ゼンゼロ世界に来た元MSF兵さん 作:何処にでもいるエセBIGBOSS
姜霊からの依頼、コヨーテは今後の事を考えて受ける事にした。
最初はツイッギーに猛反対されたがコヨーテは粘り強く説得した結果、ツイッギーは渋々、受け入れた。
コヨーテは依頼元のホロウへ赴くと無線を繋げた。
「此方、コヨーテ。通信は繋がるか?」
《此方、ツイッギー。貴方の声が聞こえる。無事に繋がったわ。ホロウの中だから無線が延滞する可能性があるから注意して任務の予定地へ向かって頂戴。それと無理は》
《大丈夫大丈夫!何たって私が一から設計したんだよ。アレなら間違いなくエーテリアスを凪払えるよ》
今回の任務にはコヨーテのサポートとしてツイッギーは勿論、責任者兼兵器の解説と等のサポートをすると姜霊が無線に加わっている。
《……あのねぇ……貴方専用の周波数は用意してる筈よ……分かり混まないで頂戴……》
《ハイハ~イ。それじゃ、コヨーテ君。キャロットにはもう既に最初の目的地をマークしてるからそこへ向かってね~。それと今回は君の補佐、バディとして私のボンプのフメちゃんを貸してあげてるから壊さないで連れ帰ってね~》
姜霊のその言葉にコヨーテは見下げるとそこには兎の耳をした丸い体格をした何かがいた。
「ンナ!」
言語も明らかに異なるこれをコヨーテはボンプと言う存在だと教えられていた。
キャロットデータを搭載する事でホロウ内の案内の他、機能によっては戦闘や他の作業もこなせと言う愛くるしい見た目をしたロボットだとコヨーテは聞いた時、この小さなロボットで大丈夫なのかと不安になった。
「本当に大丈夫なのか?道中でトラブルの末に壊れたりしないか?」
《まぁ、確かにボンプは子供ぽい所とかあるし、情けない所も多いよ?でも、間違いなくホロウ内ではボンプは必要な存在。舐めてちゃいけないよ。そうだね……もし、君がボンプを気に入って自分専用のボンプを手に入れたら改良に協力するよ。これはあくまで試用期間と言う感じで試してね》
姜霊のその言葉にコヨーテは姜霊は自分達の部隊に居座る気満々だと言うのが丸分かりだった。
そうでなければ改良に協力するなど言わない。
亡命に必死になっている奴が呑気にボンプの改良をするなど考えられないからだ。
《ボス。俺はエーテリアスについて知る限りで教えさせて貰います。ボスは……その……エーテリアスについて疎いと言うか……》
「分かっている。エーテリアスの種類や対処法を遠慮なく教えてくれ」
リュコスはエーテリアスの種類及び対処法を専門に教える役割に回った。
伊達に軍にいた訳でなく、軍人としてエーテリアスの種類や対処法を熟知している。
その知識をまだまだホロウやエーテリアスと言った敵対存在に疎いコヨーテの補佐をする事で補う役目をツイッギーに任命される形で着いた。
《ボス。時間が惜しいわ。ホロウ内では侵食現象があるのを忘れないで。幸い、貴方の耐性はかなり強力だけど流石にずっとはいられない。私みたいに四肢を無くしたり、エーテリアスになりたくなければ任務を速やかに遂行して》
ツイッギーのその言葉にコヨーテは頷くと鹵獲して使い回している小銃を手に行動を開始した。
《へぇ、珍しい。使ってるのXR-66じゃん。XR-66は昔、防衛軍が正式採用してた対エーテリアスを基本とした軍用小銃だよ》
「軍用小銃?軍用なら何で郊外のごろつきが使ってたんだ?」
《知らなーい。旧式だし、いらないからって横流しされたんじゃない。普通なら厳格な管理下の元で処分されるけどそうやって武器や兵器の横流しをする悪ーい兵士さんもいるんだ》
「何処の世界でも腐敗はあるもんだな」
コヨーテはそう言いながらXR-66を構えながら歩く。
壊れた建物や黒い結晶が乱立する中、目的地までやってきた。
そこには数人の兵士とその中心に兵器らしき物が置かれていた。
「お疲れ様です。これが運用して貰う兵器となります」
意外と親切な物言いにコヨーテは軽く戸惑っていると姜霊はクスクスと笑いながら言う。
