あら?こんな朝早くからどうされました?」
そんなやり取りをしていると、ギルドの奥の方からウェーブのかかった金髪の胸元が見えるタイプの制服と思われる服を着た女性が出て来て話しかけてきた。
どうやらギルドの女性職員らしく、名乗りが空振りに終わった事は一旦忘れめぐみんはその職員の方へと向き直る。
「どうも、私アークウィザードのめぐみんと申します。
冒険者として働きたいのですが、どうすれば良いのか分からなくて」
「ああ、その瞳の色は紅魔族の人ね。確か紅魔族は学校で冒険者カードを作っちゃうんでしたね。それなら受け付けでカードの照会をさせていただきますね。
それからそちらの貴方は?」
「俺は普通に冒険者カードの登録をしようと思って。名前はアキトって言います」
「アキトさんですね。…あの、失礼ですが冒険者カードの登録には登録手数料として1000エリスかかりますが大丈夫でしょうか?」
めぐみんの次にアキトに話しかけた受付嬢の女性だが、途中何故か何かを思い出したのかアキトの服装を見た後に少し遠慮がちにそんな事を聞いてくる。
「(エリスは確かこの世界の女神の名前で、金の単位でもあるだったよな…)ええ、金の方なら大丈夫ですけど…あの、何か問題でも?」
女神という単語にゼリスを連想してしまうアキトだったが、そこは何とか表情に出さずに何とか堪える事ができた。
「あぁいえ!実は昨日貴方とは別の変わった服装の方と女性の方が2人で来られていたんですが、その時に少々…」
「?」
何やら意味深な雰囲気を感じたアキトだったが、とりあえず問題なく冒険者登録は行えそうである。
しかし3人が受付嬢について行こうとした時、突然めぐみんがギルドのとある一角を見て立ち止まり、何を思いついたのか前を歩く受付嬢の女性に声をかける。
「あの、カードの照会はもう少し後で大丈夫ですか?」
「えっ?はい、それは構いませんが」
「めぐみんカードの照会しないの?私が先にやっちゃうわよ?」
「何かあったのか?」
「いいえそうではないですよ。ただ私はもう少し人が集まってからやります」
「「?」」
2人はめぐみんの意図がイマイチ理解出来なかった。
とはいえアキトは早くこの街で仕事や生活をするにしても身分を証明する物が必要であり、ゆんゆんとしても早く照会を済ませてこの後ギルドに来るであろう冒険者達とパーティーを組みクエストを受けたいので、少し気にはなりながらも2人は受付嬢のルナという女性に手続きを行ってもらう事にした。
「おぉ!流石は紅魔族ですね!魔力や知力がかなり高い数値です!これだけの才能があればきっと直ぐに高難易度のクエストもこなせる様になると思います!
今後の活躍に期待してますね!」
「は、はい!ありがとうございます!」
早速最初にカードの照会を行ったゆんゆんだが、やはり紅魔族である為か魔力や知力が高いらしい。
その数値を見てルナから絶賛の声を向けられたゆんゆんは感極まった様子でお礼を言いカードを受け取った。
「さて、アキトさんでしたね。
冒険者登録をするにあたってまずは大まかな説明からさせていただきますね。」
次にアキトの番になり登録手数料を支払い、簡単な手続きの書類を記入した後ルナから冒険者とは何かについての説明が行われる。
彼女のをまとめると。
冒険者登録は専用の水晶に手を翳し、その水晶が読み取った情報が冒険者カードに記入されるらしい。
そして、冒険者には様々な職業が存在し職業によって習得できるスキルや受けられる恩恵も違うらしい。
冒険者達は基本的に街の外に出るモンスターなどを倒す事でレベルが上がり、それによってそれぞれの職業で使えるスキルを覚えるためのスキルポイントというものが溜まっていき、そのポイントを消費する事で新たなスキルを覚える事ができ、戦術の幅が広がる。
しかも生まれ持った才能によっては最初から貰えるポイントもかなり多いらしい。
そして職業は後から変える事も可能との事だ。
「とまあこんな感じですね。何か分からない部分などはありましたか?」
