遊戯王の世界に転生?! ってかこの人ペガサスさんじゃね?   作:記録担当者(暫定)

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王国編 第1話

 私は今、船上にいる。

 

 遊戯王世界に転生して、はや15年と少し。今現在、高校1年生としての生活を謳歌している。

 

 今はちょうど、王国編だろう。自分のデッキを制服の上から確認する。確かに今ここにある。それに応えるようにカードが跳ねた気がするが気のせいだろう。船の揺れだ。

 

 この世界が遊戯王の世界だと気がついたのは結構早かった。海馬コーポレーションなんて会社、そもそもこの世界くらいにしかないだろう。気づいたら孤児院にいた私からしたら、原作と関わるつもりなど毛頭なかった。下の子の面倒を見たり、喧嘩の仲裁をしたりで忙しかったからだ。

 

 だが、そんな日常も突然終わる。

 

 背広を着た男が唐突に現れ、私を引き取りたいと言い出した。気づけば、なんやかんやと手続きが終わり、私は院から連れ出された。そして、ある場所へ連れてこられる。

 

「ハロー、(みたま)くん」

 

 なんか凄そうなビルに入り、案内された先には銀色長髪で赤い服……ってかこの人ペガサスさんじゃね?

 

「私はペガサス・J・クロフォード。私は、この日本において駒となる人物を探していました。そして、この"眼"が導いた人物こそがアナタなのデース」

 

 駒? ペガサスに駒のデュエリストなんていたっけな。闇のプレイヤーキラーや迷宮兄弟と同じ枠か?

 

 というか、これ……原作崩壊にならないか?

 というか、ミレニアム・アイさん? 何してくれちゃってるんですか。

 というか、ここインダストリアル・イリュージョン社⁉︎ 夢かな? 残念、現実だよ。

 

 ……みたいな、流れを得て、今ここにいる。少し、どころかかなり暇である。I2社の支援で個室を与えられているとはいえ、船の上。少し船内を歩きまわるとするか。

 

 デュエリストが集まる部屋へ歩き始めてすぐ目についたのは城之内克也だった。

 

「おう! そこのお前! カードトレードしないか?」

 

 城之内君? あー、アニメであったな、こんなシーン。じゃあ、この部屋の出入り口付近には武藤遊戯やインセクター羽蛾、ダイナソー竜崎がいるのか。

 

「うーん、まずどんなデッキを使うんですか? いや、この質問はよくなかったですね。大会前なのに相手のデッキを探るようで」

「お? おお」

 

 イマイチな反応。やはり城之内君は初心者なのだろう。どうするか。あまりトレードしたくないのだが、こんな機会滅多にない。うーん悩む。さりげなくサポート出来て、なおかつ目立たず、原作崩壊させないカード……。

 

 というか、現在とカードプールが違いすぎる。ルールも若干違うし。現代的というか、王国編の言ったもん勝ちルールってこんなに縛られてたっけ? いやいや、カードもどう考えても原作後刷られたはずのカードなのに、なんで今手に入るのさってカードがあるのはどうなのよ。

 いや、ね。ペガサスやI2社の関係者だから、一応「トゥーン」みたいな固有カードほどではないにしろ、ある程度の最新カードは揃う環境だったのよ。でもさ、どうなの?

 

「お、おう。なんか悩ませちまったみたいだな」

「いや、これは私の問題なので」

 

 あまり引き伸ばせないぞ〜。どうする。確かに、本大会用のデッキ以外にも、トレード用カードなんかも用意してあるけどさ。主人公組に渡せるカードって……ねぇ。

 

「これなんか、どうですか? 選んでください」

「『サイコロン』に『ゴブリンのやりくり上手』、『きまぐれの女神』、いいじゃねーか。よし、俺からはこれだ!」

 

 提示されたカードにビックリした。『セイレーン』、『見習い魔笛使い』、『ワンダー・ワンド』。セイレーンはともかく、どれもいいカードじゃないか。いや、セイレーンはコレクト用にしてもいいのか? うーん。優柔不断な性格がこういうとき悪さをするな。

 

「俺はサイコロンを選ぶぜ! お前はどうする?」

「うーん、なら私はワンダー・ワンドをもらうよ」

 

 よし、十分じゃないか? サイコロンは運任せだけど、2枚魔法罠を破壊できるカード。後のギャンブルデッキ使いの城之内君らしいカードのはずだ。

 

「じゃあな、……えーっと、そういや名前訊いてなかったな。俺は城之内 克也だ」

「あっ、こちらもとんだ失礼を。(みたま) (みこと)と言います。どうぞよろしく」

「おう! よろしくな!」

 

 「じゃあな!」と言いながら別のデュエリストにも話かけに行く城之内君。さすがコミュ強。怖い。

 

 あれが武藤遊戯か。生で見るのは初めてだ。周囲の流れに乗って、トレードを持ちかけてみるか? 何を? うーん。今、持ってるカードが合わないかも。

 いや、この際だからサインだけでも貰っておく? あの海馬との一戦は有名だから不自然ではないはず。インセクター羽蛾もそんな感じなこと言っていたはず。

 貰っておけば、とりあえず、家宝にはなるな。子供ができればだが……。

 

 いや、自室に帰ろう。元々の目的を忘れるところだった。周囲のデュエリストは把握したし、まあ、大丈夫だろう。しかし、なんでプレイヤーキラー役なのに普通のデュエリストに混じってるんだろうか、私は。上の指示通りなのだが、違和感がすごい。

 

「私のターン。ドローフェイズ、カードをドロー。スタンバイ、メインフェイズ。装備カード、ワンダー・ワンドを精霊術師(エレメンタルマスター) ドリアードに装備。そのままバトルフェイズに以降します。ここまでで何かありますか?」

「い、いや」

「では、精霊術師(エレメンタルマスター) ドリアードでキラーパンダを攻撃! エレメンタルバーン!」

 

 相手のライフポイントが0になると同時に、ピーという機械音が鳴る。

 

「対戦ありがとうございました」

 

 そう言いながら、スターチップを受け取る。悔しそうに手渡す少年を見て、これで何人目だろうかと考える。

 

「お次は誰かいますか?」

 

 そう、周囲を見る。ここにはデュエリストの一団がいたはずなのだが、もう逃げている。

 

 船を降りて最初にしたことは、デュエリストの集団にデュエルを申し込んだことくらいだろう。次々と、腕に自信のあるプレイヤーが挑んでくるのを返り討ちにしていくという単純作業。

 まあ、逃げるのも一つの手段ではある。スターチップがなくなるのも、手痛いからな。

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