ゼンゼロ世界に来た元MSF兵さん 作:何処にでもいるエセBIGBOSS
コヨーテはツイッギーと共に朱鳶達に連れ出される形でホロウから出るとすぐに病院へ向かった。
病院に着くや否やツイッギーはタンカーに乗せられて医者と看護師に運ばれて行くとコヨーテはコヨーテで治療室送りとなった。
侵食を受けていなかの検査やら怪我の確認やらと色々な検査を受けさせられ、コヨーテは疲れ果て、嫌気がさした所で服やバラクラバを脱がされてパジャマ姿にされて漸く病室のベットに寝かされた。
医者曰く、目立った侵食や怪我も無かった為、一日入院だと言われた。
ツイッギーは四肢の侵食が酷いのかまだ手術室から出てこないらしくコヨーテが病室のベットで横になっていた所で朱鳶ともう一人、先輩と呼ばれていた小柄なツインテールの治安官が来た。
「失礼します。事情聴取に来ました。コヨーテさん……でよろしいのですね?」
「そうだ。それで何が聞きたいんだ?」
「では、始めに何故ホロウに入ったのかを詳しく話してください」
朱鳶はそう言ってメモ帳とペンを取り出してコヨーテの発言を記録する用意をするとコヨーテは取り敢えず経緯を説明した。
気が付いたらいて、暫く歩いて、そこでホロウレイダーからツイッギーを守って一緒に彷徨って朱鳶達に見つかり今に当たる事を言った。
朱鳶は経緯のだいたいは信じたが気が付いたらホロウにいたと言う所は釈然としないのか何度も確認された。
「言ったが本当に知らないだよ。ホロウなんて場所にいつの間にかいたぐらいしか」
「あのホロウは突然発生したものではありません。それにホロウを知らないなど……失礼を承知や上ですが貴方は記憶がハッキリとしていますか?」
「一応正常だと医者からの御墨付きだ。嘘だと思うなら聞いてこい」
コヨーテと朱鳶の言い合い染みた聴取に側にいた治安官が止めに入った。
「朱鳶よ。恐らく、その者が言っている事は正しいのだろう」
「しかし先輩」
「確かに記憶に影響があるやもしれぬがあのツイッギーと言う娘を助けたのは事実。嘘を言う通りもないのだろう。今回は此処までにして情報の整理を着けてから出直せば良かろう」
「……わかりました。ではコヨーテさん。今回の事情聴取は此処までとさせて頂きます。また後日改めて参りますのでこれで失礼致します」
朱鳶はそう言って先輩の治安官と共に去り、残されたコヨーテは漸く静かになった病室で溜め息をついてベットに寝転ぶもツイッギーの事が気掛かりになり、立ち上がって病室から出た。
暫く歩いて手術室の前へと来ると丁度、ツイッギーの手術が終わったのか扉が開いてタンカーに乗せられたツイッギーが看護師達に押されて運ばれていく姿を見る事になる。
手術の終えたツイッギーは四肢を切られて無くし、汗をかき、苦しそうな表情をしているのをコヨーテは確認するとそこへ手術をした医者が来た。
「お連れの方ですね?彼女の手術は終わりました。四肢は無くしましたが命は問題ありません。しかし……」
「しかし何だ?」
「……彼女は……麻酔が効きませんでした……」
「何だって?」
コヨーテはそれを聞いて驚くと医者は気まずそうに告げる。
「麻酔を投与したのですが麻酔が効く様子がなく我々としても迷いましたが彼女が麻酔無しによる手術を望み……止む終えず……」
「そのまましたのか?」
「はい……激しい痛みがある中でも声を挙げずに耐えて……終わった時には疲れ果てて今は眠る様に気を失っています……」
「そうか……」
コヨーテはツイッギーがクローンとして何かしら遺伝子を弄られている可能性を考えた。
麻酔が効かないのは麻酔への耐性の強化。
それがすぐにでも頭に過る。
BIGBOSSも敵の殺傷を避ける際には麻酔銃の類いを使用している事が多く、それを思えば麻酔を使った道具を使用してツイッギー達、シルバー小隊の確保を狙ってくる相手も想定されていたと思えば筋は通る。
問題は何処まで遺伝子が弄られているのかだ。
もし、麻酔耐性以外でも何か弄られてデメリットを持っているなら注意しておくべきだからだ。
「取り敢えず俺は病室に戻る。あれじゃまともに話せないだろうからな。それとあまり気に病まないでくれ。麻酔が効かなかったのは彼奴の体質であってお前の腕のせいじゃないからな」