《その人達も転職希望者でね。君の元に行くかは結果次第で決めるつもりらしいからね。もし、この人達のお眼鏡に叶ったら君の元で働くつもりだから下手な事は言わないよ》
「試される気分がして嫌なものだな」
《仕方ないよ。だって知らない人間に軍でのキャリアを全て捨ててで命も賭ける価値があるのかは気に兵器を見る。なる所じゃん。大目に見てやってよ》
姜霊のその言葉にコヨーテは仕方ないと思いながら兵器を見てみる。
大きさはだいたい大人一人分の大きさであり、ガトリング砲が取り付けられ、更に特徴的なのは脚があるのだ。
「二足歩行兵器か?」
《珍しいでしょう?二足歩行兵器は既に確立されてるけどこれは敢えて有人機にする事でコストを減らせられると思って作った副産物なんだ》
「副産物?これが?」
《うん。私が関わってた研究の奴はもっと大きくて強力になる筈だったんだよね~。でも、軍の御偉いさん達は自分の権力を強めて地位を欲するばかり。私の研究が成功していたら人類は虚狩りに続くホロウに対する抑止力を得られたかもしれないのにね》
姜霊のその言葉に色々と違和感を覚えたコヨーテだが今は目の前の兵器を使う事を考えた。
コヨーテは二足歩行兵器に乗ると姜霊の説明が始まる。
《起動の仕方は分かる?ボタンをポチポチしてそこでレバー持って……うんうん!できた!》
姜霊の説明を受け、コヨーテは二足歩行兵器を起動させる事が出来た。
少し揺れながら動き出した二足歩行兵器にコヨーテはしっかりと操縦する。
「結局、こいつは何て名前なんだ?」
《それの名前?敢えて言うなら……歩く歯車、ウォーカーギアとでも言えば良いかな》
「ウォーカーギア……か……」
コヨーテは二足歩行兵器、ウォーカーギアとかつてMSFの抑止力であったメタルギアZEKEと重ねた。
大きな違いはサイズだがそれでも二足歩行兵器の観点は世界は違えど同じ結論を持つ者がいるものなんだと思いつつウォーカーギアを走らせた。
ガシャガシャと特徴的な足音を鳴らして走らせるウォーカーギアにコヨーテは揺らされていると目の前に化け物、エーテリアスが現れた。
片腕が無く、その代わりにもう片方の腕は大きなブレードとなっている。
《ボス。そいつはティルヴィングです。最も目撃されるエーテリアスの一種で驚異としてはそこまで高くありません。攻撃は基本的に近接戦闘しか行えませんので安全に戦うのなら距離を取ってからが良いですね。只、驚異は低いとは言え、数が揃えば厄介な相手です。ですので基本的には騒ぎが大きくなる前に処理してください》
リュコスの説明を聞き、コヨーテは手早く仕留める為にウォーカーギアに搭載されているガトリング砲を使用し、射撃を開始した。
甲高い回転音と共に爆発的なスピードで撃たれる銃弾はティルヴィングにとっては過剰過ぎる火力だった。
《よーし!ガトリング砲の威力は十分にあるよ!引き続きテストを行ってね!最低でも10体は排除して貰わないとデータとして取れないから》
姜霊が興奮気味にそう言って通信が切られると同時に他のエーテリアス達が現れた。
先程のティルヴィングと今度は両腕の無いエーテリアスがいる。
《あれはアルペカですね。ティルヴィングと似てますがその特徴的なのは両腕が無く、その代わりに頭から撃ち出されるエーテル弾で遠距離攻撃してきます。動きや攻撃は遅いですがティルヴィングと共に現れれば気を取られて被弾する事が多かったですね。ティルヴィングの対処も必要ですがアルペカの攻撃にも注意してください》
リュコスの解説を聞き、コヨーテは続々と現れるティルヴィングとアルペカを相手にウォーカーギアを動かしながらガトリング砲で蹴散らしていく。
移動しつつ強力なガトリング砲での攻撃は効きすぎてエーテリアスが可哀想になる程の成果だった。
「移動しながらガトリング砲を撃てるのは利点だな」
