ゼンゼロ世界に来た元MSF兵さん 作:何処にでもいるエセBIGBOSS
その日は突然だった。
本来なら国家ですらないMSFには受け入れられる筈がないがヒューイ・エメリッヒ博士の独断によって渋々、受け入れるしかなくなったのだ。
その為にあらゆる対策をせざるおえずMSFのメタルギア、ZEKEを海中に隠し、見られたらマズい資料を処分するなど手間の掛かる事を山程した。
更に折りも悪くMSFのボスであるBIGBOSSことスネークは捕まったチコ、パスの救出の為に不在、ミラーが残ってはいるが更なる不安要素としてエメリッヒから査察団の警戒を解く事を名目に武装まで解除させられたのだ。
はっきり言えばMSFの兵士達は武装解除までさせられた事に不信感はあったがそれでもエメリッヒの貢献や仲間としての信頼もあってミラーも含めて渋々、了承した。
それが間違いだった。
予定通り査察団は来た。
ヘリが着陸した。
そのヘリの扉が開かれて人がぞろぞろと降りてくる。
明らかに武装した兵士が何名もいる。
ヒューイは何の躊躇いもなく査察団とおぼしき何かを案内してしまった。
その時から異変に気付いたが既に遅かった。
暫くの沈黙の後、突然の発砲、撃たれた仲間達、武装解除させられた事で抵抗がままならない。
仲間達が叫び、非武装での抵抗や後退を試みる者と関係なく死んだ。
奇襲を受けてから僅か数分。
MSFの拠点、マザーベースは爆発し、火に包まれていく。
仲間達が撃たれ続ける中、漸く武装した仲間が到着し、戦闘を行うも小さな抵抗だった。
突然の奇襲を受け、司令部は掌握されたのか指示が飛ばず、ろくな戦いにすらならなかった。
必死に抵抗を試みるMSFの兵士達の中に混じって戦う一人の兵士がいた。
「クソ!まだいけるかコヨーテ!」
「弾はまだあるが……こんな旧式じゃな……」
コヨーテと呼ばれた兵士は手にしているボルトアクションライフルのM40のボルトを引いて戻しながら溜め息を吐く。
武装解除していた事で本来ならMSF内で開発された中での最新の銃を使うものだが急な襲撃だった為、誰かが訓練用に持ち出して立て掛けてあった物を引っ張ってきたのがこれだった。
「贅沢言うな!仲間の中じゃ、銃持てるだけでもありがたいだろうが!」
「それもそうだな」
コヨーテはそう言って遮蔽物から乗り出してスコープを覗いて発砲、敵兵を倒し、ボルトを引いて戻し、再び狙って撃つ。
それを繰り返し、弾が切れたらリロードをするのを繰り返すが急拵えの装備の為、弾も多くなかった。
「コヨーテ!絶対に生き残るぞ!ボスが帰ってくれば何とかなる!」
「お前、それ言ったら」
コヨーテが不吉だと言いかけた時、先程まで話していた仲間が頭を撃ち抜かれて死んだ。
コヨーテはその姿を見て暫く沈黙するも死んだ仲間の目蓋を閉じてやった後で再び戦闘に戻ろうとした時、マザーベースのプラントが柱から崩れた。
コヨーテは崩壊に巻き込まれ他の仲間や敵と共に滑り落ちていく。
ここまでか。
コヨーテは諦めに似た感情を抱きながら冷たく暗い海へと滑り落ちていこうとした時、一騎のMSFのヘリがボスとミラーを乗せて飛び立つのを一瞬だが見る事ができ、コヨーテは笑った。
「必ず生きてくれボス……ミラー……」
コヨーテはそれだけを言った時、そのまま瓦礫が落下する夜の海へと落ちた。
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コヨーテは強い光を感じ、重い目蓋を無理矢理開けながら体を起こした。
「……何だ此処は?」
海に落ちた筈のコヨーテは今、海でも密林でもない文明的な都市部のコンクリートの上で目を覚ました。
周りは何処かの街の様だが黒と一部だけ緑あるの結晶が所々生えていて何処から見ても普通じゃなかった。
コヨーテは唖然としつつも次に体に視線を移し、観察し、戦闘服を触るも濡れた様子や感触もない。
「何だ……何が起きている……?」
どうして生きて、どうしてこんな所にいるのか分からずに混乱しつつも現実に対処する為に立ち上がるのだった。