登校班から宇宙戦士へ 作:匿名希望
宇宙船アルゴの生活区にある食堂。
この日、自動調理プラントが過去の地球データから復元・出力したのは、懐かしき「昭和・平成の小学校の給食メニュー」だった。
コッペパン、四角いマーガリン、大人気メニューの「ソフトめん(ミートソース)」、牛乳パック、そして瓶に入ったミルメーク。
175cmの凛々しい司令官も、Kカップの衛生兵も、銀河を救う戦術兵器としての顔を完全に捨て去り、一瞬で「ただの小学生」へと退行した。
01. ミルメーク争奪戦と、175cm司令官の「手汗」
「みんな! 今日の給食には……伝説の『ミルメーク(液体いちご味)』がついているのだぁぁっ!」
175cmの圧倒的スタイルを誇る総司令官ルージュが、Fカップの胸元で軍服のボタンを弾けさせそうな勢いで立ち上がった。
「牛乳ストローの差し込み口から溢れさせないように、絶妙な角度でミルメークを注入する……! これぞ1年生の時に上級生から教わった極意だ!」
「あはは~、ルージュちゃん落ち着いて~。私なんて、胸が邪魔で配膳トレーが遠くて届かないよ~」
衛生兵ヴェールが、巨大な胸に配膳トレーを乗っけた状態で、器用にミルメークを混ぜ混ぜしている。
「あーあ、ヴェールずるい! もう混ぜ終わってる! あたしなんてストローで牛乳のパック破いちゃったじゃないのよ!」
工作員ノワールが、牛乳パックの角から漏れ出す白い液体と格闘していた。
Bカップの胸元に牛乳が数滴飛び散り、キーッと八重歯を剥き出しにする。
「……計算通り」
ハッカーのジョーヌは、ぶかぶかの袖から細い指を出し、ソフトめんを半分に綺麗に割ってからミートソースの袋へ投入していた。
「……ソフトめんは二分割が最適解。……一気に投げ込むのは素人の挙動。……ソースの跳ね返り率、ゼロ」
「……流石ね、ジョーヌ」
狙撃手シアンも静かに頷き、小柄な身体(隠れEカップ)で手際よくコッペパンの真ん中に切れ目を入れ、焼きそばを挟んで「焼きそばパン」を自作していた。
そんな和気あいあいとした給食風景の中、ひとりだけ青ざめた顔でソフトめんの袋を見つめている人物がいた。
パイロットのブランである。
「(やばいやばいやばい……! アタシ……小学生の時、ソフトめんのミートソースが服に跳ねて『胸のところがミートソースまみれ~!』って女子に大爆笑されたトラウマがあるのよ……!)」
可憐なCカップの胸元を誇る今のブラン。
もし今、ソフトめんをすスってミートソースがこの服に飛んだら――。
「……ブラン? どうしたんだ? めんが伸びてしまうぞ?」
175cmのルージュが、八の字眉で心配そうに覗き込んでくる。
「な、なんでもないわよ! アタシは元・班長よ!? ソフトめんの完璧な食しかたなんて、100万回予習済みよ!」
ブランは震える手でソフトめんの袋を破ろうとした。
しかし、力が入りすぎて――
バツンッ!!
「きゃああっ!?」
袋が勢いよく弾け飛び、固まったソフトめんのカタマリ半分が、コロンコロンとテーブルの上を転がり……そのまま向かいに座っていたシアンのEカップの胸元へと着弾した。
「「「「「…………」」」」」
食堂が静まり返る。
ミートソースをかける前の、ただの「ぬるい麺の塊」が、シアンの豊かな胸の谷間にすっぽりと収まっていた。
「あ……あ……あ……っ」
ブランの顔からスーッと血の気が引いていく。
「ご……ごめんなさいシアン! 悪気はなかったの! 手がすべって……あッ、今すぐ取るわね! 今すぐ――」
あわてて手を伸ばそうとしたブランの手を、狙撃手シアンがポッケから出したフォークでカツンと制した。
シアンは無感情のまま、自分の胸の谷間に挟まったソフトめんの塊をじっと見つめ、それからブランの顔をじっと見つめた。
「……ブラン」
「ひ、ひゃいっ!?」
「……食べもの、粗末にするのは……ダメ」
シアンはフォークで、自分の胸の谷間からソフトめんの塊を器用にチョンと拾い上げると、ミートソースの容器へドボンと浸した。
そして、そのソースが絡んだ麺をフォークでくるくると巻き――
「……はい、あーん」
「~~~~~~~~~~っっ!!!!(全システム停止)」
ブランの顔面が爆発したかのように真っ赤になった。
(な……なに!? 自分の胸に落ちたソフトめんをミートソースに浸して『あーん』してくるってどういう状況!?
5年生の時のシアンはそんなことする子じゃなかったでしょーがぁぁぁっ!!)
「……ブラン。……食べないの……? ……私のお胸についてたから……不潔……?」
上目遣いで、少しだけ悲しそうに首をかしげるシアン(隠れEカップ)。
「食べる!! 食べるわよぉぉぉっ!! 喜んでいただきますわよぉぉぉっ!!」
ヤケクソになったブランは、シアンの差し出したフォークを「ぱくっ」と咥え込んだ。
「……おいしい?」
「……めちゃくちゃ甘酸っぱくておいしいわよちくしょーめぇぇぇっ(号泣)!!」
「あはは~、ブランちゃんがシアンちゃんに『あーん』されて泣いてるよ~」
「羨ましいブラン……私もシアンに『あーん』されたい……」(175cm元男子の呟き)
「バカ言んじゃないわよルージュ! ナイフで刺すわよ!?」
悲鳴と笑い声が交錯する中、食堂の壁に設置されたプラントから『ピンポンパンポーン』とチャイムが鳴った。
『――余剰物資の生成完了。本日の余剰給食:『冷凍みかん』ならびに『揚げパン(きなこ)』、各1個』
「「「「「「!!?????」」」」」」
その瞬間、6人の目の色が変わった。
給食における最高峰の神アイテム「冷凍みかん」と「揚げパン」。
「……全員、席に着け」
175cmのルージュが、アイスブルーの瞳に冷酷な殺気を宿して起立した。
「これは……ただのデザート争奪戦ではない。元・登校班としてのプライドを賭けた……絶対防衛戦だ……ッ!」
「乗ったわよ! 今日のアタシは……ジャンケンで負ける気がしないわ!!」
シアンからの『あーん』で覚醒したブランが、Cカップの胸を張って拳を握りしめる。
「……ジャンケンアルゴリズム、解析完了」
ジョーヌがどこからか取り出したメガネ(伊達)を光らせる。
「あたしの素早さを見せてあげるわ!」
ノワールが身構える。
「……今度は……負けない」
シアンが静かに呟く。
「あはは~、私も混ぜて~」
Kカップを揺らすヴェール。
「最初はグー! ジャンケン――」
宇宙船アルゴの食堂に、地球のどの戦場よりも熱く、くだらなく、そして温かい「放課前の歓声」がどこまでも響き渡るのだった。