今回はタイトルでヒロインが分かるかもしれませんね。
はい、僕の嫁です。
異論は認めません。
平均文字数を6千以下に戻したいので、今回も若干短いです。
5千文字数切ったのはこのシリーズだと初めてです。
では、どうぞ
すみませんね。
こんな時間に呼び出してしまって。
そろそろ人間である貴方は眠くなってくる時間ですよね?
大丈夫、気にしていない?
寧ろ会えて嬉しい?
ふふっ、そうですか。
それはよかったです。
…え、そんな事言ってないのに、ですって?
まぁまぁ、今から話しますので今は気にしないで下さい。
そう緊張しないで下さい。
…って言っても難しいですよね。
少し、私の話を聞いてください。
貴方が来てから、なんだか館が明るくなった様な気がするわ。
いきなり何を言い出すんだ、なんて思わずに。
出来れば真剣に聞いて欲しいですね。
こう見えても私だってとっても緊張しているんですから。
何百年生きていても、やっぱり緊張と言うのは慣れないものですよ。
お空は以前にも増して楽しく喋るようになったわ。
別に貴方の事を馬鹿だと言っている訳では無いけれど、貴方達の会話は聞いてて笑顔になる。
私が笑ってしまうのは、話の展開が全く読めないからかしら。
お互い何も考えずに会話しているんでしょうね。
お燐も立場を気にせず会話出来る仲間が増えて喜んでいるわ。
お空以外に人型を取れるペットがあまり居なかったから嬉しかったのでしょうね。
私やこいしとも打ち解けているのは分かっているけれど、それでもやはり主従関係と言う物を完全には無視出来ない。
何処かで壁を感じていたのでしょう。
こいしも、貴方のお陰で何かに踏ん切りがついたみたい。
馬鹿みたいに正直な貴方の言葉は、あの子を一つ変えさせる事が出来た。
今頃あの子は無意識だけでなく、意思を持って何かに挑んでいる筈よ。
それに、地上に大切な人が出来ただなんて姉としては喜ばしい限りだわ。
地霊殿の主として。
彼女達の保護者として。
改めて、お礼をさせてください。
でも。
一番変わったのは私でしょう。
影響されてしまった、とも言える。
変えられてしまった、とも言える。
別に貴方のせいにするわけではありませんけど。
少なくとも、以前の私がこんな感情と悩みを持つなんてあり得なかった。
ここまで言えば流石に気付かれるとは思いますが。
えぇ、そうですね。
私は、貴方の事が好きです。
両想いだ!ですか。
そうですね、分かっています。
分かっているんですよ。
分かっているからこそ…私は今、告白しているんです。
だから、無邪気に喜ばないで下さい。
私は今から、とても大事な事を貴方に打ち明けなければならないんですから。
貴方が喜べば喜ぶ程…お互いに辛い思いをしなくてはならないかもしれないんですから。
何処までも真っ直ぐなところ。
それでいて相手の事も考えているところ。
多分あげればキリが無い。
そのくらい、私は貴方の事を見ているつもりです。
それでも一番嬉しかったのは、忌み嫌われた存在である私の元で暮らす事に抵抗を覚えていなかった事。
それ以外の選択肢が無かったのもある。
けれども貴方は、自分でその道を選んでくれた。
きっと貴方は、私でなくとも優しく接していたでしょう。
それでも。
それが分かっていても。
やっぱり私は嬉しかったんですよ。
気付きませんでしたか?
