久しぶりに東方の小説を書いているのですが、いかんせんどうにも進みません。
けれどどうしても完成させたいので、自分自身の背中を叩くためにも分割して投稿させて頂きます。
次は何とか来週中にはかき揚げたいです…
私は、知ってしまった。
透明だった世界には、鮮やかな色があった事を。
目的が増えることの、難しさと楽しさを。
誰かと過ごす時の温かさを。
一人で過ごす夜の寂しさを。
長い時を生きてきた私は、覚えてしまった。
誰かの為に何かを成す事の喜びを。
誰かに自分の事を想ってもらえる嬉しさを。
大切なモノを守りたいと言う感情を。
大切なモノを失ってしまうと言う絶望を。
長い長い時間のなかで、短い短い自分を強く感じる。
何もなかった長い時と、全ての詰まった短い時。
そんな私の、おそらくありふれた日々の1ページの話。
「今日も疲れたわね…」
始まりは、特に何もない1日の終わり。
大してなんの感動も無い夕暮れの町を、買い物袋を抱えて歩く私。
新しい糸と生地を調達した私は、のんびりと魔法の森にある自宅へ向かって歩いていた。
今日も前と同じ行動の繰り返し。
自分の目標である自律人形の作成にかなり行き詰まっていた私は、何か気晴らしになる様な事が無いかとぶらぶらしていたのだけれど。
残念ながらそんな都合のいい事が起きる事もなく1日が終わろうとしていた。
「はぁ…」
思わず溜息を吐いてしまう。
まぁ幻想郷へ来てからずっと続けている研究にそんな直ぐに進展が訪れる筈も無い。
自分で言うのは難だが私は割と優秀な魔法使いだと思っている。
そんな私が成すべき目標が、1日や2日で解決されても困るのだけれども。
ふと横を見れば、1人の男が地面へ座っていた。
町の出入り口まであと少しという所で、目に映った1人の男。
こんな時間に1人で何をしているのだろう?
普段なら特に気にせず歩き過ぎる筈だったけれど、今日ばかりは少し興味が湧いた。
よく見れば、その男の傍に数体の人形が置いてある。
何となく気になって、珍しく私から人に声を掛けてみた。
「貴方、人形師?何をしているの?」
「おや、こんばんは。貴女こそこんな時間に何方へ?」
疑問に疑問で返されてしまう。
まったく、きちんとした敬語を使える癖に礼儀はなっていないのね。
と、それ以前に私の方こそ挨拶をしていなかった事を思い出し少し恥ずかしくなる。
「こんばんは。私の家は魔法の森にあるのよ」
「成る程。僕は確かに人形師ですよ、まだまだ未熟者ですけれど」
そう苦笑し、少しばかり人形を操る。
確かにまだまだ腕は拙い。
人に見せるには些か早過ぎるだろう。
けれど、それを動かす彼の表情は生き生きとしていた。
「時折、小さい子供が喜んでくれるんですよ」
きっと今の彼の目には、手を叩いて喜ぶ子供が映っているのだろう。
だからこそ、彼もとても楽しそうに操る。
特に何の見返りも求めない人形劇。
何ともまぁ心温まるお話だ。
けれど、既に私の興味は薄れ始めていた。
「そう、まぁ頑張ってね」
そう言って、町の外へと出ようとする。
その時だった。
「貴女も人形師なんですか?」
「え?えぇ…まぁ、そうよ」
既に終わった会話だと此方は思っていたけれど、向こうはそうとは思っていなかった様だ。
仕方なく振り向き、愛想を振りまく。
「よろしければ、少し見せて頂いても?」
「…構わないわよ」
ここで変に断る理由も無い。
適当に上海を見せれば事足りるだろう。
そう思って半自律人形である上海を周囲に漂わせる。
「わぁ…凄い…」
「ふふっ。これでも、かなり長い時間研究を続けているんだもの」
珍しく誰かに褒められ、少しばかり上機嫌になる私。
単純?何とでも言うがいい。
自分の研究、練習の成果が人に褒められれば嬉しいものだ。
特に上海は私の人形の中でも屈指の出来栄え。
この様に、まるで生きているかの様に自由に動かす事が出来る。
何となく、彼の肩に上海を着地させてみる。
意味もなく、彼の服を掴ませてみる。
こんなに自由自在に動かせるのよ、というちょっとした自慢だった。
「凄い…語彙力が無くて他の言葉が浮かばないけど、本当に凄いです!」
「ありがと、上海も喜んでいるわ」
「よければ、弟子にして頂けませんか?」
「勿論構わないわよ」
……
……は?
今、彼は何と言った?
そして私は何と答えた?
「ありがとうございます。これからよろしくお願いしますね」
「え、あ、えぇ…よろしく」
落ち着くのよ、私。
ビークールビークール、焦っては事を仕損じるわ。
既に何かを仕出かしてしまった後の様な気がするけれど。
そんなこんなでそんな風に。
私の物語に色がつき始めた1ページ目は、ほんの一瞬の出来事から始まった。
恐らく普通のラブストーリーになるかもしれません。
リハビリなので、じゃっかん文章が変になっているかもしれません。
コメント等で教えていただければ幸いです。