ゼンゼロ世界に来た元MSF兵さん   作:何処にでもいるエセBIGBOSS

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惨劇の病院~前編~

ツイッギーを保護したコヨーテは病室から出た所で悲鳴が響いた。

 

「だ、誰か!誰か助け」

 

女性の患者が泣き叫びながら走っている所を背後から撃たれ、倒れるとそこへ襲撃者の兵士がやって来て何発か発砲してトドメを刺した。

 

その光景を見たコヨーテは音を立てない様に静かに反対方向へと歩き、脱出の為の道を模索する。

 

病院の様な閉所な空間ではどんな遭遇の仕方をするのか分からない。

 

あらゆる予測を立てて動くしかなく、コヨーテは警戒を保ちながら歩き続けていると何処からか子供の泣き叫ぶ声が聞こえた。

 

「ママぁ!パパぁ!」

 

そんな悲鳴に似た泣き声が聞こえていたがすぐに静かになった。

 

コヨーテはどんな結果になったのか予想がつき、考えない様にしているとツイッギーの様子がおかしい事に気づいた。

 

「わ、私の……私のせいで……私が此処に来たから目を付けられて……」

 

「ツイッギー?」

 

「私のせいで……ごめんなさい……ごめんなさい……!」

 

ツイッギーはこの惨状が自分のせいだと自分で責め立て始め、コヨーテは何とも言えない気分になりつつも先に進む。

 

「お前の責任だって決まった訳じゃない。もしかしたらもっと別の何かがあって」

 

「別の何かって何よ……私はシルバー小隊の生き残りよ!私は軍にとって都合の悪い事を知ってるし、この身がそうよ!棄てられて死ぬなら兎も角、治安局みたいな公的組織に保護されたのを聞いて火消しに来たに決まってる!生き残って不都合な事実を話されたくないからよ!」

 

「落ち着け。そんなに騒いだら」

 

興奮するツイッギーを落ち着かせようとコヨーテは宥めようとした時、足音が聞こえた。

 

しかも小走りのだ。

 

「マズい……!」

 

コヨーテは慌てて周りを見渡して近くに病室があるのに気付くとそこへ飛び込み、ベットの方へ行くとツイッギーをベットの下に押し込み、コヨーテ自身もそこへ隠れた。

 

暫くすると病室に何人かの兵士がやって来て捜索を始めた。

 

カーテンで覆われた他のベットを見て周る足音にコヨーテの胸が緊張で高まっていた時、奥のベットのカーテンが開けられると。

 

「ヒィッ!?た、助け」

 

他に隠れていた患者がいたらしく不運にも見つかったその患者は兵士に撃たれて倒れるとベットの下の床に這いつくばるコヨーテとツイッギーを見つけたのか手を伸ばしてきた。

 

「た、助けて……」

 

か細い声が響く中、兵士が患者の足を掴んで引き摺り始めた。

 

「嫌だ嫌だ嫌だ!た、助けて!助けてくれ!頼む!助けてくれぇ!」

 

患者の懇願の声が響き、ツイッギーの精神が再び乱されたのを感じたコヨーテが手でツイッギーの口を塞ぐと乾いた音が何度も響いた所で足音がゆっくりと遠ざかっていくのをコヨーテは感じ、軽く溜め息を吐いてツイッギーを見るとツイッギーは罪悪感から泣いていた。

 

「また私のせいで死んだ……彼処で私が……!」

 

「良いから今は静かにしてろ。罪悪感を感じるのは此処を出てからだ」

 

コヨーテはそう言ってツイッギーを再び背負うとすぐに動く。

 

何度も兵士達が現れたり、殺される患者を目撃し続けるコヨーテとツイッギー。

 

コヨーテは胸糞が悪くなる光景に苛立ちを覚え、ツイッギーは泣き続けた。

 

何とか病院の出入口まで来たがそこは兵士だらけであり、とてもまともに突破出来そうになかった。

 

「仕方ない……別ルートだ」

 

コヨーテはそう言って引き換えそうとした時、声が聞こえた。

 

「シルバー小隊の生き残りを見つけたか?」

 

「申し訳ありませんヴェイル大佐。未だに発見には至っておりません」

 

「お前達は何をしている?手足を無くした小娘だぞ?逃げられる訳がない。探せ。そして必ず仕留めろ。それと目撃者と関係者の処理を忘れるなよ」

 

「ハッ!」

 

命令を聞いた兵士は敬礼して立ち去るとヴェイル大佐と呼ばれた軍服の女は深い溜め息を吐いた。

 

「大人しく野垂れ死んでくれればこんな苦労などしなくても済んだものを……まぁ、良い。公的組織に身柄が渡らなければ良い話だ。もし見つからなければ此処ごと消すのみだ」

 

ヴェイルはそう言って病院の外へと向かって歩いて行った。

 

話を聞いたコヨーテは今回の襲撃の首謀者はヴェイルだと知った時、泣いていたツイッギーがヴェイルの後ろ姿を見ていた。

 

「彼奴……私は何度も見た事がある……」

 

「知り合いか?」

 

「知り合いじゃない……でも、私達に何かしら関わりを持っているのは間違いない……彼奴が此処を……此処の人達を……!」

 

ツイッギーはそう言って怒りに満ちた顔になる。

 

「殺すなら私だけにすれば良かった……病院にいた人達は何も関係がなかったのに……許せない……殺してやる……絶対に……何れだけの時間が掛かっても……彼奴だけは殺してやる……!」

 

ツイッギーの怒りと憎しみに満ちたその言葉にコヨーテは何も言わず別ルートの脱出地点を探す為に移動する。

 

コヨーテは長時間の隠密と緊張、ツイッギーを背負っての移動で体力を磨り減らす中、その道中で看護師や医者達が患者達を避難させようとしていた。

 

「此方です!」

 

「慌てずに指示に従って行動してください!」

 

そんな言葉が飛び、コヨーテはどうするか考えていると激しい銃撃が避難中の患者や医者、看護師を撃ち抜いていく。

 

悲鳴が響き、血が流れる。

 

コヨーテはすぐに引き返して必死に脱出路を探していると足音が聞こえ、コヨーテはすぐ近くの病室に入り込んでやり過ごそうと試みた。

 

だが、入った病室には何も置かれておらず隠れられる場所が無い。

 

「クソ……!」

 

コヨーテは引き返そうとした時、病室の扉の場所では兵士が既におり、ライトの付いた銃口を向けていた。

 

「コヨーテ……」

 

「すまない……俺のミスだ……」

 

コヨーテとツイッギーは死を覚悟して兵士を睨みつけ、兵士は二人を撃ち殺そうと銃の照準を向けた。

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