貴方が来るたびに、毎日服装を変えていた事に。
私だって女の子なんですから、やっぱり意識して欲しかったんですよ。
出来る事なら、可愛いと言って欲しかったんですよ。
貴方が来るたびに、私が明るくなっていた事に。
最初の頃は少し冷たかったかもしれません。
それでも貴方と接していくうちに、少しずつ貴方と会える事が楽しみになったんですよ。
相手の心の中までは分からないよ、と。
貴方はそう思っているかもしれませんね。
それが普通です。
相手の心が分からないからこそ、告白まで踏ん切りがつかないのが普通です。
えぇ、普通…なんです。
でも、私には分かってしまう。
私が…普通じゃないから。
それが…覚と言う種族だから。
ごめんなさいね。
今までずっと、黙っていて。
最初からずっと分かっていました。
外の世界に残した恋人の事を、貴方がずっと気にしていた事を。
その事を気にしながらも、私達に心配掛けないようにと明るく振舞っていた事を。
本当は辛かったでしょう。
それでも貴方は、誰にも悩みを打ち明けずに暮らしていた。
私は心を読める。
当然、貴方の悩みに気付いていたわ。
最初は貴方の相談相手になろうと思った。
でも、気付いてしまったのよ。
もしそこで私が覚りだって打ち明けたら、貴方はもう私の事を信用してくれないんじゃないかって。
そのせいで余計貴方を困らせてしまうのではないかって。
いいえ、これはただの言い訳ね。
私は、貴方に嫌われるのが怖かった。
貴方に此処を出ていかれるのが怖かった。
何を勝手に、なんて思うかもしれないわ。
貴方の事を信用していなかった訳でもない。
それでもやっぱり、怖かった。
本当は最初の時点で覚りだって伝えておくべきだったのよね。
そしたら、きっと貴方は此処に居なかったでしょうけれど。
私は、やっぱり卑怯な女ですね。
貴方が私に好意を持っている。
言葉にしなくても、私には分かってしまうんです。
それを確認してから、今更こうやって打ち明けているんですから。
今の貴方なら私を許してくれるんじゃないか、って。
そんな打算があったからこそ、今の今まで伝えなかったんです。
黙っているのは、私だって辛かったですよ。
それでも、それ以上に。
貴方に私の元を去られる方が怖かったんです。
安心して下さい。
今は、貴方の心を読んではいませんから。
貴方が言葉にするよりも先に分かってしまうのが怖いから、なんですけどね。
先ほども伝えましたけど、私は貴方の事が好きです。
それについては、貴方も薄々勘付いていたでしょう?
…心を読むまでもありませんね。
顔にでていますよ。
心の中で貴方が私の事を意識する度に、私は赤面しないようにするのに必死でしたよ。
そして、それが余計に辛かった。
嬉しくない訳が無いんですよ。
貴方に可愛いと思ってもらえて。
先ほども言いましたけど、私だって女の子なんです。
でも、だからこそ。
私は貴方に黙り続けている事を悩んだ。
いつか言わなければならない。
そのくらいは分かっていました。
なら、まだまだ先でもいいかもしれない。
その方がより長く貴方と一緒に暮らしていられる。
いや、直ぐにでも伝えたい。
こんなに悩みながら貴方と暮らしたって辛いだけだ。
葛藤して眠れない夜も何度もありました。
自業自得ですけど、ね。
でも、私はもう耐えられない。
だからこうして貴方を部屋に呼んだんです。
想いを、悩みを打ち明ける為に。
さ、貴方はどう思いましたか?
貴方の好意を利用した女の事を。
貴方の心を読んでおいて、自分は何も伝えなかった女の事を。
悪いのは自分だと言うのに、悲劇のヒロインぶっている女の事を。
…ごめんなさい。
自虐的過ぎましたね。
これじゃ貴方が怒りづらくなってしまいますね。
やっぱり、私は卑怯なんです。
何処までも、狡い女なんです。
嫌われたくないから伝えず。
分かっているのに手を伸ばさず。
好かれたいから心を読み。
怒られないように卑下してる。
こんな女、貴方にとっては迷惑かもしれない。
鬱陶しく感じるかもしれない。
それでも私は、貴方が好きです。
貴方の事をずっと騙していたけれど。
それでも。
貴方の隣に居ても…いいですか?
「…何をニヤニヤしているんですか?」
「あぁ、お前と恋人になった日の事を思い出していてね」
「っ!忘れて下さいっ!思い出さないで下さい!!」
地霊殿のリビングから、騒がしくも幸せな会話が聞こえてくる。
会話の内容だけ聞けば、此処が旧地獄の一部だと判断出来る者はいないだろう。
照れ隠しに叫んでいる方が世界中の生き物から忌み嫌われる存在である覚妖怪だなどと気付く者など、尚更に。
何処ぞの橋姫が聞けば発狂しそうな程の幸せ度を振りまきながらティーカップを傾ける二人は、叫びながらもしかし笑顔だった。
特に、胸元に大きな瞳を持つ少女の方が。
…うん、恥ずかしいからもう脳内作家ごっこなんてやめておこう。
この語りをノートに書き写したら、外の世界で言う黒歴史ノートになるのでしょうね。
「思えばもう一年前か…時の流れって言うのは早いもんだな」
…心を読んでしまった私は、思わず赤面してしまった。
何が君と過ごす時間は、よ。
しかも思った後に心を読まれてる事を思い出して恥ずかしがらないでよ。
でも、こうして我慢せずに赤面出来るのも、貴方が私の事を許してくれたから。
あの時私が、勇気を出せたから。
…なんだけど。
「まさか自分で気付いて無かったとはな。第三の目を見られてるって事に」
…まぁ、うん。
あれよ、あれ。
私が打ち明ける以前に、貴方はわかっていたのよね。
私が覚妖怪だって事。
そもそも私が貴方の心を読んでいた時点で、貴方も第三の目を見ていたのよね。
何故かそれに気付かなかったわ。
恋は盲目だ、ですって?