「いいえ。今の説明で大体分かりました」
「かしこまりました。それではこの水晶に手を翳してください。
これにより貴方のステータスが分かります。その数値に応じて職業を選んでくださいね」
「はい」
ルナの言葉に従い、アキトはカウンターに用意された下にカードが置かれた水晶の前に立ち手を翳した。
すると、水晶は水色の光を放ち始め、それとほぼ同時に水晶から一筋の光が下のカードへと落とされた。
その光はまるでペンでも走らせる様に滑らかに動き、用意されたカードに次々と情報が書き込まれて行く。
「あぁ、これでようやくアキトの隠されし力が分かるのですね!楽しみですよ!」
「もうめぐみん、今登録してるのはアキトさんなのに貴方が反応してどうするのよ。
まぁ気持ちは分からなくも無いけど…」
「(昨日の戦闘時に間近で見るどころか危うく殺されかけたりもしたけど、本当に魔法があるんだな、この世界には)」
後ろで何やら話している2人を気にする事なく、手を翳しているだけなのに機械でもない筈の水晶が次々と情報を書き込んでいく光景に、昨日とはまた違う驚きを感じているアキト。
そして数秒後、全ての情報を書き終えたのか水晶の光は収まり、ルナがそのカードを手に取って不備などが無いかを確認していた。
「はい、こちらがアキトさんの冒険者カードとなります。早速ですがステータスの方を拝見させていただきますね。
……おぉこれは!魔力がかなり高いですね!昨日の人程ではありませんがそれでも紅魔族の魔法使い達と比べても遜色ない量ですよ!それに筋力や耐久力が平均より高い数値です。次いで知力も高いですね。これならアークウィザードを含めた大抵の職業に就く事が………あら?何かしらこの職業」
「「「?」」」
次々と判明するアキトのステータスの内容に目を輝かせるルナだったが、不意に彼女の表情がある一点を見た瞬間怪訝なものへと変わる。
その様子を見ていたアキト達も何の事だか分からずに頭に?を浮かべていた。
「どうかしたんですか?」
「あ、いえ…実は見慣れない職業があったもので」
「見慣れない職業?」
「あの。ちょっとカード見せてもらっても良いですか?」
アキトはルナの言葉の意味が気になりカードを彼女から受け取り、冒険者としてアキトがなれる職業の一覧が表示されている項目へと目を向けた。
そしてその職業欄の中には、アキトにとって確実に無関係ではない名前があったのだ。
「仮面、ライダー」
「「!」」
「はい。この様な名前の職業は我々も聞いた事が無くて。上級職なのかそうでないのか、それ以前にどの様な役割の職なのかさえ分かりません。
……まぁ一応他にも就ける役職は有りますので無理に未知の職に就く必要は」
「…なんか他の職業のところ、文字が変な事になってるんですけど」
「えっ?」
アキトはフォローを入れようとするルナにもう一度カードを見せる。
すると彼の言う通り、先程まで普通に読めた筈の他の役職の文字が全て文字化けを起こしてしまっているのだ。まともに読めるのは仮面ライダーの役職だけ。
「え、ええぇぇっ⁉︎な、何コレ!何で急にこんな事に?こんな現象今まで一度も…あ、貴方何者なんですか⁉︎」
「いや、その…俺に聞かれましても…」
正直今の彼の置かれてる現状含め、色々と知りたいのは彼自身である。
ほぼ記憶喪失の様な状態の彼に何者なのか聞かれても答えられるはずも無い。
「ふっ、どうやらアキトは仮面ライダーという存在以外になる事は許されぬ
「いや、運命というか最早一種の悪意とかホラーとかだろ。むしろ嫌がらせだろ、他の選択肢強制的に閉ざされてんだけど」
「とは言っても、もう他に選択肢が無いのならそれを選ぶしか無いのでは?それに誰も知らない未知の役職!そしてそれはあのかっこいい仮面の戦士に関するものとくれば紅魔族の琴線に触れまくりですよ!」
「もうめぐみんったら、アキトさんが困ってるのにこんな時に変な事言わないでよ…」
「……」