「心得ておきます。それと彼女の病室は202号室ですのでまた顔を見せに行ってあげてください」
医者はそう言ってコヨーテに頭を深く下げ、コヨーテは頷いた後でその場を去った。
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その夜の深夜、コヨーテは久しぶりの快適なベットの上であるのに眠れずにいた。
ツイッギーの体質に麻酔耐性の類い。
それに伴う治療の難航によって彼女はハッキリ言って死んだ方がマシな苦痛を受ける事になってしまった。
コヨーテはそれを思うとツイッギー達を何の都合で生み出したのか分からない奴等に対して忌避感を覚える。
「BIGBOSSはクローンには否定的だったな……今なら分かる……あまりにおぞましい過ぎる……」
コヨーテは眉間に皺を寄せてそう呟いた時、ヘリのプロペラ音が聞こえた。
深夜の夜だ。
そんな時間にヘリが飛ぶなど有事でもないとあり得ない。
コヨーテは体を起こしてカーテンで仕切られた窓の外をそっと覗くと一機のヘリが飛んでおり、そこからロープを使って降下してくる兵士の様な者達が見えた。
「……明らかにヤバい奴等だな」
コヨーテはそれを見て明らかに普通ではないと悟るとパジャマを脱ぎ捨てて元の戦闘服へと着替え直すと病室からすぐに出た。
ツイッギーのいる病室、202号室へ急いで向かっているとライトの光が見え、コヨーテはすぐに近くの角に潜むと先程、降りてきていた兵士と似た装備の三人程の兵士が銃を構えてクリアリングをしながら歩いてきていたのだ。
ライトの光は銃に取り付けられたアタッチメントのもので彼処で出ていたら即座に撃たれていた。
兵士達が進んだ先にはツイッギーの病室があり、コヨーテは見つからない様に急いで進もうとするも兵士達は近くの病室の扉を開けたのだ。
「だ、誰だ!?」
「何なの貴方達!?」
病室には患者がいたのかそんな声が聞こえた所で乾いた音が何回か響いた。
サプレッサーの音だった。
患者は生きてはいないだろうとコヨーテは考えると兵士達は病室から出ては病室を開けては撃つを繰り返している。
「まさかこの病院の人間を皆殺しにするつもりか?」
コヨーテは嫌な想像を抱いていると廊下に足音が響き、コヨーテは見てみると看護師が騒ぎを聞き付けてきたのか懐中電灯を片手に来ていたのだ。
「誰ですか?一体何を……」
看護師の話す途中でその首は血で染まり、床は血の溜まりが出来る。
ナイフで切り裂かれて死んだ看護師を他所に兵士達は前進を続けていく。
幸いにもツイッギーの病室の方向とは違う方面へ歩いて行き、コヨーテはその隙を逃さずに通り抜ける。
何度か兵士達と遭遇しそうになりつつも漸くツイッギーの病室へ来るとコヨーテは扉を静かに開け、中に入るとすぐに閉めた。
「誰?」
コヨーテはその声を聞き、安堵すると振り返って声の主に視線を向ける。
そこには四肢が無いツイッギーが虚ろな目でコヨーテを見ていた。
「俺だ。コヨーテだ。ちょっとしたトラブルが起きた。逃げるぞ」
コヨーテはそう言ってツイッギーの元へ行こうとすると。
「コヨーテ……知らないわ……抵抗の出来ない私を慰み者にするつもり……?」
そんな返事が返ってきた。
コヨーテは唖然としているとツイッギーの瞳に徐々に光を取り戻してくるとハッとした表情を一瞬だけ見せて溜め息をつく。
「思い出したわ……コヨーテ……私を助けた物好きね……」
「どうしたんだ?痛みのせいで記憶が飛んだのか?」
「私達は一定のダメージを受けたりすると記憶を一時的に低下したり混乱したりするのよ……そんな風に私達は作られた……麻酔耐性もね……それでもクローンとしての恩恵で死ぬ様な傷を負っても回復する可能性があるのは確かだけど……流石に手足は生えてはこないけどね……」
ツイッギーはそう言って力無く笑う。
「……胸糞悪い話だ。だが、今はお喋りしている暇は無い。逃げるぞ。この病院に武装した連中が患者や看護師を殺し回っている」
「武装した連中?……まさか……私を……」
ツイッギーは脳内に出した予想を浮かべる前にコヨーテに担がれた。
「ちょっとまだ痛いのよ……」
「我が儘言うな。逃げるのが先だ」
コヨーテはそう言ってツイッギーを連れての脱出を目指して病室から出るのだった。