登校班から宇宙戦士へ 作:匿名希望
侵食率30%。
肉体のアプデが中途半端に進み、男子組の「二次成長&女子化の違和感」と、女子組の「微妙な背の伸びや体型の変化」が錯綜していた頃。
コロニー「ヴァルハラ」の変態科学者どもから、『戦術的・精神的耐性テスト(という名目の娯楽イベント)』として、地球の様々な衣装(コスプレ)を着て模擬戦を行えという謎の命令が下された。
更衣室となった簡易ドックに、絶叫と困惑がこだまする。
【01. 元1年生(指揮官)の悲劇と、元4年生(衛生兵)の無頓着】
「いやだぁぁぁっ! なんなんだこの服はぁぁぁっ!!」
更衣室の陰から涙目で飛び出してきたのは、元1年生(指揮官)だった。
与えられた衣装は「フリフリの魔法少女ドレス(ピンク)」。
侵食率30%によって骨格が急成長し、すでに160cmを超えて手足がスラリと伸び始めた彼の身体。
しかし胸元(B~Cカップ過渡期)はまだ微妙な膨らみであり、スカートの裾から伸びる脚は無駄に長くてスタイリッシュという、あまりにもアンバランスな「高身長・魔法少女」が誕生していた。
「丈が短くてスースーする……っ! パンツが見えそう……っ! お母さん助けてぇぇっ!」
160cm超の元1年生男子(魔法少女)が八の字眉でシクシクと泣く横で、ガサゴソと着替えを終えた元4年生(衛生兵)が姿を現した。
「あはは、ボクの服はなんだか胸のところがパツパツだよ~?」
元4年生(衛生兵)に割り当てられたのは「クラシカルなバニーガール衣装」。
この段階ですでに部隊最高のE~Fカップ相当へと急発達していた彼の胸元は、ハイレグ仕様の衣装からあふれんばかりに主張しており、うさ耳を頭に乗せたまま、呑気に首を傾げていた。
「な……ッ!? なになによその破廉恥な格好はぁぁっ!?」
元2年生(工作員)が顔を真っ赤にして叫ぶ。
「あんた、男の子でしょ!? なんでそんな爆乳バニーガールになって平然としてるのよ!! 羞恥心ってものがないの!?」
「え~? だって科学者のおじさんが『これ着ないと晩ごはん抜き』って言ってたから……」
「理由が小学生!!」
【02. 元6年生(パイロット)の自爆と、元5年生(狙撃手)の静寂】
「ふ、ふん! たかが衣装替えくらいで騒ぐんじゃないわよ!」
腕を組んで堂々と登場したのは、元6年生(パイロット)だった。
彼女(彼)に配給されたのは「格闘家風のハイレグチャイナドレス」。
「アタシは元・登校班の班長よ! どんな服を着せられようと、戦術的合理性をもって着こなしてみせるわ! 見なさい、この機動性に特化したスリットを――」
言いかけた元6年生(パイロット)だったが、ふと横の姿見(鏡)に映った自分と目が合った。
鏡に映っていたのは、キュッと引き締まったウエスト、うっすらと膨らみ始めた胸(Bカップ)、そしてチャイナドレスのスリットから大胆に露出した、すべすべの「女の子の太もも」だった。
「~~~~~~~~っっ!!!!」
顔面がリンゴのように真っ赤になり、プシューッと頭から煙を吹き出す元6年生(パイロット)。
(やばいやばいやばい!! アタシ、めちゃくちゃ可愛い女の子の格好してるじゃん!! 6年生の男としての尊厳が崩壊するわよぉぉっ!!)
「……パイロット」
「ひゃいっ!?」
トボトボと歩み寄ってきたのは、「シスター服」に身を包んだ元5年生(狙撃手)だった。
小柄な体躯にシスターの黒い衣装が絶妙にマッチし、胸元の適度な膨らみ(C~Dカップ)と相まって、まるで本物の修道女のような神秘的な雰囲気を漂わせている。
元5年生(シスター)は無表情のまま、真っ赤になって震える元6年生(格闘家)のチャイナドレスの裾を、そっと引っ張って隠してあげた。
「……パイロットちゃん。……脚、見えすぎ。……男子に見られたら、ダメ」
「そ、狙撃手ぅぅぅっ……!(涙)」
かつて密かに意識していた好きな女子に、シスター服姿で「脚が見えすぎ」と心配されるという、最高に甘酸っぱく惨めな敗北感。
元6年生(格闘家)はその場に崩れ落ちた。
【03. クール組の温度差】
「……理解不能」
更衣室の隅で、「巨大なクマの着ぐるみ」を着た元3年生(クマ)が、光のない瞳でつぶやいた。
頭のパーツだけをパカッと外し、ぶかぶかのクマの手でキーボードを叩いている。
「……この衣装、保温性120%。……内部空間に工具を30個収納可能。……戦術的価値、極めて高い。……他メンバーの衣装、露出過多につき防御力ゼロ。……バグ」
「あんたが一番浮いてるわよ!!」
怒声を上げたのは、「ゴスロリメイド服」を着せられた元2年生(メイド)だった。
漆黒のフリルドレスに身を包み、仕込みナイフをジャキッと構える。
「なんであたしがこんなヒラヒラした服着なきゃいけないのよ! 2年生の時だってスカート履くの嫌いだったのに!
特にあの元男子ども(1年生と4年生)、なんであたしより胸が大きくなりかけてるのよ! 意味が分からないわよ!!」
「……工作員、似合ってる……」
元1年生男子(魔法少女)が陰からポツリと言う。
「うるさいわねバカ!! ナイフで細切れにするわよ!?」
【04. 模擬戦という名の大混乱】
結局、コスプレ衣装のまま訓練エリアへ叩き出された6人。
「えーい! 魔法少女ハイパー光線なのだー!」
160cm超の元1年生男子(魔法少女)がやけくそでビームライフルを乱射し、
「あはは、バニーガールスプレーだよ?」
Kカップ元4年生男子(バニーガール)が爆乳を揺らしながらナノマシンを撒き散らし、
「脚を見るな! アタシを見るなーっ!」
元6年生男子(格闘家)が顔を真っ赤にして蹴りを繰り出し、
「……アーメン」
元5年生女子(シスター)が静かにライフルでヘッドショットを決め、
「くたばれ変態科学者共ーっ!」
元2年生女子(メイド)がナイフでドローンを刻み、
「……クマパンチ」
元3年生女子(クマ)が物理攻撃を繰り出す。
侵食率30%。
肉体も心も中途半端に歪められ、理不尽な衣装を着せられながらも、彼女(彼)たちは絶叫と悲鳴を上げてコロニーの訓練用ドローンを完膚なきまでに叩き潰した。
「はぁ……はぁ……絶対に……絶対にこのコロニーを脱出してやるんだから……っ!」
チャイナドレスの裾を握りしめ、息を荒らげる元6年生(格闘家)。
その瞳には、コスプレの屈辱を糧にして燃え上がる、頑なな反逆の炎が宿っていた。