めぐみんの言動は兎も角として、実際文字化けした役職になれるかは不明。そもそもそこにどんな職業があったのかさえ分からないのだ。
なので、彼女の言う通り最後に残ったこの『仮面ライダー』の役職になる他ない。
それにこの役職ならば突然消えたドライバーやバイクを自由に取り出したり呼び出したりも出来るかもしれない。
ならば、少々誘導されてる気がして気に食わないが彼の選択は決まった様だ。
「あの、お姉さん」
「俺、その仮面ライダーって役職にします」
〜???〜
「“魔王様“。ベルディア、ただ今参りました」
「おう、よく来たなベルディアよ。態々呼び出してすまんな」
どこかも分からない暗い雰囲気の城の中。玉座の間とでも呼ぶべきそこには玉座に座る大柄で2本の角が生えた白髪の老人と、その老人の前で跪く全身に鎧っているが首から上が無く、片腕に本来なら首の上に乗ってる筈の頭を抱えた大柄な騎士の様な者が向かい合っていた。
「いえ、魔王様のお呼び出しとあればこのベルディア、何を置いても駆けつけますとも」
「そうか。……それはそれとして女風呂に頭を置き忘れたとか言って覗きをやりまくるのはやめてくれない?女の幹部を始めとした配下達からの苦情が凄いのだが」
「はて、何のことやら」
「誤魔化すな。そして首を態々斜めに傾けて首を傾げる仕草をするな腹立つ」
………とてもこんな暗い場所で行われているとは思えない会話が始まるが、直ぐに一旦間を置きシリアスな雰囲気に戻った。
「まぁ今は良いだろう。それより、先程城の占い師から報告が入ってな。
先日、此処より遠く離れた地。アクセルの街とやらに強大な神聖な光が降りてきたとの事だ」
「光、ですか?」
「ああ。正体は不明だが、その光は遠くない未来我々に仇をなす可能性が高い。
そこでお前にはアンデッドナイト達を引き連れその街への調査に向かってもらいたい」
「調査、ですか」
「そうだ。本来なら適当な者達を2、3人送って潜入させれば済む話だとは思うのだが、何しろ不確定要素が多いからな。
念には念を入れてお前とアンデッドナイト達を送る事にした。お前達の鎧には我が加護を付与しておく。万が一の状況があったとしてもあの街の者達ならば問題なく殲滅できるだろう」
「ま、魔王様直々に加護をですか⁉︎そ、それはいくら何でも…」
「あくまで念の為だ。あの街の駆け出し冒険者程度に貴様が遅れを取るとは思えんが、その光の正体にやってはその万が一も起こり得ると思っただけだ」
「お話中失礼するわよ」
「「⁉︎」」
魔王、そしてベルディアという者達が話していると突然部屋の中に女の声が聞こえて来る。
彼等が驚愕し警戒の色を露わにすると、彼等から少し離れた位置にアキトがこの世界に飛ばされてきたのと同じ灰色のオーロラが現れる。
するとそこから黒い髪の女と、“サメと西洋の鎧が合わさったかの様なデザインの水色の鎧の戦士“。そして数人の“白いスーツ“を着た人間達が現れた。
「な、何者だ貴様ら!この城にどうやって入って来た!」
「ふんっ。この世界のアンデッドに少し興味があったので来てはみたが、こんな人間が腐り果てた姿が我々と同じ名を冠するとは期待外れも良いところだな」
「ッ!き、貴様急に出て来たかと思えば」「待てベルディア」
「ま、魔王様⁉︎」
鎧の戦士がベルディアを嘲笑うかの様な言葉を投げかけ、それに怒りを覚えた彼が傍に置いてあった大剣に手を伸ばそうとすると魔王から待ったがかかり、主の命令という事もあり剣を取る前にその動きは止めざるを得なかった。
そして魔王と呼ばれた男は突然現れた2人組に視線を向け直す。
「貴様等、何者だ。城の結界は破られたという報告は無かった筈だが」
「ふふふ、そう警戒しないで。私達は敵対したくて此処に来たのでは無いわ。
ただそう。協力関係を結びに来ただけなのだから」
「協力関係だと?」
「ええ。貴方達にとっても絶対に損の無い話だと思うのだけれど?」
「………」
こうして、この世界に存在しなかった筈の
本来なら存在したい筈の者達が集うこの世界の行く末とは…。