《そうね。今までは固定砲やヘリに装備するのが一般的だった。何しろ重くて反動で扱いにくい。個人傾向のガトリング砲を開発しようにも重さと反動をどうにかしないと意味もない。でも、このウォーカーギアは兵器の装備とは言え、これだけ地上で移動しながら安定してガトリング砲を撃てる……量産して配備されたら戦いは変わるでしょうね》
《でも、それすら中止になりそうなんだよね~。曰くウォーカーギアなど無くとも有能な兵士達と現存の機械ユニットだけで十分だそうよ。上は分かってない。兵器は高いだけの飾りじゃない。確実に勝利を掴むに足り、生き残る事のきっかけとなるものが兵器なのよ。いくら有能な兵士がいてもそれは人間。一度死ねば替えは効かないんだから》
姜霊はそう言ってクスクスと笑う中、コヨーテは接近して攻撃して様としてきたティルヴィングにウォーカーギアの脚で器用に蹴りを入れたぶっ飛ばした。
《うおッ!?その発想はなかった!メモメモ!》
姜霊はコヨーテのウォーカーギアでの行動を見てメモを始めた時、上空から何か大きなものが落ちてきた。
「何だ……?」
コヨーテは土煙が立ち込める箇所をマジマジと見ているとそこには今までに会ったエーテリアスよりも遥かに大きいエーテリアスがいたのだ。
《ボス!そいつはファールバウティです!見た目通り、近接戦が主体ではありますがティルヴィングとは違って頑丈でパワーもあります!無闇に戦えば簡単にぺしゃんこにされかねません!今は退くべきです!》
リュコスのその言葉にサポートに回るツイッギーも緊張に包まれる中、それを破る者がいた。
《いいえ。ファールバウティと戦ってください。精鋭級のエーテリアスとの戦闘データを取る良い機会です》
《馬鹿を言わないで!私達のボスを殺すつもり!?》
姜霊のその言葉にツイッギーは怒鳴ると姜霊は続ける。
《ファールバウティ程度で逃げるなら大した事はありませんね。この先もチマチマと小さな仕事をしていれば良いです。ですが……ファールバウティを討伐するだけの器量があるのなら兵士達は認めるでしょう。貴方は組織を纏める力を持ち、尚且つ十分な戦闘力もあると。損は無いです》
《今のコヨーテにはファールバウティと戦うだけの装備は無いわ!あのウォーカーギアと言う兵器が通用するのかすらも分からないのにそんな賭けなんて出来ない!コヨーテ!話を聞く必要はないわ!また機会を探れば良い!今は退いて!》
姜霊とツイッギーの意見が食い違い、コヨーテは決断をする前にファールバウティは動いた。
ファールバウティの大きな腕が振るわれ、コヨーテはウォーカーギアでは避けられないと考えて飛び降りる様に捨てるとファールバウティの一撃でウォーカーギアは壊れた。
《あぁッ!?ウォーカーギアがぶっ壊された!?》
《だと思った……コヨーテ!逃げなさい!早く!》
ウォーカーギアが壊された事で火力が大幅に落ちたコヨーテはXR-66を構えつつファールバウティにどう対処するかを考えていた時、ファールバウティの上に放置されていたクレーンに不安定にぶら下がった鉄骨をコヨーテは見つけ、クレーンのワイヤーの固定部に向けて発砲、固定部は壊れ、ワイヤーごと鉄骨が落ちた。
ファールバウティはコヨーテを攻撃しようと迫ろうとした時、鉄骨がファールバウティの上に落ち、突き刺さる様にぶつかった。
鉄骨が突き刺さり、ファールバウティは悶えている所をコヨーテは逃さず、XR-66の銃口をファールバウティのコアに向けてフルオートで撃つ。
激しい発砲音と薬莢が飛び散る音、放たれる銃弾。
コヨーテの攻撃は容赦なくファールバウティのコアを撃ち抜き、ファールバウティはそのまま動かなくなった。
《スゲェ……ファールバウティを倒した……》
《全く……とんだ無茶を……コヨーテ。一先ず目標は達成……以前に必要な兵器は壊れたから帰還して。姜霊もそれで良いわね?》
《うぅ……仕方ありません……データを元にもっと改良しないと……》
姜霊は明らかに落ち込んでおり、ツイッギーの溜め息が無線越しに聞こえる中でコヨーテはリロードをしながらその場を後にした。
「ンナ……」
うっかりフメの事を忘れかけていたコヨーテは慌てて回収して今度こそその場を後にした。