大してうまくないわよ。
「いくら妖怪の知識が無い俺だって、それ見れば一目で分かるよ」
「…私の人生の最大の汚点だわ…」
罪悪感のせいで、貴方の心を深くまで読む事は避けていた。
そのせいで、なんとなく気付かれている事に気付けなかったのだ。
…うぅ、何度思い出しても恥ずかしい。
彼に打ち明けた後。
目をつむって彼からの言葉を待つ私に。
彼は申し訳なさそうに伝えてきたのだ。
…なんかすみません。流石にそれくらいは気付いてましたよ?と。
その時の私は、許してくれた嬉しさよりも恥ずかしさの方が勝って逆ギレしてしまった。
気付いてなんなら言いなさいよ!と。
まぁ黙っていた私の方が悪かったし、そもそも彼に非は一つも無いのだけれど。
でも、ある程度落ち着いてから私は気付いた。
…あれ?
覚妖怪だって分かっていたのに一緒に居てくれたの?
覚妖怪だって分かっていたのに私に好意を抱いてくれたの?
そう気付いてから私が泣き出すまで、少しも時間は掛からなかった。
貴方から見たら、物凄く情緒不安定な女だったでしょうね。
悲しんで沈んで怒って泣いて。
今思えばかなり迷惑を掛けてしまっていたわね。
よく嫌われなかったものだわ。
「まぁまぁ、迷惑掛け合うのも恋人の特権って事で」
「…何それ。と言うか何で分かったのよ」
貴方は覚りでは無いのに。
何故か時々、私の心を読まれてしまう。
心を読むのは私の特権だと思っていたけれど、どうやらそうでも無かったようね。
妖怪の近くで生活していると妖怪化してしまうと言う話を聞いた事はあるけれど、もしかして貴方も覚り妖怪に近付いているのかしら。
「まぁ、一年もずっと一緒に過ごしていればな」
何よその理論。
そんな簡単に覚り妖怪のアイデンティティを奪わないで欲しいわ。
なんか悔しいから、私も貴方の心を覗く。
照れ隠しが混じっているのは内緒。
何でもいいから今の貴方を恥ずかしがらせる様な記憶を…
…っ!?
「なんて事考えているのよ!」
「多分そろそろ俺の心を覗くだろうと思ってね」
随分と私の事を理解してくれやがるわね。
嬉しいんだか悔しいんだか分からないわ。
いや、うん、嬉しいのだけど…
…ってそうじゃないわ!
「だからってエッチな事妄想するのは禁止よ!だからあぁもぅコラ脱がすな弄るな!」
「ははっ、別に妄想じゃなくて思い出して…うん、ゴメンゴメン」
…はぁ、貴方と居ると疲れるわ。
心を読まれるのって大変だったのね。
だと言うのに、私の隣に居てくれる貴方は…
「何を悟ったような表情をしてるんだ?」
ふふっ、さぁね?
私の心を読んでみたら分かるんじゃないかしら?
恋人なら相手の考えている事が分かる、でしょう?
ま、隠すつもりも無いけれど。
素直に教えるのは癪だもの。
「貴方と一緒に居れて幸せ、よ」
勿論、嘘よ。
だからその程度の事で恥ずかしがらないで頂戴。
私は今、確かにとっても幸せよ。
それは絶対に間違っていないわ。
でもね。
私の思いが。
貴方への想いが。
そんな短い言葉で伝え切れる筈が無いでしょう?
楽しんでいただけたでしょうか?
これが僕の全力です、はい。
二話以来のハッピーエンドな気がします。
受験が終わったので、次回からリクエストにガンガン挑戦してゆきます。
誤字脱字、コメント、アドバイスお待ちしております。
気軽に話し掛けて下さい